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Zoomセミナー「“コロナ後”の家族と社会」

開催日:5月18日(月)19:30~21:10 イベントのカテゴリー:未分類

毎日メディアカフェのZoomセミナー「“コロナ後”の家族と社会」が5月18日夜に開催されました。

 新型コロナウイルスは家族のあり方を揺さぶっています。四六時中夫婦や親子が家の中にいっしょにいることがストレスや軋轢を生んでいるというような話をよく聞きます。DVのような「病理現象」も起きているようです。また、自治体までが支援に乗り出してきた「婚活」が低調になっていることは容易に推測ができます。ニュースになりやすいのは悪い話ですが、妻が会社の部下にリモートで話しているのを聞いた夫が、妻を尊敬する気持ちを抱いたとか、家族同士の助け合いで絆が深まったというようないい話も聞きます。これらは、自粛生活という特殊な状況が生んだ現象かもしれません。しかし、新型コロナ禍が過ぎ去ったとしても、家族のあり方や関係が、すっかり元に戻ることはないでしょう。中央大学文学部教授で社会学者の山田昌弘さんは、「パラサイトシングル」や上記の「婚活」という言葉で、その時々の家族を取り巻く社会関係を端的に表現しつつ、鋭い分析で注目されてきました。今回は山田さんが“コロナ後”の家族と社会がどのように変わっていくのか、その見方や提言を話しました。

 このセミナーは近未来研究会(岸田徹代表)が企画しました。Zoomシステムを使って、45人が参加しました。

 山田さんは1957年東京生まれ、1981年東京大学文学部卒。1986年同大学院社会学研究科博士課程退学。東京学芸大学教授を経て、2008年より中央大学文学部教授。内閣府・男女共同参画会議専門委員、東京都社会福祉審議会委員など公職を歴任。専門は家族社会学。愛情やお金を切り口として、親子・夫婦・恋人などの人間関係を社会学的に読み解く試みをしています。

 近未来研究会の校條諭さんがセミナーのホスト、久米信行・iU情報経営イノベーション専門職大学教授が進行役を務めました。

 山田さんは次のように話しました。

 「家族を研究してきて、35年になります。研究を始めた1995年ごろと、令和に入ってからの家族は相当違っています。以前は多くの人が結婚して、子どもを持っていました。家族の収入は増えていました。現在は家族格差の時代に入ったと思います。結婚しても、3組に1組は離婚します。『家族はつくりにくく壊れやすくなった』と思っています。教えている学生には『君たちの4人に1人は生涯未婚だよ』と言っています」

 「新型コロナウイルスが家族にどう影響を与えるのかを考えてみたい。東日本大震災のときもいろいろと言われました。いざとなったときに家族が必要だというので、結婚が増えるという説がありました。一方、家族が頼りにならなかったということで、震災離婚が増えるとも言われました。震災直後、婚約指輪の販売量が増えたと聞きましたし、結構情報サービスへの登録者が増えたとも聞きました。しかし、結婚は増えなかった。減少を続けています。離婚、出産もそれまでの傾向と変わりませんでした。コロナ後はどうなるか。感染不安や行動制限が広がる中、短期的な影響が出てくるのか。いろいろな説があります。一人でいると寂しいから結婚が増えるだろうという予測がありますし、逆に出会いの機会が減るから減るという説もあります。夫婦が一緒に家にいるから妊娠は増えるだろうという説もありますが、今は計画出産の時代です。むしろ、母子感染や医療体制への不安などから減ると私は考えています。離婚については、コミュニケーションの時間が増えて離婚が減るという人がいる一方、ストレスが高まるので離婚は増えるという見方もあります。来年、数字が出てくるまで分かりません」

 「私が興味を持ってみているのはコロナと親密性についてです。親密行動について、欧米と日本では大きな違いがあります。特にラテン系は身体接触で親密性を表す文化です。ある研究者は日本とアルゼンチンは対極にあると言っています。日本は人前では身体接触がはばかられる。家族や親族、親しい友人と日常的にハグやキスをするというのが欧米人の行動で、それが一気に感染拡大した一因になりました。日本では夫婦では身体接触をあまりしない。中高年の引きこもりが増えています。孤立する中高年独身者が多くいます。欧米は高齢者が一緒に住む例が多い一方、日本では高齢者は自宅で介護を受けるのが原則で、これもコロナが欧米ほど広がらなかった要因になったかもしれません」

 「今後はどうなるか。専門家会議の『新しい生活様式』とか、『徹底した行動変容』という提言をみたとき、仕事や趣味などについての提言はあるのですが、恋愛、結婚、家族、夫婦生活がどうなるかには全く言及されていません。不思議なことです。性的関係は『3密』の極みです。10カ月後の結婚数や出産数がどうなるか、興味を持っています。『タテ社会の人間関係』で知られる中根千枝先生(社会人類学者)は『日常的に食事をともにするのが家族である』と言っています。新しい生活様式で、一家4人が同じ方向を向いて食事をするという学生の一家があります。『家族ゲーム』という映画の中で、そういう家族が出てきて、崩壊した家族として描かれました。それが現実に推奨されるとは思いませんでした。全員が個室で食事をする家族もあると聞きます。男女の出会いの機会は減少します。結婚サービス情報業の人に聞いたら、婚活パーティーは自粛、代わりにネットで婚活パーティーを開くようになったらしいです。そういうコミュニケーションで恋人を選ぶことができるのか。オンラインデートで満足できるだろうか。結婚を延期した人も多いようです。コロナ災害が終息した際、元に戻るのか、それとも身体接触を避けるのか。終息後、長期的なトレンドが反転、あるいは加速するのかに関心を持っています」

 ここで、久米さんは「子ども、親子が通りで遊ぶようになりました。暗い話ばかりではないということです。専門家会議が家族のことを考えていないとの指摘はその通りですね。私は家族と食事をする機会が増えました」とコメントしました。

 山田さんは続いて次のように話しました。

「現代日本家族のトレンドとして、今の30代以下の若者の生涯未婚確率は25%と予測されています。今の70代は生涯未婚率が3%です。50歳時点で、男性の4人に1人が結婚していないし、女性も18%が結婚していない。3組に1組が離婚するという率も変わっていない。典型的な家族をつくり保てる人と、そうではない人の分裂が起こり、後者が拡大しています。家族は生活の単位であり、愛情の場でもある。家族がいれば寂しくない、居場所がある。家族が経済面、心理面の保証をしている。家族依存社会と言ってもいいと思います。 『戦後型家族』のポイントは家計を夫に依存することです。戦後から1990年ごろまで、それがうまくいっていました。夫の収入が安定して上昇する見通しがあった。女性は安心して結婚できた。結婚が容易で、離婚が少ないから、ライフコースの計画が可能だった。ところが、バブルがはじけて、家族の不安定さが始まりました」

 「新しい経済の進展は格差社会を生み出し、家族がリスクになりました。男性の収入が不安定化し、予測不可能性が高まりました。非正規雇用率が高まりました。自営業も成功する自営業とぎりぎりの自営業に2極化しました。1人の収入で豊かな生活を支えることができない人が増えたのです。結婚相手に望む年収の調査では、男性の6割はこだわらない一方、女性はこだわらないのは2割にすぎず、多くは400万円、600万円、800万円以上と回答しています。現実をみると、未婚者の男性は年収200万円未満が38.5%です。最近の調査でも変わっていません。若い女性ほど、『夫は仕事、妻は家事』に賛成する人が増えてきています。職場が女性にとって魅力的ではないことが分かってきたからだと思います。1人で住むよりも親と住むほうが経済的に楽です。15年ほど前に、離婚経験者の調査をしましたが、夫への不満の最も多いのは経済的不満でした。夫婦がフルタイムで仕事をしているのは15%です。地方のフルタイム共働きは教員、公務員がほとんどでしたが、定員削減により、それが減っています。収入の低い男性は結婚できず、結婚しても離婚される率が高いのです。低収入で子どもを育てる夫婦もいて、虐待が増える背景になっています。親の年金で暮らしている壮年親同居未婚者が増えています」

 「若者にとって将来生活が予測不可能で、人並みに生活できるかどうかの不安があります。 生活保守化、戦後型家族を求める人、戦後型家族の『内側』に入ろうと努力するが、かなりの人はこぼれる。そこで、恋愛の衰退が起こりました。恋愛よりも安定した生活を求める若者が増えてきている。性体験のない未婚者割合は増加しています。性体験のある学生の割合はどんどん減っています。親にパラサイトしながら、バーチャルな存在に恋をしたり、ペットを飼ったりする。アンダークラス化する若者も増えています。定職につけず、親にも頼れない。一方、結婚支援センターで結婚したカップルのインタビューをしました。離島で働いたり、農業を始めるなど、新しい家族のあり方の芽も出ています」

 「コロナ後はどうなるか。新しい家族の多様化の芽は出ているが、大きな流れになっていない。戦後型家族はますますつくりにくくなると思います。結婚するなら大企業や安定している男性を選ぶ傾向が強まる。リアルな出会いを求める人が増えるのか。コロナ災害は家族の格差拡大を押し進めると思います。日本は家族主義が前提です。家族がいない人は孤立化しています。日本の貧困率は高いのですが、あまり目にみえなかったが、コロナ災害で目にみえるようになった。非正規雇用者、フリーランスの不安定さも浮き彫りになりました。コロナ後は、多様な家族モデルを推進する必要があります」

 この後、参加者との質疑応答が繰り広げられました。


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