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元村有希子のNEWSなカフェ プラスチックごみ問題を考える#4 どうする?日本

開催日:6月18日(火)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:ScienceCafe

毎日メディアカフェのセミナー「元村有希子のNEWSなカフェ プラスチックごみ問題を考える#4どうする?日本」が18日、毎日ホールで開かれました。会場には、150人が集まりました。
 毎日メディアカフェはプラスチックごみ問題のセミナーを連続開催してきました。一方、元村有希子・毎日新聞編集委員がホットなニュースにかかわる方を招いて話を聞く「元村有希子のNEWSなカフェ」が5月から始まりました。この二つがコラボしたセミナーです。6月末に大阪市で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合を前に、国際社会での日本の責務について議論しました。
 ゲストは、プラスチックを含むすべてのごみの8割を資源としてリサイクルしている徳島県上勝町のNPO法人「ゼロ・ウェイストアカデミー」の坂野晶理事長と、WWF(世界自然保護基金)ジャパンの三沢行弘・プラスチック政策マネジャーです。毎日新聞科学環境部の環境チームキャップとして、温暖化の被害軽減策「適応」をテーマにしたキャンペーン「+2℃の世界」を担当している大場あい記者も同席しました。
 最初に、大場記者がG20サミットに先だって6月15、16日に長野県軽井沢町で開催されたG20エネルギー環境関係閣僚会合について報告しました。「環境担当閣僚が集まる会合は初めてです。2回のセッションのうち、1回は海洋プラスチックごみ問題がテーマになりました。海洋プラスチックごみ対策実施枠組みが合意されました。米国を含む全ての国が合意したという点がポイントです。内容は海洋への流出量の統計データ、各国の対策などを報告してもらう枠組みが提案されました。しかし、いつまでにどれだけ削減するのかという数値目標はありません。また、中身は自主的な取り組みに任されています。いつまでにどうなるかは分からないというのが実情です」
 次に、三沢さんが「プラスチック汚染問題解決に向けた世界の動向」について話しました。三沢さんは公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンプラスチック政策マネジャー。英国オックスフォード大学MBA。企業等で国内外の事業の企画・推進に携わった後に、WWFジャパンに入局。人類が自然と調和して生きられる未来を築くことを目指し、グローバルに海洋保全につながる活動をしています。「2030年までに世界で自然界へのプラスチックの流入を無くす」というWWFのビジョン実現に向け、政策決定者や企業関係者に働きかけ、プラスチックの大幅削減を前提とした資源循環型社会への転換を推進しています。
 三沢さんはプラスチックごみの現状について、次のように話しました。「プラスチックの世界の生産量は年間3.96億トンで、1950年に比べて200倍に増えました。年間約1億トンが適切に処理されずに自然界に出ており、このうち800万トンが海に流出していると推定されています。レジ袋など、ただ同然で配られているものが多い。プラスチックが安すぎて、リサイクルされないのです。環境を守るコストが入っていないという構造的な問題があります。政策面では、世界の80カ国がレジ袋、発泡スチロールへの規制を導入しています。禁止や課税です。日本ではまだ導入されていません。EUが進んでいると言われています。海岸で見つかるプラスチックごみは、たばこ吸い殻、食品容器などが多く、それに対応した対策が講じられています。プラスチック製ナイフ、フォークを2021年までに流通禁止にすることも決まっています。EUは7割を減らせると言っています。日本の海岸で見つかっているごみは、JEANの2017年調査実績によると、漁業ごみ、プラスチック破片、たばこフィルターが多いと報告されています。EUのように、規制が入っていない現状です」
 続いて、世界の取り組みです。「国際連合とエレン・マッカーサー財団が『新プラスチック経済グローバル・コミットメント』を呼びかけました。世界の350企業が問題解決に責任を果たしていくと宣言しています。2025年までに不要なプラスチックを根絶するといった約束をしています。日本はまだ2社しか入っていない。『PACT』という取り組みがシンガポールで始まりました。グローバル・コミットメントと同じ考えで、リサイクルできないプラスチックの削減、根絶を目指しています。PACTの呼びかけで、飲食店が7月1日までにストロー提供を取りやめるという呼びかけに270店が応じています。ごみ処理には優先順位があります。高い順に、使わない▼削減する▼リユース▼リサイクル▼熱回収▼埋め立て▼廃棄――です。日本の廃プラスチックの有効利用率は86%です。高いように見えますが、輸出が入っています。中国は輸入を禁止しました。輸出は望ましくない。また、燃やす熱回収が入っています。国内のリサイクル率は14%です。プラスチックの使い方を見直し、900万トンの廃プラスチックを減らすことが重要です」
 G20対策実施枠組みについては、「削減目標がないのは大きな問題です。自主的な対策に委ねられていることも問題です。膨大なプラスチックが海に流出しているのを止めなければならないことで合意していないので、WWFはそれが残念だというコメントを出しています。モントリオール議定書はオゾン層破壊に大きな効果がありました。こうした取り組みがプラスチック問題でも必要です。国際的枠組みを求めるインターネットでの署名は74万人が署名しています」と語りました。
 続いて、坂野さんが話しました。坂野さんは大学で環境政策を専攻後、国際物流企業での営業職を経て現職。日本初の「ゼロ・ウェイスト(ごみや無駄をなくす)」宣言をした徳島県上勝町を拠点に、自治体の廃棄物削減計画策定や実装、ゼロ・ウェイスト認証制度の設立・運用、企業との連携事業など政策立案や事業開発をするとともに、国内外で年間100件以上の研修や講演をしています。2019年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で若手リーダーの一人として共同議長を務めました。
 坂野さんは「上勝町は和食の飾りになるような葉っぱを集めて売る『葉っぱビジネス』でも有名な町です」と紹介し、活動を報告しました。「2003年にゼロ・ウェイスト宣言をしました。町では、ごみを45分別しています。そんなのできるか、と思うかもしれません。それぐらいやろうとすればできなくはないということです。町に1カ所、『ごみステーション』があります。自分でごみを持ってきます。ごみ収集車は走っていません。ごみステーションには表示があり、何を入れるだけではなく、それがどこに行って何になるのか、待ちの収入になっているのかなどが書かれています。どうなるのかが見えるという透明性が担保されることは大事だと思います」
 「町は高齢化、人口減が進んでいます。ダイオキシン対策で小型焼却炉が禁止された時点で、自分たちで燃やす以外の選択肢を考えました。それがゼロ・ウェイストです。『くるくるショップ』というリユースショップもあります。自分で使わないものを置き、ほしい人が自由に持っていきます。こいのぼりは生地がしっかりしているので、また使えます。リサイクルではなく、付加価値を付ける『アップサイクル』と呼んでいます。おじいちゃん、おばあちゃんがものづくりをする場所になっています。日本のリサイクル率は20%ですが、上勝町は最高81%です。生ごみは100%堆肥化されています。リユース率は90%以上、ごみ焼却経費は6分の1です。視察者年間2000人もいます」
 「ごみステーションは地域コミュニティの拠点になっています。生ごみがないし、きれいにして持ってくるので、いやな臭いがしません。ごみのいやなイメージの価値転換が起こっている。しかし、2割はリサイクルできません。そもそもリサイクルできる素材ではない、何の素材か分からない商品もあります。素材、製品設計を変えなければなりません。ゼロ・ウェイスト認証制度によるお店の応援・巻き込みを始めました。お店はプラスチックをなぜ使わないかをお客さんとコミュニケーションします。店のマップを作って視察の人に回ってもらいます。飲食店から始め、アパレル店にも広げています」
 最後に、普及啓発活動について話しました。「子どもたちが楽しく取り組めるよう、カードゲームを、クラウド・ファンディングで作成しました。どうしたら、ごみを減らせるかを競うゲームです。リサイクルよりもリユースのほうがポイントが高く、使わないですむ方法だともっとポイントが高い。優先順位を考えてもらいます。地域内での取り組みには限界がありますが、持続可能性は地域・コミュニティにしかない。両方を見ることが重要だと思います」
 この後、参加者との質疑応答を交えながら議論しました。坂野さんは自身が実施した「ごみゼロ結婚式」の様子を話しました。紙おむつ問題についての質問に、坂野さんは「利用できない19%の2割は紙おむつです。大きなごみ問題です。世界的にも問題視されていて、メーカーが部分的にリサイクルできる技術開発をしています。上勝町では、布おむつのスタートセットを寄付しています。渡すだけではなく、使い方をお母さんがサポーターとして教えます」と答えました。
循環経済を目指す動きが日本で活発ではない現状について、三沢さんは「欧州はサーキュラーエコノミーを官民で推進していますが、日本は政策がはっきりしない。企業も様子見している。まず減らすことをしっかりやっていかなければならない。一企業でできることは限られており、十分な対策ができていない」と指摘しました。
 三沢さんは使い捨てプラスチック25%削減を掲げた政府の目標について、「25%は鳴り物入りの目標ですが、何に対しての目標か、何トンかを明示していない。欧州は具体的に決めている。レジ袋有料化は大事なステップですが、それで問題が解決するのか。量で見ると廃プラの2%です。海ごみ対策アクションプランは大事ですが、蛇口を閉めることを戦略に入れるというのが不十分だと思います」と述べました。大場記者も「方向転換とは読めませんでした。有効利用に熱回収が入っている。問題を直視して変えようとする方向性が出されていない」と同意しました。
 最後に、「日本政府にG20にどう臨んでほしいか」について、大場記者は「数値目標、割合やいつまで何をするかを打ち出せるのかどうかに注目しています」、坂野さんは「20年後、30年後に今を振り返り、あの時どうすれば良かったかを考えるという視点から、意思決定してほしい」、三沢さんは「中身をしっかりしてほしい。注目が高まっている中でのG20なので、国際的枠組み作り、拘束力を持った枠組みを日本がリードして呼びかけることを求めたい」と注文しました。



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毎日新聞東京本社1階にある「MOTTAINAI STATION」を毎日メディアカフェとして午前11時から午後6時(イベント開催日は午後8時30分)まで開放しています。新聞や雑誌を読んだり、タブレット端末で毎日新聞ニュースサイトなどを検索したりできます。イベントは全て無料で参加できます(予約制、申し込み順)。

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