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元村有希子のサイエンスカフェ「地球温暖化と災害列島」

開催日:2月27日(水)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:ScienceCafe

元村有希子のサイエンスカフェ「地球温暖化と災害列島」が2月27日、毎日メディアカフェで開催されました。
元村有希子・毎日新聞科学環境部長が科学の専門家に聞く連続企画です。今回のゲストは豪雨や洪水の予測研究が専門の中北英一・京都大学防災研究所教授。気候変動に伴う気象災害について聞きました。
 中北さんは1959年大阪市生まれ。1985年京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修士課程修了。博士課程在籍中に京都大防災研究所助手に着任。2004年防災研究所教授。工学博士。専門は水文気象学、レーダー水文学、水文気象工学。現在は気候変動による国内外の影響評価・適応研究にも従事し、国交省、気象庁、文部科学省、環境省などの審議会委員を務めています。元高校球児で、阪神ファン。趣味はビール(利きビール王者)、てっちゃん(鉄道)、2時間ドラマ。
 はじめに、元村さんが「昨年の『今年の漢字』は『災』でした。地球温暖化により、気象災害が増えていくのか、どう適応するかなどを話していただきます」とあいさつしました。
 中北さんは「昨年は悲惨な水災害がありました」と述べ、災害のあった地域の動画を召せました。まず、ヘリコプターから撮影した岡山県真備町です。昨年7月の西日本豪雨の被災地です。住宅地が広く浸水したことが一目で分かります。「亡くなった方の9割は65歳以上の方です。ほとんどは1階で亡くなりました。浸水に気がついたら、もう逃げられなくなっていたのです」
 次は広島市安芸区矢野地区の土砂災害現場。「土砂災害は年齢の違いがありません」と説明しました。最後に、昨年9月4日の台風による高潮の現場です。「水門が大阪市内に浸水するのを防いでいます。この水門は第二室戸台風(1961年)の後に造られました。60年近く前に造られた水門が初めて役に立ったのです。そこにいた防災関係者は、60年前の人たちが造ってくれた水門が今になって役立ったことに、体が震えたそうです」
 西日本豪雨はどんな災害だったのでしょうか。中北さんは次のように説明しました。「平成30年7月豪雨の特徴は、梅雨豪雨としては珍しく、長期間に広い範囲でたくさんの総雨量がもたらされたことです。それによって山腹斜面・河川流域・ダム貯水池が水で満杯になっていました。満身創痍になっていたところに、それほど強くない雨がトンカチの連打のように土砂崩壊、洪水、ダムの小貯水池からの緊急放流をもたらしました」
 元村さんは「気象庁が西日本豪雨を地球温暖化と関連づけましたね」と確認すると、中北さんは「気象庁は豪雨とその後の猛暑は温暖化の影響だと言っていますね。私は温暖化の将来予測をしていますが、その予測と矛盾しないことが起こり始めています。温暖化の影響が出始めている可能性が高いと思っています。猛暑は確実にそうだと思います。温暖化に伴い、九州北部豪雨のような狭い範囲での豪雨が起こりやすくなると予測されます。今まで災害が起こっていない地域でも起こりうる。東北、北海道でも集中豪雨が起こる頻度が増えると予測されます」と答えました。
 続いて、「後悔しない適応」について話しました。「二酸化炭素(CO2)排出削減など温暖化の進行を避けようというのが『緩和策』です。一方、温暖化に対応する力をつけていくのが『適応』です。戦後、日本の多くの山が、はげ山だったときに台風が来て、大きな被害が出ました。それ以降、治水の力を上げてきました。ようやく追いついたと思ったら、今度は温暖化の影響が出てきた。これに適応しないといけません。治水の基礎体力をつける、水があふれないようにすることが必要です。豪雨で問題になったのは、なぜ逃げないのかということです。自助・共助で逃げる力をつけなければいけない。逃げないといけないと思うスイッチをいかに早く入るようにするか。過去に災害を経験していたらスイッチが入るのですが。怖いと思わなくても逃げるようにするために、どうしきいを低くするか。避難所をサロンのようにするのは一つの案かもしれません。猛暑も大変です。猛暑のほうが実は死者が多いのです。将来予測を共有しなければならないし、災害からの教訓を学ぶことが必要です」
元村さんは「大分県日田市では、自治会活動が盛んで、雨が降り始めた時点で住民が指定避難所に行き、ご飯を作ったり、宴会をしたりした。それで皆が助かったという話でした」と早期避難の事例を紹介しました。元村さんが「水害で逃げる場所を知っている方は?」と問うと、手を上げた参加者は半分程度、「家族で話し合っている方は?」には、ぱらぱらと手が上がっただけでした。
 中北さんは「気候研究コミュニティ」「防災・減災研究コミュニティ」「実務機関」の連携についても話しました。防災・減災研究コミュニティは災害の将来変化や社会影響の研究、適応策の基本的考え方の創出、適応策の評価手法の構築などをします。行政などの実務機関は将来影響評価、適応策の構築・評価・実施を担います。
 温暖化による日本への影響推測としては、次のスライドを示しました。
台風:日本への到来回数は減る。スーパー台風の危険性は高まる
梅雨:7月上旬の日100mm以上の割合や集中豪雨の生起回数が増える。日本海側の豪雨も増えるだろう。
ゲリラ豪雨:都市化や下層水蒸気の流入増があり増えるだろう。
 元村さんの「温暖化への適応について、早くやらなければならないのに進んでいないことは何ですか」との問いに、中北さんは「全てですね。水をあふれさせないことの大事さが身にしみています。堤防を造る、川を広げる、ダムを有効に活用する。ダムに水がある程度たまらないと放流できないのですが、それをできるようにする。壊れない堤防、堤防を超えたとしても人に重要な影響を与えない方法も考えなければなりません」と答えました。
 この後、参加者との質疑応答がありました。いくつかを紹介すると。
Q 温暖化は事実かどうか、温暖化しているとしてもCO2排出量増加が原因なのかどうかを疑う説もありますが。
A 観測事実として、大気中のCO2は増えており、地球の平均気温は上昇しています。コンピューターシミュレーションでは、産業革命後の気温の上昇具合はCO2上昇を入れないと出てきません。平均気温の測定は最大限、地球全体の気温を反映できるようにした、信頼度の高い測定だと思っています。(都市部のヒートアイランドの影響は?との追加質問に) 都市だけではなく、広い範囲の測定です。猛暑は明らかに温暖化の影響が出ています。7月の状況をたくさんシミュレーションすると、産業革命以降の海水温の上昇を入れないと、猛暑はほとんど起こりえない結果になります。イベント・アトリビューションという手法です。一方、雨量はぶれがあるので、温暖化の影響と言うことが難しいです。
Q 西日本豪雨での被害はシミュレーションできるのですか。
A 雨の予測が合えば、水位は計算できます。堤防がどこで切れるかは難しいです。
Q 温暖化の影響は大きいと言われますが、対策を取れば大丈夫ですか。
A 現在と同じようなCO2排出が続けば、今世紀末には平均気温が4℃上昇します。それを1.5℃、2℃に抑えなければなりません。
Q 温暖化で異常気象は増えますか。日本は亜熱帯気候になったのではないでしょうか。 水害から身を守るには、海抜何mが目安ですか。
A 異常気象は30年平均でのまれな気象現象のことです。温暖化時代には、今の異常気象がノーマルになるかもしれません。日本の気候は暖かめになっていますが、北極の寒気が入ってくるエリアです。北の地方では大雪になることもあります。亜熱帯とは言えないと思います。水害対策は、ハザードマップを見ていただくのがよいです。私は裏山が崩れない、ダムの直下ではない、堤防のそばでもない場所に住んでいますが、地下に断層が走っていて、地震はだめです(笑い)。
Q コミュニティや実務機関の連携があるとのことですが、住民は入らないのですか。
A ボトムアップ的に地元ベースの適応を考える枠組みができてきています。トップダウン的な対策と、ボトムアップ的な対策の両方が必要です。



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