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「日本語をつかまえろ!」刊行記念トークイベント「日本語もうやだ!」

開催日:1月10日(金)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:出版記念


「日本語をつかまえろ!」刊行記念トークイベント「日本語もうやだ!」が1月10日、毎日メディアカフェで開催されました。
 「三省堂国語辞典」の編さん者で、「ことばハンター」とも呼ばれる飯間浩明さんが身近にあって気になる日本語を追跡した「日本語をつかまえろ!」(絵・金井真紀)が毎日新聞出版から刊行されました。毎日小学生新聞で飯間さんが文章、金井さんが絵を担当して連載している「日本語どんぶらこ」をまとめた本で、この刊行を記念したトークイベントです。
 飯間浩明さんは1967年、香川県生まれ。国語辞典編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。国語辞典の原稿を書くために、新聞や雑誌、放送などから新しいことばを拾う毎日。街の中にも繰り出して、気になる日本語の採集を続けています。国語辞典を楽しむイベント「国語辞典ナイト」でも活躍。主な著書に『辞書を編む』『小説の言葉尻をとらえてみた』(ともに光文社)『国語辞典のゆくえ』『つまずきやすい日本語』(ともにNHK出版)『ことばハンター』(ポプラ社)『知っておくと役立つ 街の変な日本語』(朝日新聞出版)などがあります。ツイッター:@IIMA_Hiroaki
 金井真紀さんは1974年、千葉県生まれ。文筆家、イラストレーター。「多様性をおもしろがる」を合言葉に世界各地で人の話を拾い集めて、文や絵にしています。著書に『世界はフムフムで満ちている』『酒場學校の日々』(ともに皓星社)『はたらく動物と』『サッカーことばランド』(ともにころから)『パリのすてきなおじさん』(柏書房)『子どもおもしろ歳時記』『虫ぎらいはなおるかな?』(ともに理論社)がある。うずまき堂代表(部下は猫2匹)。
うずまき堂マガジン:https://uzumakido.com/
 はじめに、出版を担当した毎日新聞出版の八木志朗さんが出版の経緯を話しました。続いて、2人のトークに入りました。飯間さんは「現在、どのように日本語に苦しめられているか、なぜ日本語に悩む人生を送ることになったのかを話したいと思います」とテーマを語りました。
 金井さんは「マオリ」についての話をしました。金井さんは雑誌「世界」のグラビアページで、世界のことわざの絵を描く仕事をしています。ニュージーランドの先住民族マオリに伝わる「タコのように死ぬな、シュモクザメのように死ね」ということわざを紹介しました。「人につかまったタコは刃向かうことなく死を受け入れ、シュモクザメは命が尽きるまで抵抗する。ラグビーのオールブラックスが試合前に踊るハカもマオリの戦士の伝統。むき出しの闘争心にうっとりする――という文章を付けています。このことわざは1年前に文化人類学の先生に教えてもらいました。ニュージーランドでテロがあったりしたので、お蔵入りしていましたが、ラグビーW杯でニュージーランド代表が話題になったので、日の目を見ました。文化人類学の先生へのメールで『マオリ族のことわざ』と書いたら、『マオリ族と言っている段階でだめです』と。そんなことでは連載は成り立ちませんと怒られました。私の理解では、ヨーロッパにバスク人はいますが、バスク族とは言いません。文明化されている民族は〇〇人、そうでない民族はルワンダのフツ族、ツチ族のように〇〇族と呼ぶ。メディアはそういう使い分けをしている。族と読んでいる段階で、偏見を持っている。マオリ人とか、先住民族マオリと書くのがよいということです。ニュージーランド・マオリと表記しました。『世界』の編集後記で、いいことわざだと書いてくれたのですが、『マオリ族のことわざ』と書いていて。先生が編集後記を読んでいないといいのですが(笑い)」
 「人」と「族」。新聞ではどうしているのでしょうか。参加者の一人である毎日新聞校閲グループの平山泉記者は「民族の族で差別ではないと考えますが、明確な区別がなく、族と人が混在しているのが現状です。〇〇人を使おうという傾向にはなってきています」と説明しました。
 飯間さんは「族という表記自体には悪気はなくても、結果的に開発途上国には族と使っている。その見えない傾向に気がついた研究者の方は言語感覚が鋭敏だと思いました。ネットで検索したら、ウィキペディアでも普通に族を使っていて、マオリの説明でも文中にマオリ族と書いている。差別意識がなくても族と人に分かれてしまう。見えないルールがあるのかもしれません」とコメントしました。
 金井さんは「南アフリカのズールー語のことわざである『象は鼻が長いことを苦にしない』というのを書いた時に、ズール語に詳しい研究者の方にチェックしてもらいました。その研究者は『ズール人と書いてくれてありがとう』と言っていました。先住民を研究している方は自分が大事にしている民族がどう呼ばれているかが気にしているのかなと思います」、飯間さんは「今はアイヌという言い方はいいということになっていますが、少し前まではウタリと呼んでほしいと言っていました。北欧のラップ人も、ラップは(辺境を意味するため)差別的だから、サーミ人と呼んでほしいと言っています。呼称自体に差別的な意味がある場合はすぐに分かりますが、族のことはなかなか気づきにくい。族が間違いだとか差別だとは言えないですが、見えない区別があるということは考えさせられます」と話しました。
 飯間さんは次のように語りました。「言葉が伝わらないと感じることがよくあります。言葉は100%伝わることはない。昨年末に紅白歌合戦を見ながら、面白い歌詞のフレーズをツイッターでツイートしていました。歌詞には興味があります。今年はどんな歌詞があるかなと紅白を見ます。例えば、椎名林檎さんの『人生は夢だらけ』。技巧を凝らした歌詞です。だらけというのは、昔は夢には使わなかった。西城秀樹さんの『傷だらけのローラ』とか、泥だらけ、ほこりだらけのように使います。最近は幸せだらけとか言います。ツイッターで『夢だらけは面白い使い方です。ニュアンスが変わりました』とツイートしたら、読者から『言葉は変わるものだから、いちいち批判するのはどうかと思います』と(笑い)。批判していない!と、心の中で叫びました。私の基本的スタンスとして、言葉は悪くない、言葉自体に罪はないと考えています。ある言葉を批判することはありません。『新しい語感で使う例です』と事実を示しただけであり、変わっていて面白いですよねというツイートですが、真逆に受け取られる。8割の人が分かってくれればいいので、放っておきます。しかし、もやもやは残ります。大学の授業で話しているときも感じることがあります。1、2割は曲解しますね。例えば、『全然悪いです』というのは使い方として間違っていない。夏目漱石も使っています。そう教えても、少数の学生が『全然悪いという言葉が間違いだとよく分かりました』と書いてくる(笑い)」
 金井さんは「全然は否定文に使われるという先入観があるからでしょうか」とコメントしました。
 金井さんは「パリのすてきなおじさん」という自著についてのエピソードを述べました。「ある大学の入学試験に採用されたのですが、送られてきたものが難しくて答えが分からなかった」とのこと。この本はパリのおじさんのインタビューをまとめた本です。この中に、昔、ピカソやダリと仕事をしたという画家のインタビューが入っています。この部分は通訳の男性が聞いてくれたレポートをもとに金井さんが書いたとのこと。「自分は画商を通さないで、自分の絵を愛してくれる人に安く売る。直接売っているのはパリで俺ぐらいだ」という話です。入試問題は「インタビュアーはこの画家のどこがすてきだと思ったか、あなたの考えを述べなさい」。
 飯間さんは「この文章には、すてきだという表現は使われていない。別の人がインタビューしたと書いてある。本のタイトルは読者の目に留まるように付けるわけです。タイトルにすてきと書いていても、老画家がすてきとは書いていない。出題者の意図を推測するなら、自分の絵を好きな人に安く売るのがすてきだと書かせたいのかと思います」、金井さんは「正解が分かりませんよね」と話しました。
 ここから、国語を仕事にするまでの歩みを語り合いました。金井さんは「子どものころは数学や英語で困っていて、国語は困り度が低かったです。最初から文法は分からず、ずっと分かったふりです」と話しました。飯間さんは「文法学者の数だけ文法があると言われます。私は文法がめちゃくちゃ好きでした。副詞の授業が楽しみだとか。友達は少なかったですね(笑い)。中学生、高校生のときは敬語の規則を守っていました。上級生に、部活を拝見させていただいてもいいでしょうかと言うとか。正しい言葉を話さなければならないという強迫観念がありました。新聞社の用語集が1980年代から本屋さんに出ていました。古式豊かにはだめで、古式ゆかしくが正しいとか、射程距離は間違いで、射程でいいというのがありました。射程距離と言った友達に、それは射程でいいんだと言う、いやなやつでした。今は距離を強調するので、射程距離はありだと思います。中高校生時代に教条主義的になりすぎた反動が今、来ているのかもしれませんね(笑い)」と振り返りました。
 飯間さんは辞書編纂への道に入った経緯について、「大学院に入ったころ、三省堂国語辞典を編纂した見坊豪紀(けんぼうひでとし)さんの本を読みました。145万枚の言葉のカードを作った人です。それを独りで集めた。言葉の観察を続けた人です。言葉に全身全霊で打ち込んだ人がいたのかとショックを受けました。偉そうにしていた自分が恥ずかしくなり、辞書を作ることは崇高な仕事だ、自分もこういう仕事をしたいと思いました。辞書編纂のアルバイトをしていて、そのまま編集委員に誘われて、仕事をするようになりました。しかも三省堂国語辞典だということで、不思議な巡り合わせを感じます。辞書の仕事はしんどいと思うことはありますが、やめたいと思ったことは全くないです。原稿の締め切りに遅れがちです。片手間にできる仕事ではありません」と述べました。
 金井さんは「40歳になってから、絵を描いたり、文章を書くようになったので、楽しいです。30代まではテレビの仕事でした。飯間さんとの出会いは辞書の仕事の取材です。その番組は視聴率も良くて好評でしたが、スポンサーの都合で打ち切りになりました。スタッフはがっかりしたのですが、それで吹っ切れたというのか、こうなったら、やりたいことをしよう、人の話を聞く仕事をしていたので、食べていけるかどうか実験してみようと思いました」と話しました。
 これからの日本語について、金井さんは「外国人が増えていて、その人たちが私たちの気づかない日本や日本語のことを教えてくれることを楽しみにしています」、飯間さんは「ネットの言語環境には楽観的に見ています。ののしり合いやヘイトがありますが、少しずつルールができてきた。主語の大きな議論をやめようということが言われるようになりました。人間はとか、男はというと、主語が大きい。主語を小さくすると、議論が緻密になります。人間というのは賢いから、ルールを作ることができると思っています」と展望しました。
 最後に、飯間さんは「日本語をつかまえろ!」について、「金井さんの画風は言葉の世界を案内するのにぴったりです。文章でうまく伝えられない部分を金井さんに丸投げしています。子どもから大人まで読めます」とアピールしました。
 質疑応答で、「ネットの新しい言葉をどこまで辞書に記載するか」の問いに、飯間さんは「本や新聞から言葉を集めるのと同じです。すぐに消える言葉は採集するけれど、辞書には載せない。息の長い言葉は載せる候補になります。どれぐらい長く使われているかが判断材料です。もう一つはごく狭いコミュニティーでしか使われない言葉は載せない。『映える』(ばえる)は大辞林最新版には載っています。どれだけ広い範囲に使われているかです。何をもって広く使われているかどうかは個別に判断します」、辞書編纂者を描いた小説・映画「舟を編む」については、「皆で辞書を作る連帯感があり、読後感が良かった。その中に、異性、男女という言葉を使って恋愛を説明するのはよくないというのがありました。だんだん男女はやめたほうがよいという考えになり、恋愛の説明に男女の言葉は入れないことにしました。本から教えられました。アニメ版には監修として参加し、思い出深いです」と語りました。






 





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