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アポロ月着陸捏造疑惑を斬る!~月探査新時代を前に

開催日:7月8日(月)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

アポロ11号による人類初の月面着陸から50年にちなんだトークイベント「アポロ月着陸捏造疑惑を斬る!~月探査新時代を前に」が7月8日、毎日メディアカフェで開催されました。
 講師は寺薗淳也さん。寺薗さんは1967年生まれ。名古屋大理学部卒業、東京大学大学院博士課程中退。宇宙開発事業団、宇宙航空研究開発機構、日本宇宙フォーラムを経て会津大学准教授。月や惑星探査の情報満載のウェブサイト「月探査情報ステーション」を運営し、小惑星探査機「はやぶさ」では広報を担当しました。近刊にスーパームーンやブルームーン、月食の仕組みなどを分かりやすく解説した「夜ふかしするほど面白い月の話」(PHP文庫)があります。「薗」の字が「菌」に似ているため、「テラキンさん」と呼ばれています。
 寺薗さんははじめに、「アポロ月着陸はうそ」という「陰謀論」について語りました。「実はアポロは月に行っていないのではないか」との説です。寺薗さんが「月着陸がうそだという説を聞いたことのある人」と参加者に尋ねると、ほぼ全員が手を挙げました。続いての「信じている人は」という問いには、誰も手を挙げませんでした。
 寺薗さんはアポロ計画の概要を次のように話しました。「アポロ計画は1960年代に行われた、人間を月に送る計画です。そもそもの目的は、当時のソ連に対抗することでした。1969年7月12日、アポロ11号がはじめて月面に降り立ちました。11号から17号まで(13号を除く)、合計6回月に着陸、12人が月面を歩きました。かかった費用は総額8兆円といわれ、最近は18兆円という試算も出ています。40万人が関わり、380kgの月の石を持ち帰りました。最後の17号は1972年12月打ち上げで、それ以来、人類は月に行っていません。人工衛星、有人飛行、宇宙遊泳は全てソ連が先でした。ケネディ大統領が演説で月に行くと宣言してアポロ計画が始まりました」
 続いて、「アポロ疑惑」の説明です。「アポロ疑惑は、1970年代からもう始まっていました。最初は自費出版の本などで、メジャーな話ではありませんでした。ところが、2001年、アメリカのFOXテレビが特集した『疑惑の理論・アポロは月に行ったのか?』という番組により、アポロ疑惑が再燃することになりました。日本では、このFOXの番組をもとに構成されたテレビ朝日の番組『これマジ!?』と、それをもとにした本『アポロって本当に月に行ったの?』で、一挙に火がつくことになりました」
 「陰謀論」をネットで検索すると、たくさん出てきます。寺薗さんが例示した一部を示しましょう。
・アポロの当時の技術では、月に無事着陸して戻ってこられる可能性が極めて低い。
・映画「カプリコン・ワン」は、実はアポロの月着陸がモデルになっている。
・月には空気がないはずなのに、月面の旗がなびいているように見える。
・月面の写真の中に、影が別方向に伸びているようにみえるものがある。
・アポロの写真は、地球上、それもアメリカの秘密地域、エリア51で撮影された。
・月面の映像で、手前の月面と背景の山との間に、境界線がハッキリとみえている。
 数多くの陰謀論の中から、3点について詳しく解説しました。
 まず、「月には空気がないはずなのに、月面の旗がなびいているように見える」という問題です。「映像をよく見ると、旗を立てるときや、旗の回りで宇宙飛行士が動いているときに、旗がはためくことが分かります。旗を立てるときの動きや、立てるための力が旗にも伝わって、それが旗自体を振動させています。もし空気で旗めいているならば、旗のまわりにある砂も動くはずですが、そのようなことはない。旗の構造自体も、はためくようにみえるよう、設計されていました。意外かもしれませんが、真空でも旗ははためきます。2016年放送のNHK BSプレミアム『幻解!超常ファイル』では、実際にミニチュアの模型で実験して確かめました。これは実は当たり前です。空気の抵抗がないので、実は真空の方が旗はより大きく、より長くブラブラと動き続けます。旗は空気がないとはためかないという私たちの思い込みのほうが間違っているというわけです」
 次に、「月面の写真の中に、影が別方向に伸びているように見えるものがある」との説です。「アポロの月着陸船と、その手前にある岩の影の方向が違っている。これは、実は光源が2つある場所、スタジオ内で撮影されたことの証拠ではないかということです。もし2つ光源があるのだったら、影も2つあるはず。でも実際にはそうなっていない。同じように影が写っているところでも、遠く離れているところの影だったら、離れているようにみえる。つまり遠近法です。地球上では、遠くのものがかすんで、遠くにあるように見えます。一方、月面には空気がないため、遠くにあるものも近くにあるように見えます。遠くにある岩がいかにも近くにあるような錯覚が引き起こされます」
 第3点は「米国の秘密地域、エリア51で撮影された」との疑惑です。「エリア51」と呼ばれる地域は、米国ネバダ州南部にあるネリス空軍基地の管制範囲内にあります。「エリア51には、原爆実験が行われた『ネバダテストサイト』と呼ばれる場所も併設されています。軍の各種秘密試験などが行われているとか、『UFOや宇宙人などが密かに収納されている』とも言われています。許可なく立ち入ると射殺されることがあり得るというほどの警戒ぶりと言われています。このような場所で、撮影されたのではないかという疑惑です。実際には、エリア51は、米軍の最新鋭の航空機などのテストが行われている場所だとされています。アポロ月着陸の撮影が行われたというような建物は見つかっていません。入り込むことができない以上、見つけるのも難しいですが。もともとエリア51で宇宙人やUFOなどを扱っているという説は一部のUFO研究家によるものです。ネバダテストサイトでは原爆実験が多数行われたため、人工衛星の画像では月面のクレーターに似た模様が見られます。クレーターに似たものを見た人が早とちりしたことも考えられます。現地では、『エリア51ミステリーツアー』も開催されています。そんな秘密基地にツアーに行きますか?」
 寺薗さんは前半の結論として、次のように述べました。「私たちが日常的に体験している現象を月に当てはめると間違いますということです。科学的に物事を考えることが大切です。大きい出来事、事件があったとき、権力を持った勢力が裏で手を引いているというのが陰謀論です。9.11同時多発テロでもあります。陰謀論の特徴は、舞台が大きな出来事、事件であることです。背景とされる存在は大きいほうがよく、米国、米軍、NASA、エネルギー系大企業、バチカンなどがよく使われます。陰謀論を信じると、物事を深く考えなくなります。実際の世の中は複雑です。陰謀論は特定集団への差別につながることがあります。ユダヤ人差別は陰謀論と結びつきやすい。陰謀論は自分の世界を狭くしてしまいます。『あれは誰々の陰謀だ』で終わってしまいます。SNSは陰謀論の人がつながりやすく、陰謀論の温床になっています。物事を論理的に考え、だまされないようにしましょう」
 後半は月探査の最新情報です。月探査機は現在、3機があります。2009年6月打ち上げの米国の月周回機「ルナー・リコネサンス・オービター」、2013年12月打ち上げの中国の着陸機+ローバー「嫦娥3号」、2018年12月打ち上げの中国の着陸機+ローバー「嫦娥4号」です。
 「火星には現在8機の探査機があり、火星の方が探査機の数は多い。嫦娥4号は中国が打ち上げた4機目の月探査機で、史上初の、月の裏側への着陸に成功しました。通信は、上空の小型通信衛星が中継します。すごいとしか言いようがありません。インドは『チャンドラヤーン2号』を計画しています。周回機、着陸機、ローバーを積んで、7月15日にも打ち上げ予定です。世界が再び月へ向かっています。2017年、米国は月上空への宇宙ステーション計画『深宇宙ゲートウェイ』を発表しました。国際宇宙ステーションに代わるもので、常時4人の宇宙飛行士が深宇宙ゲートウェイに滞在します。深宇宙ゲートウェイからは月に降りての探査も行われる予定です。この深宇宙ゲートウェイ計画には、ロシア、ヨーロッパが参加を表明しています。日本は公式には『参加を検討中』という立場ですが、すでに担当する場所も明らかになっており、今年中には参加を表明するとみられます。2024年に建設開始、2028年ころに完成予定です。『アルテミス計画』は米国が目指す、月面着陸計画です。両方ともNASAが進めていますが、深宇宙ゲートウェイ計画とは別の計画です。2024年までに月へ有人探査機を打ち上げ、宇宙飛行士を送り込み、その後、月面基地を構築する予定です。開発にあたっては、NASAだけではなく、民間宇宙企業、例えば、スペースX、ブルー・オリジンといった会社の力を借りると言われています。2020年以降は、人間を月に送る動きが活発になってくる一方、月着陸機も次々に打ち上げられます。月にある水や資源の利用が期待されています」
 さらに、寺薗さんは「もう1つの50周年」について語りました。「1969年2月、メキシコのアエンデ隕石落下、1969年9月、オーストラリアでのマーチソン隕石落下という、貴重な隕石の落下から今年が50周年です。隕石の落下はよくあることですが、この2つの隕石は実はちょっと変わっていた。実はリュウグウの『C型小惑星』と、中身がよく似ているのです。有機物や水などが割と多く含まれている。落下してから早くに科学者が回収したので、質の良いサンプルが得られました。この2つの隕石により、小惑星、とりわけC型と呼ばれる始源的な小惑星の理解が進みました。これからは、『はやぶさ2』が持って帰ってくるサンプルが小惑星についての理解をつなげてくれるでしょう」
 寺薗さんは最後に、今年3月に米国で開催された「月惑星科学会議」で、「はやぶさ2」の成果が世界の研究者から注目されたことを話しました。
 また、自身が運営に携わる月と月・惑星探査の情報を集めた日本最大級のウェブサイト「月探査情報ステーション」について紹介しました。「2018年11月2日に満20周年を迎えました。最新の情報を分かりやすく、そして科学者の目から『正しく』解説し、多くの人から好評を得ています。『今日の月』などのいやし系、お楽しみコンテンツも人気です。ぜひアクセスしてみてください」と呼びかけました。
https://moonstation.jp
 この後、参加者との活発な質疑応答がありました。日本の月探査についての質問には、「月探査機は『かぐや』以来、行っていない。完全に遅れています。今からでも遅くはない。早く国際協力計画に加わり、宇宙ステーションへの補給船『こうのとり』のような日本ならではの技術を開発してほしい」、月の資源利用についての問いには、「月にはヘリウム3、チタンなどの資源があります。宇宙条約は、地球以外の天体はどこの国にも属さないと決まっている。例えば、民間企業が月から持ち帰ったらどうするか。宇宙条約を超える縛りをかけなければならないと考えます」と答えました。



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