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あなたと作る、シリア難民キャンプの子どもたちへの授業

開催日:12月10日(月)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

セミナー&ワークショップ「あなたと作る、シリア難民キャンプの子どもたちへの授業」が12月10日、毎日メディアカフェで開かれました。
 企画したのはNPO法人国境なき子どもたち(KnK)。途上国の子どもたちを支援している国際協力NGOです。シリア紛争から7年、ザアタリ難民キャンプ開設から6年が経ちました。KnKはヨルダンでシリア難民支援活動をしてきました。その活動を報告するとともに、難民キャンプでの授業に生かせるアイディアを参加者と一緒に考えるワークショップを企画しました。「日本にいながらシリア難民の子どもたちの支援プロジェクトに参加できる」という新しい試みです。
 はじめに、登壇者であるKnKシリア難民支援現地事業総括の松永晴子さん、白鳳大学客員教授の下村健一さんが挨拶しました。
松永さんは愛知県出身。筑波大学大学院芸術研究科芸術学彫塑分野修了。日本とベトナムで美術教師を務めた後、2011年から2年間、青年海外協力隊としてヨルダンで美術教育に携わり、その後も半年間、同国でNGOの活動に参加。 2014年4月からKnKのヨルダン活動に従事し、現在は現地事業総括として子どもたちの教育支援をしています。
 下村さんはTBS報道局アナ、フリーキャスターの後、内閣広報室で約900日、3政権で首相官邸の情報発信に従事しました。慶應義塾大学特別招聘教授、関西大学特任教授などを経て、現職で報道番組制作演習、情報キャッチボール技術を教えています。小学教科書執筆から企業研修まで、幅広い年代のメディア・情報教育に携わっています。
下村さんは一時帰国中の松永さんと出会い、自著でメディアリテラシーの仕掛け絵本「窓をひろげて考えよう」(かもがわ出版)を渡したところ、松永さんがシリア難民キャンプで教材として使用するようになったそうです。下村さんは「KnKの活動を放送したテレビ番組で、絵本を使って授業する姿ががんがん映っていて驚きました」と話しました。
 続いて、松永さんが活動報告をしました。ヨルダン事業の中心は「ホストコミュニティ事業」「キャンプ事業」の2事業です。松永さんは「ホストコミュニティ事業」について、現地の画像や映像を映しながら、次のように話しました。「ヨルダン人とシリア人が一緒に授業を受けています。アラビア語のABCを教えています。両国民の仲はあまりよくないです。相手の国のことを子どものころから理解できるようにするため、同じ教室で学び、遊ぶことの大切さを知ってもらいます。この事業は公立学校で実施しています。アンマンでは2シフト制で、午前はヨルダン人、午後はシリア人になっていました。隣に住んでいても学校で一緒になったことはないという子どもたちもいます。『国が違って、相手が分からないから怖い』という感情がコミュニティに広がっています。勉強は補習授業をしたり、手工芸などをしています。スタッフが家庭訪問して様子を聞くこともあります」
 「キャンプ事業」については、次のように紹介しました。
 「情操教育は作文、演劇、音楽です。子どもたちに表現のツールを持たせてあげたい。それにより、自分の心にある傷を癒すことにつながります。楽しいことが学校にないと、来続けてくれないという理由もあります。ドロップアウトする理由はいくつでもあるのです。実際には、クマのマリオネットを使った演劇の授業、絵の付いた話を作る作文の授業などをしています。マナー教育もしています。学校のルールを学ぶためです。学校が社会に出る前の準備期間だとすると、社会で他人と暮らすルールを学ぶ必要があります。キャリア教育もあります。将来に夢を抱けるようになるためです。今している勉強の意義を理解するためでもあります。教室の実態はたいへんです。授業が始まっても子どもたちは立ったまま遊んだり、話したりしています。外に出ている子もたくさんいます。じゃれていても、スイッチが入ると本気になって殴ったりすることもあります。手を上げて発言しましょう、授業中の飲食、私語は禁止ですといった基本的なことを繰り返し授業の最初に言い続け、2カ月で何とかなってきました。学校には棒を持った先生がいますが、私たちは棒を持たずに授業します。ザアタリ難民キャンプでは、教育省が雇用する先生が主要教科を教えています。以前はシリア人の先生も雇用されていましたが、教育省の予算の縮小により、ヨルダン人の先生だけになりました。シリア人同士だと相談しやすいが、そうした先生がいなくなった。なくなってしまった存在の代わりを、KnKの先生がしています。子どもたちの周りの問題として、親の愛情が足りないということがあります。近い将来、どうなるか分からないので、親は無気力になっています。子どもが深夜まで外でぶらぶらしても何も言わない。信頼できる大人が学校にいない、子どものバックグラウンドを知っていて相談に乗ってくれる先生がいないのが現状です。また、娯楽、刺激、情報が少ない。サッカー選手のカードを大事そうに持っている子がいましたが、20年ほど前の選手のカードです。掃除をしているときに、タバコの吸い殻が出てきたことがあります。吸っていたのではなく、ゴムで飛ばす遊びをしていました。こんなことでも楽しいという状況です。KnKの先生は最小の人員で、問題に対応していると思います」
松永さんの報告に続いて、ワークショップを始めました。参加者が「コミュニティとのつながりを強める」「将来のビジョンを持つ」「人の気持ちを理解する」「ルールの大事さを知る」の4テーマ5グループ(「人の気持ち」は2グループ)に分かれて、実際にKnKが授業などで使えるアイデアを考えました。30分あまりの討議のあと、グループ代表者が内容を報告しました。
 「人の気持ちを理解する」グループの代表は都内の小学校教師の女性です。「学級崩壊と言われるクラスは日本でもあります。シリアの子どもたちは自己肯定感が低い子が多いと思われます。自分のいいところを考えたこともないのではないか。そこで、私が自分の教室でもやっていることですが、まず褒める。掃除をしているのはすごいねとか、教室をきれいにするためにやっているのだね、といった価値をつけて褒めます。子どもがいい行動だと気づくし、周りの子にも伝わります。全員で拍手してあげます。子ども同士でも褒め合っています。自分にもこんないいところがあるのだと、自己肯定感が高まります。自分の感情をどう表現するか分からないから暴力になります。そこで、朝登校したときに、感情カードを出してもらう。にこにこだとか、悲しい顔だとか。途中で感情を替えてもいい。また、言葉に表す日記を書いたり、大人や先生と交換日記をするという自己表現の方法を取り組んでみてはどうでしょうか。さらに、他者のためにできることを考え、アクションを起こしてもらう、問題行動について話し合う取り組みもいいのではないかという意見もありました」
松永さんは「このまま使えるアイデアです。すぐに現地事務所に送ります」と話し、下村さんは「松永さんは、シリアの子の自己肯定感が高いと言っていましたが、今の話の自己肯定感は全く違う。シリアの子の自己肯定感はいわば、俺はすごいという『無人島の自己肯定感』です。今の話は社会の中で自分が評価されているという自己肯定感です。それを高めていくというのはありですね」とコメントしました。
 次は「将来のビジョンを持つ」グループです。「将来のビジョンを持つというのは、目標を立てて、それに向かって努力することが重要だと思います。二つのアイデアが出ました。まず、世界にはいろいろな選択肢があることを示す。ネットやテレビを使ったり、『13歳のハローワーク』のような本もいいでしょう。もう一つは、高い目標ではなく、小さな目標を立てて努力する。コミュニディでの問題を改善するなどの目標です。それに向かって努力することを続けると、結果として高い所に行けるようになる。ゲーム形式でやることもできるのではないかという意見もありました」
 松永さんは「いろいろな職業を見せるのはやっていたのですが、彼らの現実とマッチしていないギャップが苦しいだろうなと感じていました。小さな目標が大事というのはその通りで、達成感が得られるというのが重要だと思いました」と同意し、下村さんは「将来という言葉を1日後にしても、1年後にしてもいい。『未来同窓会』という授業を福島でしていて、とても盛り上がります。今日は20年後の同窓会で、みんな近況報告をして、という授業です。お互いに質問します。バックキャスト、それまでにしてきたことが逆算で考えられる。それも使えるかもしれませんね」と提案しました。
 「人の気持ちを理解する」の第2グループは次のように報告しました。「日本の運動会を実施する。運動会はある程度競争心をあおりますが、綱引き、玉入れなど協力しないとなしえない競技が多くあります。練習から運動会実施までにコミュニケーションの取り方や協力の仕方が分かってくると思います。その経験をアウトプットする。作文や絵でかいてみることにより、自分の気持ちを整理できる。どのように楽しかったかを言語化することを通じて、自分がしてほしくないことも分かるのではないかと思います」
松永さんは「実は青年海外協力隊で幼児向けに運動会をしています。個々の能力が問われない、協力に価値を置いた競技が多いというのは確かです。振り返りをするというのは大事だと思いました」、下村さんは「振り返りのプロセスと褒め言葉のシャワーは同じですね。僕は想像力散歩という授業をしています。10人ぐらいまででやる授業で、見えたことを次々にお題にする。店の看板を見て、お店の人がどう考えたと思う?と尋ねる。先生はうんと褒めます」とコメントしました。
 「ルールの大切さを知る」グループは次のように報告しました。「始業前に歌や鬼ごっこで発散するという案を考えました。ルールが必要になるゲームをする。ゲームが守られていない場面を見せる劇をさせて考えてもらう。日本の日直の制度を作る案も出ました。いいことをポイント化するゲームで、先生や友だちが褒めるとポイントがたまる。たまると、給食で余りをもらえるようにするといった楽しくすることが必要だと考えました」
 松永さんは「演劇で子どもたちの様子を描写するのはやったことがありますが、振り返りができていないなと思いました。日直をするという授業をしようと思っています。夏休みには係活動もしましたが、継続がうまくできていないように思います」、下村さんは「日直はローテーション。やってみての体験からルールメイキングをしてもらうのはありですね」とコメントしました。
最後に、「コミュニティとのつながりを強める」グループが報告しました。「ジャパンデーなどのお祭りをする。ふたつの視点があります。子どもたちが自分や地域のことを知る。壁新聞を作る。演劇にして見せる。コミュニティーに大人を巻き込むことも重要です。大人にメリットがないと出ないから、収入を生み出すよう、本を売る、フリーマーケットをする、料理を出すなど、大人も楽しめるフェスティバルにします。着物を着るのは大人も子どももうれしいと思います。イベント開催までの過程が大切だという話になりました」
 松永さんは「オープンデーをしていますが、目的がはっきりしない状況でやっている。振り返り、目的をはっきりさせる、親に見せるのは大切だと改めて感じました。大人にメリットがあるというのもいいと思いました」、下村さんは「福島県富岡町では、子どもたちが大人から聞き書きをして、文集にして出しています。大人が楽しそうなのです。こんな素晴らしいコミュニティに住んでいたと言うことが楽しい。昔を懐かしむノスタルジーの活動ではなく、子どもたちが、戻ったらどんなコミュニティをつくるかを考え始めている。こういうこともできるかと思います」と語りました。
 最後に、松永さんは「私たちが見えていなかったことがたくさん出てきました。これからの活動に生かします」と感謝の言葉を述べました。



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