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希望の介護ごはん~「いただきます」ウイーク講演第4回

開催日:4月25日(木)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

希望の介護ごはん~「いただきます」ウイーク講演第4回が4月25日、毎日メディアカフェで開催されました。
 「いただきます」ウイーク(4月22~26日)は毎日新聞の連載を収録した「いただきます 平成 食の物語」(ブックマン社)の出版を記念して、収録作品や食にゆかりのある方々を招きます。
 講演の最終回となった第4回の講師は料理研究家・介護食アドバイザーのクリコさん。クリコさんは口腔底がんになった夫、章男さんに元気を取り戻してもらおうと、自宅で介護食づくりに挑戦しました。試行錯誤しながら編み出したのは、家族が食べている料理と見た目が変わらず、おいしい介護食でした。その物語は「エビフライ×介護の食卓 忘れない夫の笑顔」として、「いただきます」に紹介されています。
 クリコはニックネームで、本名は保森千枝さん。1998年に自宅キッチンでサロンスタイルのイタリア料理教室「CUCINA CURIKO(クチーナ・クリコ)」を開講。2009年には和食料理教室を開設し、季節の食材を使った一汁三菜の基本の家庭料理を紹介しました。14年に介護食アドバイザー、食品衛生責任者の資格をそれぞれ取得。自身の介護経験を活かし、「簡単においしく」「好みの味付け」「家族と同じ献立」「美しい盛りつけ」をモットーとした介護食作りを提案しています。「希望のごはん」(日経BP社)、「噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん」(講談社)などの著書があります。
 連載30編の原稿のデスクを務めた社会部の銭場裕司デスクが進行役を務めました。クリコさんの介護食の画像をいくつか紹介した後、クリコさんの話が始まりました。
 「電機メーカーの広報室に勤務していました。同僚とスキーに行ったとき、遅れてきた出版社の記者がいました。締め切りに追われていて、スキーが終わった後の宴会中に入ってきた。一目ぼれして、2年後に私からお願いしてお嫁さんにしてもらいました。主人が出版社記者だといろいろと難しいということで仕事をやめざるをえず、専業主婦になりました。イタリア料理を作り、昼間からビールを飲みながら、テレビを見るという生活に、2週間で飽きてしまいました。どうしたらいいのだろうと考えました。人を家に招くのが大好きで、料理をふるまっていました。友だちから料理教室をするよう勧められ、その気になりました。当時はイタメシブームでした。イタリア料理が好きだったので、イタリア料理を習いました。6年間、料理だけではなく、イタリアワイン、イタリア語も勉強しました。いざ、料理教室をしようとするといくじがなく、主人から背中を押されて、自宅で料理教室を開きました。主人がちらしを作ってくれて、100軒にポスティングしましたが、それでは人が集まりませんでした。しかし、友人が来てくれて、口コミで広がり、生徒が170人ぐらいになりました。順調に教室をして、充実した毎日でした。私の主治医から医大に通う娘に和食を教えてくれないかと頼まれました。断りましたが、どうしてもと言われ、引き受けました。それで、和食も教えるようになりました」
 順風満帆な生活が一変したのは2011年11月。52歳の章男さんが口腔底がん、歯肉がん、舌がんを併発していたことが分かったのです。
 「8時間に及ぶ長い手術でした。手術後、下の歯で残ったのは1本。術前に、後遺症で味覚がなくなる可能性が高いと聞いていました。1カ月後、飲食を許されました。具のない味噌汁を飲んで、『おいしい』とつぶやいたら、医療チームが『おーっ』と声を出しました。私も、味覚があれば何とかなると思っていたので、安堵しました。主人は術前に比べて体重が7kg減りました。下あごに麻痺が残り、かむ力はなくなっていました。病院食はムース状のおかず、具のない味噌汁、スープに近いお粥で、食欲をそそらない見かけ、味です。かむ力は想像以上に損なわれていました。1時間半かけても半分食べ切れない。朝食が終わって、ぐったりしていると昼食。昼食後、ぐったりしていると夕食です。食べることに疲れてしまったというメールを送ってきました。下あごが麻痺しているので、鏡を見ながらスプーンを口に運び、上唇で押さえてスプーンを抜きます。じれったいほど時間がかかります。食べることに苦労して、食べることを諦めている状態でした」
 そんなとき、ある出来事が起こります。
 「早く体力を回復してもらいたいので、『食べないなんて、わがままよ』と言ってしまったのです。実は食道がんも見つかっていて、体力が回復したら内視鏡手術をする予定でした。前年には、肺がんの手術をしており、開腹手術に耐えられる心肺機能はないと言われていました。同じ部位に照射できないということで、放射線治療もできない。だから、食道がんが進行すると治療方法がなくなるということで、何とか食べて体力を回復してほしいと思っていたのです。実際に病院食を食べてみると、味が良くない。主人が食べるのは無理だと思いました。流動食しか食べられないのに、いつもプロセスチーズが付いてくるのです。もう病院には期待できない、自分で作るしかないと決意しました。私には料理の経験、知識、技術があるはずです。それでも、初めての介護食作りは途方にくれました。何も分からないところからのスタートでした。主人が美味しいと言ってくれるものをどう作るか。摂食嚥下看護認定看護師に尋ねると、『やわらかいものなら何でもいいです』という答えしかありませんでした。ネットで調べて、かんだり飲み込んだりする力が弱い人向けの食事が介護食だと知りました。しかし、書店に行っても、介護食レシピ本はない。当時は市販の介護食品は少なく、ネットで売っているのは、中身が分かりません。それなら、自分で作ってみようと思いました」
 介護食作りで壁になったのは、時間、道具、少量多品目でした。
 「流動状のもの、舌と上あごでつぶせるものにするには、食材を加熱しなければなりませんが、どれだけ加熱するかが分からない。例えば、うどんで試すと、27分間ゆでて、ようやくつぶせるものになりました。野菜のピュレ(ゆでて、すりつぶしたもの)を作るのに適した道具には、ミキサー、ハンディプロセッサーなどがありますが、野菜によって、どれが適切なのかが分からない。壁にはピュレが飛び散り、右腕がしびれる状態になりました。野菜と道具には相性があることを知りました。一口食べるだけでも時間がかかると、同じ味が続いて飽きてしまいます。そこで一品の量を減らし、種類を多くするのですが、一日中、食事を作っていることになります」
 試行錯誤している時期に起こったのが「運命のお粥事件」でした。
 「主人がすまなそうな顔で、『お粥の水分を減らしてくれないかな』と言いました。『昨日は、食べられていたじゃない』と、強い言葉を投げつけてしまいました。主人は『ごめんね。手術の傷の腫れがひいて、口の中の形が毎日変わるみたいなんだ』と言いました。その言葉を聞いて猛烈に反省し、歯を使わずに、ご飯を食べてみました。歯だけではなく、舌やほっぺたなど、いろいろな筋肉を使わないといけないことが分かりました。主人が失ったものの大きさと苦しみの一部が理解できた気がしました。この日から取り組む姿勢が変わりました」
 「かみやすくする、飲み込みやすくするとはどういうことなのか。具体的な情報がない。主人に大好きなクリームシチューを食べさせたいと思いました。野菜をぎりぎりまで小さく切って、とろとろになるまで煮ます。喜んで食べてくれました。小さくなっていればかみやすく、かむ回数が少なくなる、とろみがつくと飲み込みやすいということが、腑に落ちました。ブレークスルーでした。トマト、かぼちゃ、にんじん、ほうれん草などの野菜ピュレをまとめて作り、小分け冷凍して使うようにしました。介護食作りが面白く、いろいろなアイデアが降り注いでくる状態でした」
 クリコさんの考案した介護食が次々に紹介されました。「ホタテとアボガドのタルタル仕立て」「枝豆のポタージュ」「ふわふわ鶏団子のトマトソース煮」「新たまねぎのチキンスープ煮」「お麩のフレンチトーストりんご甘煮」「カステラでしっとりティラミス」。「料理は見た目が大事」ということで、「流動食はタテに積み、立体的に演出する」こともポイントとして指摘しました。
 「クリコ流ふわふわ介護ごはん」では、逆転の発想から生まれた「ふわふわシート肉」が登場します。「ふわふわ豚シート肉」は豚ひき肉に、すりおろしジャガイモ、麩、卵などを混ぜ、ミキサーにかけて肉ダネにします。これを長方形に成型して保存し、料理のときにもう一度、肉の形に再現します。「野菜のピュレ+〇〇」という方程式で作れるものは無限大にあるとして、かぼちゃのピュレに、くず粉、牛乳、砂糖で作る「かぼちゃのプリン」などを紹介しました。
 フルーツが大好きな章男さんのために、「イチゴを食べさせたい」と思ったクリコさんは、「介護食用ゲル化剤」に出合いました。これを使うと、誤嚥を防ぐための「とろみ付け」「ゼリー化」が簡単にできるのです。
 クリコさんと章男さんの歩みと、「ふわふわシート肉」をはじめとした介護食の作り方を紹介する動画が制作されました。完成したばかりの7分間の動画が映されました。この中で、クリコさんは「介護食作りは苦しいことではなく、楽しいことだと伝えたい」と話しました。
 最後に、クリコさんは「主人は6年半前に他界しました。介護食の情報がない中で、たいへんな時期もありました。介護食は新しいジャンルの料理で、それを作るのに特別な技術は必要ではなく、大切なのは工夫することです。シート肉や、エビのすり身のフライなど、制限があったからこそ、いろいろなアイデアや工夫が生まれました。制限があることをポジティブにとらえ、我が家流の介護食作りを楽しんでいただきたい。お役に立てるよう、お手伝いしたいと思います」と結びました。
 この後、質疑応答がありました。
 動画は5月に毎日新聞ニュースサイトの動画コーナーに掲載される予定です。
 クリコさんの介護食を知るサイト
「クリコ流ふわふわ希望ごはん」
http://curiko-kaigo-gohan.com



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