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プラスチックごみ問題を考える#3

開催日:5月9日(木)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

毎日メディアカフェの環境セミナー「プラスチックごみ問題を考える#3」が5月9日、毎日ホールで開催されました。
 海洋でのマイクロプラスチックをはじめとしたプラスチックごみ問題が世界的な課題になっていることから、毎日メディアカフェはこの問題での連続セミナーを開催しており、今回が3回目です。
 最初に国連広報センター所長の根本かおるさんが挨拶しました。根本さんはテレビ朝日を経て、1996年から2011年末まで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で、アジア、アフリカなどで難民支援活動に従事。ジュネーブ本部では政策立案、民間部門からの活動資金調達のコーディネートを担当。WFP国連世界食糧計画広報官、国連UNHCR協会事務局長も歴任。フリー・ジャーナリストを経て2013年から現職です。国連のSDGs(持続可能な開発目標)普及などに尽力しています。
 根本さんは「今日持ち帰ってもらいたい言葉」として、「Refuse if you cannot reuse」(捨てるならもらわない)」を紹介した後、次のように話しました。「2050年には人口が96億人に増え、地球が三つ必要になるとされています。生活スタイルを見直さなければならない状況にあります。先日、ケニアを訪問しました。ナイロビで第4回国連環境総会が開かれている最中でした、中心議題の一つとなったのがプラスチックごみ問題でした。本部の敷地の中で、『フリップフロップ号』という船がありました。ケニアの沿岸部で回収されたプラスチックごみ、ビーチサンダルをもとに作られました。カラフルなフリップフロップ号はザンジバル島まで航海し、寄港した場所で、子どもたちへの環境教育、地域住民へのリサイクルのワークショップを開きました。すごい人気でした。フランスのマクロン大統領も乗りました。ケニアではフリップフロップサンダルを回収して動物の置物にして、土産品にもなっていました。ケニアは使い捨てプラスチックの輸入、使用、生産を禁止しています。レジ袋の代わりに不織布を使っています。3月下旬、ケニア政府は不織布も使ってはいけないという決まりを出しました。すぐに破れてポイ捨てされるからです。しかし、高等裁判所が決定の差し止めをして、宙ぶらりんの状況です。日本の技術を活かして使い捨てレジ袋に替わるものを提供することができれば、マーケットが広がり、生活の質の向上にもなると思います。G20サミットでもプラスチックごみ問題が話されます。私たちはライフスタイルを見直す啓発ビデオを作りました。これを世界に配信します。足下からできるアクションの参考にしてください」
 この啓発ビデオが上映されました。
 続いては、小島あずささんです。小島さんは一般社団法JEAN副代表理事・事務局長。1991年にJEAN/クリーンアップ全国事務局を設立。年2回の全国一斉クリーンアップキャンペーンとごみ調査を開始。国際海岸クリーンアップのナショナルコーディネーターになりました。2006年に第12回日韓国際環境賞を受賞。環境省の海岸漂着物対策専門家会議委員などを務め、共著書に「プラスチックの海」(海洋工学研究所編)などがあります。
 小島さんは「海洋ごみは古くて新しい問題です」と切り出しました。「昔のごみは天然素材がほとんどで、量も少なかった。現在は、プラスチック製品を大量に捨てるようになり、清掃だけでは対応不能になりました」
 海のプラスチックの何が問題なのか。小島さんは「海岸のごみの7、8割がプラスチックです。製品としては長所だった安定性がごみになると短所になります。安定しているから、ずっとそこに残ります。軽くて便利だという長所は、雨や風で簡単に移動する、国や地域を越えて移動することになります。生物への悪影響として、絡まり、誤飲があります。プラスチックは分解ませんが、崩壊します。劣化して細かい破片になり、水産品への混入が増加します。有害化学物質を運ぶことも心配されています」と指摘しました。
 プラスチックの年間生産量は世界で約4億トン。このうち半分は使い捨ての容器包装プラスチックです。日本では、1人年間約75キロのプラスチックを消費します(2012年)。レジ袋は年間305億枚。1人が1年に300枚近く使う計算になります。ペットボトルの販売本数は236億本に達します。
 小島さんはプラスチックの普及と生物への影響の歴史を振り返りました。1964年にはすでに深海魚のミズウオの胃からプラスチック片が検出されるという報告があります。「ごみによる生物への被害は誤飲、誤食があります。生物は栄養が取れなくなってしまいます。遠州灘で見つかったウミガメは腸壁が破れてシート状のプラスチックが見えています。アシカなどの首に絡まる例もあります」
 国際海洋クリーンアップICCの誕生は1986年。米国での活動に続き、日本が1990年、第2の活動国になりました。「ごみを拾うだけでは解決にならない。ごみを分析して、ごみを元から断とう」というのがICCの考え方です。2017年には107カ国に増えました。小島さんが事務局長を務めるJEANは海洋ごみ問題解決のために活動しています。
 この後、長崎県対馬の無人島、沖縄県西表島、茨城県の海岸、北海道知床半島先端部など、ごみが漂着している地域の写真が紹介されました。海ごみはどこから、誰が排出するのでしょうか。海辺での置き捨て、船からの流出、貨物の資材の流出、別の海岸から流れてくる、ポイ捨てを含む不法投棄、散乱ごみが川を通って海に出る――などを例示しました。「私は毎朝、犬の散歩をしながら、ごみを拾っています。拾えば減ると思っていましたが、いつも同じぐらいの分量が回収されます。カラスが納豆のパックを落としたこともありました」
 問題視されるマイクロプラスチックは5mm以下のサイズのプラスチックです。樹脂(レジン)ペレットなどがあります。「最大の問題点は回収することができないことです。これまでに排出してきたプラスチックごみの劣化が進んでいます。1997年のJEANの湘南海岸 での調査では10m×10mの範囲に3万2258個のプラスチックごみがありました」
 「多くの課題があります。海洋ごみは再利用が難しい。水分、塩分が付着し、汚れており、リサイクルはできません。研究成果を現場の取り組みに活かすのはこれからです。現場で向き合う住民、NPO、市町村は疲弊しつつあります。全国規模のNPO・NGOへの公的支援はほとんどありません。海洋プラスチック憲章に日米は署名しませんでした。私たちにできることは現実を知り、当事者意識を持つことです。個人の行動への期待だけでは限界があり、社会の仕組みの変革が必要です」
 小島さんは最後に、60gのプラスチック破片が入ったビンを掲げ、「鳥の体内に入っていたプラスチックごみを体重50kgの人間に換算すると60gです。ご自分のおなかにこれだけのプラスチックが入っていると想像してみてください。私たち人間だけがプラスチックを作っているのです」と訴えました。
 次に、日本プラスチック工業連盟(プラ工連)専務理事の岸村小太郎さんが話しました。岸村さんは1979年、三井石油化学工業(現三井化学)に入社。機能性ポリオレフィンの研究・開発に従事。独立行政法人理化学研究所に出向、旧科学技術庁に勤務などを経て、2013年に日本プラスチック工業連盟事務局長、15年から現職。環境省のプラスチック資源循環戦略小委員会の委員も務めています。
 「海洋プラスチック問題への取り組みとプラスチック資源循環戦略」と題する講演で、岸村さんはまず、樹脂(レジン)ペレット漏出防止について報告しました。樹脂ペレットはプラスチック原料(レジン)を、加工しやすいように3~5mmの粒状にした素材です。「JEANが全国の海岸などで樹脂ペレットを確認したことを踏まえ、漏出防止マニュアルの作成・配布などをしました。私は2013年にプラ工連に入り、荒川河川敷を見に行きました。NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラムが清掃していた場所で、ごみがないように見えましたが、よく見ると、かなり樹脂ペレットがありました。何とかしなければならないと思いました。その後、リーフレット『樹脂ペレット漏出防止徹底のお願い』を出しました。漏出防止マニュアルには共通対策、発生源対策、こぼれペレット対策、漏出防止対策が示されています」
 マイクロプラスチックが周辺海水中から汚染物質を吸着するという研究報告があります。「魚を食べていけないの」「プラスチックは危険なの」という不安の声が出る可能性があります。そこで、プラ工連は日本化学工業協会に、「マイクロプラスチックが魚類等に及ぼす影響の立証研究」をLRI(化学物質が人の健康や環境に及ぼす影響に関する長期的支援活動)委託研究課題として採用するよう要請し、2018年度新規課題に採択されたそうです。
 プラ工連は環境NPO/NGOの支援にも取り組んでおり、荒川クリーンエイド・フォーラム、全国川ごみネットワークJEANの活動を支援しています。
 新しい取り組みとして、「海洋プラスチック問題の解決に向けた宣言活動」があります。2017~2010年の新4カ年計画に基づく活動で、企業・団体が「プラスチック海洋ごみの削減に努めます」といった内容の宣言書に署名し、自主的に活動します。今年2月の時点で、40社・11団体が署名しています。自主的活動の具体例として、岸村さんは「海洋ごみになることを防ぐ販売方法の検討。例えば、製品取り扱い注意事項に『海洋ごみ防止』の観点を取り入れる。樹脂ペレット出荷用紙袋への漏出防止注意表示をする。間接的な方策としては、NPOの活動の後援、クリーンアップ活動への参加があります。CSR活動として日常的に行っている清掃活動に、『街のごみを拾うことで、ごみが川や海へ流出するのを防いでいます』と書いたのぼりやパネルを掲示する」といった例を示しました。
 また、企業の具体的な取り組み事例として、「原料樹脂メーカーの工場で、何らかのミスで構内にこぼれ出たペレットを捕集するために、排水枡の格子の下に金網を取り付けた」「発泡スチロール製品メーカーが、養殖いかだで使用されている発泡スチロール製フロートの回収リサイクルを開始した」などを挙げました。
 中央環境審議会循環型社会部会「プラスチック資源循環戦略小委員会」では、日本版プラスチック資源循環戦略の策定に向け議論されています。プラ工連は「レジ袋の有料化義務化(無料廃止禁止)」を入れるよう提案するなどいくつもの意見を出しているそうです。最後に、「プラスチック最適利用社会の実現に向けて、ご協力ください」と呼びかけました。
 この後、来場者との質疑応答がありました。日本の現状について、根本さんは「外国の同僚が日本に来て驚くのは過剰包装、個装です。日本人は疑問を抱いていないのかと聞かれます。日本の当たり前は世界の当たり前でないことを理解してください」と語りました。最後に、小島さんがJEANの活動への理解と協力を呼びかけて終了しました。

小島あずささん

岸村小太郎さん



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