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佐々木敏・東京大学医学部教授が語る「データ栄養学のすすめ」

開催日:4月23日(月)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

毎日メディアカフェの講演会「佐々木敏・東京大学医学部教授が語るデータ栄養学のすすめ」が4月23日、毎日ホールで開かれました。
 「佐々木敏のデータ栄養学のすすめ」(女子栄養大学出版部)の出版を機に、同出版部が企画しました。この本は次のような章立てで構成されています。
第1章 健康的な食事?その舞台裏に真実を探る
第2章 ビタミン 不安と誤解の根拠を探る
第3章 無機物(ミネラル) 過剰反応と無関心の構造
第4章 炭水化物・糖 伝統と流行の科学のはざまで
第5章 データ栄養学の時代 「事実」は「思う」よりも重い
 第1章で、「野菜を1日350g摂取する」という厚労省の提唱について、その根拠をさまざまなデータを示しながら分析するなど、データに基づき、栄養と健康の正確な情報を伝える内容になっています。
 佐々木さんはまず、次のように話しました。「どの業界、どの世代でもデータが重要視されています。パソコンやスマホを通じてデータを集めることが日常になっています。では、 どんなデータに基づいているか。どんなデータを使っているか。女子栄養大学出版部の『栄養と料理』に7年連載してきました。この連載から生まれた本で、33話あります。200ページを超える本は売れないと言われますが、私はぎゅっと詰まった本にする、余白は少なくしてくださいと言いました(同書は367ページ)。字はできるだけ小さくしてくださいともお願いしました。字が小さいと読めないと読者から言われますとの返事でした。しかし、スマホの字は本よりも小さいのだから大丈夫です。図は情報であるという考えから、出典の研究論文の図をイラストにするのではなく、できるだけ正確に載せています。新しい試みとしてツイッターアカウント(佐々木敏の『データ栄養学のすすめ』 @dataeiyosusume)を設けていて、読者がツイッターと連動して読んでくれます。そこで会話が盛り上がっていく。せひツイッターを見て、ご意見をください。僕は二つの危惧を持っています。一つは、多くの方が食と健康の情報の科学を知らない。もう一つは食と栄養が乖離しているということです。食事以外の何かで健康になろうとしていませんか。一方、食事の情報は食文化やグルメです。栄養は健康だけです。こうした乖離が起こっている原因は、食と健康の情報の科学を勉強する機会が乏しいからだと考えます。問題の所在を明らかにし、考える機会をつくりたいと考えました。これを食べると健康になるという情報を出すことが目的ではありません。佐々木の本を読んでも分からないという批判を受けることがあります。僕は回答を与えていません。目的は考えていただくことです。そのための材料、方法を出している。答えは皆さまが自ら出すものです」
 続いて、佐々木さんは本の概要を紹介しました。「本は5章まであります。どの章も最初のゼロ話は旅行記になっています。第1章の場合は、白い食べ物、赤い食べ物。モンゴルで現地の人から聞いたことです。その後、研究や資料を調べて、なるほどと思ったことを書いています。第2章は『ビタミン、不安と誤解の根拠を探る』です。ビタミンと聞くと元気の素のように思いませんか。しかし、ビタミンを摂れば元気になるのか。ビタミンが足りないというのはありえないのです。ビタミンは1種類ではない。ビタミンB6が足りない、B2が足りないというのはあります。ビタミンが足りないという表現は間違っています。ビタミンがたっぷりと書いてあると、その情報は読まないようにしましょう。病気の感染症は怖いですが、特定の病気を除いて、うまく治療すればきれいに治ります。情報の感染症は治りません。病原菌に触れない、すなわち読まないことです。ビタミンの次はミネラル(無機物)です(第3章)。これもミネラルが豊富というのはありえません。ミネラル組です。重金属もミネラルです。過剰反応というのがあります。ミネラルは重要なのに、過剰反応されているミネラル、無関心なミネラルがあります。(第4章の)炭水化物・糖を考えるのには三つのキーワードがあります。伝統、流行、科学です。科学は伝統や流行をサイエンスしているのか。伝統、流行に偏りすぎていないか。最後の第5章は『事実は思うよりも重い』です。英語で『思う』という言葉はあまり使いません。日本人の文章には思うがよく出てきます。僕たちはすぐ思うと言ってしまう。思うで動いては危ない。きちんと事実を確認してから信じる、信じないを決めるべきです。データをどこから持って来たのかを書くことが重要です。僕は何か新しいことを発見したのではない。出典を明らかにします」
 続いて、具体的な内容をいくつか紹介しました。まずは、「野菜を1日350g食べる」の根拠はどこにあるのかです。「西欧諸国では、野菜を食べようと言っていない。果物と野菜を食べようと言っています。最低限の健康は何か。生きているということです。医学では死亡率を使います。栄養疫学研究で、何十万人の命と引き替えに得られたデータです。1日あたりの果物と野菜の摂取量を見ると、5サービング(約400g)で死亡率が下げ止まりになります。それ以上食べても、さらなる効果はない。野菜だけだとどうでしょうか。果物摂取量、野菜摂取量はヨーロッパでは詳しく調査されています。これと比較すると、日本人は世界一の野菜摂取量です。一方、果物はヨーロッパのどこよりも果物摂取量が少ない。もう少し果物も食べようよということになります。野菜や果物の摂取量を個人が把握することはけっこう難しい。厚労省がみんなもう少し増やしませんかと言うのは、集団に対する戦略です」
 続いて、「イヌリンで血糖値は下がるの?」。水溶性食物繊維の一種イヌリンの無作為化比較試験で血糖値を測った論文があります。糖尿病患者を対象にイヌリンを8週間摂取した際の空腹時血糖の変化を調べた研究です。血糖値が下がるというデータも出ましたが、別の物質を摂取した群もわずかに下がったことから、結論は「Inulin may help to control diabetes」。「かもしれない」程度のものでした。「mayで表現したのは実直な研究者です」と佐々木さんは感想を述べました。
 さらに、「カドミウムとヒ素 日本の米は危ないか?」です。「イタイイタイ病の悲惨な歴史があり、日本ではカドミウムへの関心が強い。カドミウムはお米に集中的に入ります。そのために、日本政府を含め、米1kgにどれだけ入っていると売ってはいけないと決めています。それはどのようにして基準が作られたか。5地域の米でカドミウムの量を測る、米のカドミウム量と体内カドミウム量との相関、カドミウムによる腎臓の病気の発生率に地域差があるかどうかなどを調べました。当初、日本政府案が世界基準(CODEX)の案よりも高い数値で、批判もありましたが、こうした調査の結果、日本政府案がCODEXで認められました。こうした私たちの健康を守ってくれる栄養学のストーリーを紹介しています」
 玄米についても言及しました。「玄米は白米に比べて重金属がわずかに多く含まれます。しかし、食物繊維は6倍、鉄は3倍近く多い。わずかなリスクはあるが、生活習慣病によいたくさんの栄養素が入っています」
 最後に、「朝ご飯」です。糖尿病と朝食の関係では、カロリーや糖は一緒で、朝食中心にした場合と、夕食中心にした場合の血糖値を比較すると、「朝ご飯が軽いグループは昼ご飯に血糖値が上がるため、1日全体を合計すると、夕食中心型のほうが膵臓への負担が大きい」との調査があるそうです。朝食を毎食食べている人は食べない人に比べて2~3割発症率が低いとの研究もあります。「朝食は成績を上げるのか?」はどうでしょうか。「毎朝食べている小学校6年生、国語、算数の正答率が高い」とのデータがあります。一方、オランダの研究では、家庭の収入、父母の学歴と朝食摂取率に相関があるとのデータがあります。「朝食を食べたくなくて食べていないのではない。悲しい現実です。朝食と成績を結びつけるのは危ういのではないかということです。米国では、ブレックファースト・イン・ザ・クラスルームという運動が起こりました。朝食を家で食べてこない子どもが学校で食べます。参加した学校、参加していない学校を比べると、学校の成績には違いはなかった。朝食を食べても、成績の向上には結びつかなかったのです。もちろん、朝食は成績のためにあるのではないのですが」
 佐々木さんは「栄養健康リテラシーを持って行動してほしい」と参加者に呼びかけました。この後、参加者の質問に答えました。

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毎日新聞東京本社1階にある「MOTTAINAI STATION」を毎日メディアカフェとして午前11時から午後6時(イベント開催日は午後8時30分)まで開放しています。新聞や雑誌を読んだり、タブレット端末で毎日新聞ニュースサイトや毎日スポニチTAP-Iなどを検索したりできます。イベントは全て無料で参加できます(予約制、申し込み順)。

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