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アラビア文化への誘い ~ 「鷹狩」に学ぶ日本とアラブのつながり

開催日:3月13日(水)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:アラビアシリーズ

毎日メディアカフェのイベント「アラビア文化への誘い~鷹狩に学ぶ日本とアラブのつながり」が3月13日、毎日ホールで開催されました。
 サウジアラビアの国営企業を親会社に持つアラムコ・アジア・ジャパンは、より多くの方々がアラビア文化に親しみを感じてもらうため、今年度、「アラビア・シリーズ」を開催してきました。最終回のテーマは「鷹狩」。鷹狩とは、訓練した鷹を用いて獲物を捕らえるという最古の狩猟技術の一つで、「放鷹( ほうよう)」と言います。日本でもよく知られる文化ですが、その起源は古くアラビア半島にまで遡るとも言われます。同社と縁のある諏訪流放鷹術第18代目宗家鷹匠の大塚紀子さんが講師を務めました。
 最初に、アラムコ・アジア・ジャパン経営企画室で広報を担当する石井陽子さんが挨拶しました。「アラムコ・アジア・ジャパンはサウジアラビアの国営企業サウジアラムコの日本法人です。サウジアラムコの社員は約7万人。世界有数の原油生産量を誇ります。日本の原油の40%はアラムコから供給されています。アラムコ・アジア・ジャパンは原油販売サポートなどの本業のほか、被災地支援、文化・環境の保護、日本とサウジアラビアの交流などに取り組んでいます。アラビア文化について知ってほしいと、アラビア・シリーズを企画しました」
 続いて、大塚紀子さんが話しました。まず、鷹狩、放鷹とは何かから解説しました。大塚さんは鷹匠の伝統的な装束を身に着けていました。「鷹狩、放鷹は訓練した猛禽を使い、小鳥や小動物をとらえる猟法です。使用する猛禽類はタカ、ワシ、ハヤブサ。地域や環境によって異なり、日本ではオオタカが愛用されます。オオタカ、ハイタカなどのタカは短距離、小回りが得意です。木に隠れて待ち伏せて獲物を捕ったりします。オオタカは東京にもいて、浜離宮や皇居でも巣が確認されています。日本の環境に適していると言われます。ワシは幅広い羽根が特徴で、上昇気流を利用して舞い上がります。長距離を飛ぶことが得意で、つかむ力が大きい。キツネや、モンゴルだとオオカミなど比較的大きな動物を捕ります。日本ではあまり人気がないです。ハヤブサは世界的に一番人気があります。長い翼があり、長距離の飛行が可能です。急降下して蹴る力で獲物を即死させることができ、ダイナミックな狩りができます。日本でもオオタカに次いで人気があります。鷹匠は狩りをする為政者、鷹主のために鷹を訓練する役職です。現在はその技が、実演、害鳥の追い払い、野鳥の研究、リハビリテーションなどに活かされています」
 大塚さんはどうして鷹匠になったのでしょうか。「私は千葉県生まれで、父親の転勤に伴い、関西を転々としました。小学生の時に千葉県に戻り、自然と触れあう生活をしていました。小中学校で陸上、軟式テニスをしましたが、高校時代は勉強に専念しました。スポーツが好きで、スポーツに関連する大学に行きたいと思い、早稲田大学人間科学部スポーツ科学科に入りました。しかし、スポーツの経験が足りず、活かせる場を探す自信を持てませんでした。これからできることは何かを考え、自分らしい生き方を探し始めました。卒論のテーマを探していた時、動物が好きだったことを思い出しました。人と動物は言葉が通じないのに、なぜ協力したり、一緒に遊んだりすることができるのかという疑問が生まれました。新聞で東京にも鷹匠の方がいることを知り、鷹匠を取材しました。鷹の美しさに感動し、いつか私も飛ばせるようになりたいと思いました。鷹匠に『鷹の機嫌がよくない』と言われても、私には分からない。いつか分かるようになりたいと思いました。卒業後、就職しましたが、1995年、鷹匠に弟子入りしました。98年にはハヤブサを飼い始めました。鷹を飼う前にすることとして、道具の作り方や使い方、鷹の訓練に必要な体力づくりです。鷹が木の枝のように安心して止まることができるには、バランス、体幹が重要です。体幹を安定させて、鷹が疲れないようにする。片方に力が入るとゆがんだり、筋肉痛になったりします。2007年に鷹匠に認定され、2015年、諏訪流の継承者になりました。今は若い弟子の育成に協力しています」
 大塚さんが海外に興味を持ったきっかけは2004年、アブダビで開催された「狩猟と馬術の展覧会」(ADIHEX)に師匠の諏訪流放鷹術第17代目宗家鷹匠の田籠善次郎さんとともに参加したことでした。鷹匠には「手明」と呼ばれる雑用係が付きます。江戸時代には、明かりを持って鷹匠の前を歩いたそうです。大塚さんは田籠さんの手明を務めたのです。「そのときに、日本のことを知らない海外の方々に、日本のことを伝えたいと思いました」と振り返りました。大塚さんはその後、ユネスコの無形文化遺産に鷹狩を申請しようという動きがあり、鷹狩文化ゆかりの地を歩いたり、アブダビで鷹匠研修を受けたりしました。
 次に、世界の鷹狩の歴史に言及しました。「中央アジアから西アジアの一帯で、遊牧民が始めたのではないかと言われています。その後、東アジアやヨーロッパに伝わり、さらに南米、オーストラリア、東南アジアにも広がりました。今でも90カ国に鷹狩文化が残っています。鷹狩を示唆する遺跡がシリアにあります。5000年前の出土品に鷹とウサギと思われる姿が描かれています」
 一方、日本では。「日本書紀に百済の帰化人と仁徳天皇が放鷹をしたと書かれています。701年の大宝律令では、『主鷹司』の設立が書かれています。嵯峨天皇時代の818年、『新修鷹経』という指南書が誕生しました。鷹狩の保護者は為政者で、天皇や貴族による放鷹文化が生まれました。権力が武士に移り、江戸時代に放鷹が最も発展しました。徳川家康が鷹狩を好んだためです。鷹や鷹による獲物の贈答儀礼が盛んになり、鷹で獲ったツルが貴重なものとなりました。鷹をいただくことは名誉なことでした。鷹狩は軍事訓練、民情視察、健康維持、遊興の意味がありました。浜御殿(浜離宮)は馬術や釣りも楽しむ場でした。狩りにおける鷹匠の役割は、その日に殿様に獲物を捕らせることです。獲物を殿様の方に行かせる演出を考えなければならない。鷹を助けて、殿様を良い気分にする。鷹匠は鷹よりも目立つ存在ではないのです」
諏訪流の歴史はどうでしょうか。「諏訪氏はかつて神官でしたが、武士になり、武田氏に滅ぼされました。その流れをくむ小林家が信長、続いて徳川家康に仕え、徳川直参の鷹匠になりました。諏訪流の特徴は鷹への敬意です。鷹を主人と思って仕えます。鷹は神仏の化身だからです。イヌやネコは人間が主人になりますが、鷹は違います。鷹の本能を利用してコミュニケーションを図ります。『鷹は鏡』と言われます。鷹は飼い主に似てくる。鷹を見れば鷹匠の人なりが見えます。『人鷹一体』で、鷹を第一に考えます。獲物のほうに鷹を行かせることを『羽合(あわせ)』と言います。鷹は目を合わせることをいやがります。警戒心を抱くのです。鷹を覗くのではなく全体を見るという感じです」
 鷹狩は2011年、ユネスコの「人類の無形の文化遺産」になりました。UAEなど11カ国の共同申請が認められました。申請国に日本は入っていません。「文化庁に聞いたら、共同申請が初めての試みで前例がなかった、日本には独自の審査基準があるなどの理由を言っていました」
イスラム教と鷹狩との関係では、クルアーン(コーラン)に「訓練した鳥獣があなたがたのために捕らえたものを食べなさい」と書かれていることを紹介しました。「鷹狩の文化を通じて、日本とアラブの交流を図りたい」と抱負を話しました。
 ここで、先代の田籠善次郎さんが話しました。UAEに行った際、1kmも離れた空を飛ぶツルの仲間を、ハヤブサが捕らえた鷹狩の様子を、臨場感豊かに紹介しました。「射程距離が日本よりもずっと長いので、驚きました」と感想を述べました。
 続いて、参加者の希望者2人が放鷹体験をしました。鷹匠が連れてきたのは鷹ではなく、モモアカノスリです。カラスほどの大きさです。まず、ペットボトルを左手に持って、真っ直ぐに歩く練習をしました。続いて、実際に「えがけ」と呼ばれる鹿革製の手袋を左手に装着して、飛んでくるノスリを止まらせることに挑戦しました。
 体験した男性は「支えられないぐらい重いのかと思ったら、軽いのに驚きました。やはり、空飛ぶ生き物ですね。鳴き声が可愛いことが意外でした」、女性は「飛び立つときの蹴る力が、ああ生き物なのだなと感動しました」と、ともに感激した様子で感想を述べました。
 最後に、鷹狩、鷹匠の伝承の意義について、田籠さんは「いったん文化や技術が消えると、復活が難しい。フランスでは、フランス革命で禁止され、放鷹が100年間消えました。フランスの人たちは昔の絵を見ながら、復活しようとしています。後の時代の人が苦労しています。日本に放鷹をぜひ残していきたいと思って活動しています。支援をお願いします」と話し、会場から拍手が贈られました。



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