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科学者が見通す46億年の地球 第3回「人類と地球の未来」

開催日:1月20日(日)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:46億年の地球シリーズ

「科学者が見通す46億年の地球」の第3回「人類と地球の未来」が1月20日、毎日メディアカフェで開催されました。
 企画したのは日本科学未来館(東京・お台場)とサウジアラビア国営石油会社の日本法人アラムコ・アジア・ジャパン。日本科学未来館の地球ディスプレイ「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」の新規コンテンツ「未来の地層 Digging the future」の公開に合わせ、コンテンツを監修・協力した研究者による連続トークイベント「科学者が見通す46億年の地球」を開催しており、今回が最終回です。アラムコ・アジア・ジャパンは「未来の地層 -Digging the future-」の制作を支援した企業です。
 まず、アラムコ・アジア・ジャパンの広報を担当する鈴木つむぎさんがサウジアラビアや同社の概要を紹介しました。「サウジアラビアは面積が日本の6倍、人口は約3300万人です。サウジアラムコは社員数7万人。日本の原油輸入量の4割を占めています。アラムコ・アジア・ジャパンは原油販売のサポートや、日本の技術や商品をサウジアラビアに紹介する仕事をしています。CSR活動も力を入れており、災害被災地支援、環境活動、アラビア文化の紹介などをしています。CSR活動の一つが科学未来館との連携です」
 次に、科学未来館事業部高度専門職、科学コミュニケーターの松岡均さん(理学博士)が直径6mの地球ディスプレイ「Geo-Cosmos」と、「未来の地層Digging the future」の概要を説明し、「監修していただいた研究者の一人が佐倉統さんです」と紹介しました。
 続いて、佐倉さんの講演に入りました。佐倉さんは1960年東京都生まれ。90年京都大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士。三菱化成生命科学研究所特別研究員、93年横浜国立大学経営学部助教授、95-96年ドイツ・フライブルク大学情報社会研究所客員研究員、2000年東京大学大学院情報学環助教授、07年教授。理化学研究所革新知能統合研究センター・社会における人工知能研究グループ科学技術と社会チームのチームリーダーでもあり、「人工知能と社会の関係」、「科学の文化的位置づけを探る」をテーマとした研究プロジェクトを進めています。
 佐倉さんはまず、人新世 (Anthropocene)について話しました。Anthropocence=anthrop (human) +cene (recent)で、現在を地質年代に位置づけるために新たに提案された用語です。「ヨーロッパや北アメリカでは熱狂的に受け入れられています。科学界だけでなく、思想、芸術、メディア、文化、ビジネス界などでも広く流行しています。人間の活動が環境に影響しているという考え方で、自然と人間を分けない見方だと言えます。科学的厳密さがあるのではなく、考え方と理解してください。2011年に経済誌エコノミストで特集が掲載され、2014年にはアーティストが人新世をテーマに開いた展覧会の本が出ています。科学誌ネイチャーが人新世の特集を組んだのは2015年で、科学者の反応は遅かったと言えます」
 次に、「地球と生命(+人類)の共進化」について語りました。「生命とは自己複製能力を持った複雑なシステムです。物理のシステムはエントロピーが増大しますが、生命体は複雑エントロピー減少の方向に進む。そういう能力を持った物質のシステムです。人類の特徴は自己複製系を2つ持った生命体であることです。DNAと脳という自己複製系を持っています。人類の誕生は生命進化の中でも特徴的です」
 「ジオスフィア(地球圏)とバイオスフィア(生物圏)は相互作用をしてきました。約40億年前に生命が誕生したと言われています。そのころはメタンがたくさんある環境でした。その中で、酸素を発生する光合成の能力を持った生物ができてきます。酸素はもともと、ほかの生物をやっつける攻撃用のものでした。酸化はさびること、激しい酸化は燃焼です。酸素をつくる生き物が出てきて、さらに酸素をエネルギーにする生物が出てきました。メタンよりも多くエネルギーを使うことができる。真核生物ができ、十数億年前にはそれが多細胞化します。生命の歴史の3分の2は、一つの細胞を精密にすることに費やされたのです。その後、生物は陸上に上がり、大型動物ができる。地球圏と生物圏はお互いに影響してきました。地球は岩石圏、生物圏、大気圏、水圏、雪氷圏の5つに分かれます。ジェームズ・ラブロックが提唱したガイアは、地球全体が一つの生命体のようなものだという考え方です。ガイアはギリシャ神話の女神です。私は地球を生命体と扱うことには賛成しません。自己複製しないと生命体とは言えないので。しかし、地球が複雑で微妙なバランスで成り立っているシステムであることは間違いありません。植物があると、気温が一定に保たれることが、簡単なシミュレーションで分かります」
 ここから、「東アジアの文化と人新世+AI/ロボット」を論じました。「東アジアはキリスト教圏とは違う考え方があります。人と自然の関係について、老子の道教では『無為自然』と言っています。なすがままです。人と自然は連続している、人は自然の一部だという考え方です。12世紀に出てきた朱子学では、自然と倫理を一体として考えます。これらが私たちの自然に対する考え方に影響していると思います。東アジア圏の自然観は広葉樹の森林が基盤にあり、穏健で、非対立的です。資源が豊富で、自然と対立する考え方にならない。ユダヤ教、キリスト教は砂漠で生まれました。厳しい自然環境なので、それと戦わなければならない」
 佐倉さんは「東アジアの自然観が日本の科学に好影響を与えた例」として、ダーウィン進化論のスムーズな受容、人間以外の霊長類の社会生態学(サル学)をあげました。「大森貝塚の発見で知られるモースはダーウィン進化論の熱烈な支持者でした。東京大学動物学教室の初代教授です。モースは日本で一般人にもダーウィン進化論を講演しました。日本の人々は進化論を受け入れました。モースは日本で受け入れられていることに感激して、ダーウィンに手紙で知らせています。鳥獣戯画があるように、人と動物の連続性について日本人は違和感がありません。モースは後にAAAS(アメリカ科学振興協会)就任記念演説で、『日本でダーウィンが受け入れられました。しかし、その後、日本では進化論が成長しなかった。欧米では批判に応えるため、新しい証拠を見つけようとする。批判は学問を育てるために必要だ。日本で受け入れられたことは、必ずしもよいことではなかった』という旨のことを述べています」
 「日本のサル学は1950年代から盛んになりました。サルの社会を擬人化し、サルに名前をつける。科学的ではないと欧米からは批判されましたが、イモ洗い行動など、サルにも文化があることが分かってきました。文化、複雑な社会、言語的な能力を持っている。行動、数の概念、自己イメージがヒトだけのものでないことが明らかになってきました。研究者がサルを擬人的に見ているから発見されたのです。チンパンジーには大きな社会はないと言われていましたが、離合集散していることが明らかになりました。これも社会があることを前提にして見つけたのです。大学院の指導者が河合雅雄さんでした。最後の弟子の一人です」
 ここで、河合さんと佐倉さんとの会話が紹介されました。
河合さん「佐倉君はそろそろサルの気持ちが分かるようになったか?」
佐倉さん「サ、サルの気持ちですか?」
河合さん「おぅ、サルの気持ちが分からんと一流のサル学者にはなれんぞ」
佐倉さん「あのぉ、どうすればサルの気持ちが分かるようになるんでしょうか?」
河合さん「見たものを見たままに、全部書くんや」
 「日本のサル学は擬人的、全体論的、記述的、質的、至近要因、構造主義的です。アメリカの霊長類学は機械論的、還元論的、定量的、究極要因、機能分析が特徴で、同じ科学でもずいぶん違います。それぞれいいところがあります」
続いて、ヒトとロボットの関係についえ話しました。佐倉さんが紹介したのは、精神科医で歌手でもある北山修さんの「共視論」。日本の浮世絵の母子のうち約30%が「第三項」を共に凝視している構図だというのです。「西洋の絵画ではこの構図はとても少ないそう。小津安二郎監督の映画『東京物語』でも、夫婦が並んで同じ方を向いています」
「日本では、人間にとってロボット/AIは第三項を共有できる仲間、自律したエージェントであり、ほぼ対等な関係です。西洋では、閉じた小宇宙を構成する要素、世界の一部であり、優劣関係は不確定です。アン・アリスンという人は『日本のファンタジーには(中略)テクノロジー(日本でメカと言われるもの)があらゆる類の生命活動を組み立てるための鍵となる要素となっている。(中略)私はこの美学をテクノ・アニミズムと呼ぶ』と書いています。機械を擬人的に見るのは日本人の特徴です。弱いロボットを作る研究があります。わざとできないところを作る。その発想も必要だと思います」
 この後、質疑応答がありました。



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