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今日の米国ポートランドに学ぶ~持続可能な地域のあり方とは~

開催日:3月30日(金)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

「持続可能な地域のあり方」をテーマに、米国西海岸にあるオレゴン州ポートランド市の事例を学ぶセミナーが3月30日、東京都千代田区一ツ橋1の毎日新聞東京本社1階「毎日メディアカフェ」でありました。ポートランド在住の国際コーディネーター、山本弥生さんと、現地を視察した新潟大学大学院の長尾雅信准教授が報告しました。


●「生活の質」の向上を求め全米から移住


 ポートランド州立大学に留学をした山本さんはその後、東京の外資系投資証券会社を経て再び渡米。ポートランドで15年前に「PDX COODINATOR」(ピー・ディー・エックス・コーディネーター)という会社を設立しました。日米の官民産学の企画視察やメディア取材のアレンジを手がけ、主にビジネスの分野で日本とポートランドの橋渡しをしています。
 ポートランドはオレゴン州の最大の都市。北はシアトルのあるワシントン州、南にはロサンゼルスやサンフランシスコを擁するカリフォルニア州があり、双方にはさまれた形となっています。
 面積は約376㌔平方㍍で、横浜市より少し小さい程度です。近年、人口増加が著しく、米国の国勢調査によると、2010年は約58万3000人だったのが、2016年には約64万人(推定)となり、1週間に約180人ずつ増えている計算に。「ポートランドの人口流入の秘密を探りに、世界から視察に来る人が後を絶たない」といいます。
 ポートランドを訪れる日本人観光客は多く、背景の一つは「10年ほど前の日本でのアウトドアブームから」と山本さん。ダウンタウンに近いところからすでに自然は広がり、ハイキングなどのアウトドアレジャーが楽しめます。また、女性誌などが相次いでポートランドの特集を組み、にわかに脚光を浴びるようになりました。


 「私が学生時代を過ごしたときのポートランドは保守的な街だった」と山本さんは振り返ります。
 「大量生産大量消費」という経済の風潮や自動車の増加などでポートランドでも1970年代に公害問題が発生し、「自分たちの手でどうにかしなければいけない」という市長が現れました。ベトナム反戦運動や公民権運動などを背景に市民団体も動きだし、「官民産」の一体という流れが生まれた、と山本さんは分析します。
 オーガニックレストランのオーナーが近郊の農家と連携するシステムの土台をつくり、地産地消が進みました。また、街に路面電車を走らせ、自転車専用道路を完備するなど二酸化炭素(CO2)の排出削減や環境対策に取り組み、「クオリティー・オブ・ライフ」(生活の質)の向上を求めて全米から人々が移住してくるようになりました。そうした新住民らが起業してオーガニック(有機)の食やデザインなど物づくりの仕事に携わり「街に変革がもたらされた」と山本さん。ちなみにポートランドでは、電車やバスなど公共交通機関に自転車を持ち込みすることができ、住民の間で公共交通と徒歩を組み合わせた移動が普及しました。


 建物はどうでしょうか。米国には、環境に配慮した建物に関する「LEED」(リード)という認証制度があります。米国のNGO「米国グリーンビルディング協会」(USGBC)が開発したもので、エネルギーや地球環境、材料、資源、水利用などについて一定の基準をクリアしているか評価する仕組みです。
 ポートランドには、LEEDを取得したグリーンビルが建ち並んでいます。オレゴン州自体、持続可能な発展を目指して都市成長境界線を設けるなど独自の政策を進めており、市街地の外へと広がっていた開発を抑制し、市内からほど近くにある農地や森林を保全することが目的です。「都市に近い農地を開拓から守り、野菜を新鮮なまま市民の食卓に運ぶ事が出来ている」といいます。


●発生した「ジェントリフィケーション問題」


 2018年時点のポートランドはどうなっているのでしょうか。
 まずは急激な人口の流入で物価や不動産価格が上昇しました。開発と建築ラッシュでホテルだけでも大小30カ所ほど建設中だそうです。そして同時に生じてきたのが「ジェントリフィケーション問題」です。
 これは都市部において、中、低所得者の人々が多く住む地域に、再開発や新産業の発展などの理由で、比較的所得が多い人々が移り住み、地域の経済・社会・住民の構成が変化する都市再編現象のことを指します。
 現在、ポートランドで「ホット」と呼ばれ、日本人がよく訪れる地域は「もとはブルーカラーといわれる住民が主流でしたが、地域文化が違うものとなり、コニュニティーの様子が変わってしまった」そうです。
 ポートランドの街づくりの担い手としては「ネイバーフッドアソシエーション」(NA)の存在が知られています。住民たちが直面する課題を出して解決策を話し合い、行動する組織。NAは地域ごとにありますが、倉庫街から店舗やギャラリーなどが並ぶエリアに開発され、脚光を浴びた「パール地区」では、商業施設のオーナーが活動の中心となり、「出店しているビジネスのための協議が中心となっている」とのこと。
 「値段が高くなったマンションのオーナーは、州外の投資家や外国投資家が増え、どんな住民がいるのかが分からなくなってしまった」のが現状です。
 「急激な人口増加によりポートランドに起こった現象は、日本の都市部でも共通する部分がありますよね。みなさんは、どう思われますか」。山本さんはこう問いかけました。


●「創造性を生む街」から学ぼう


 一方、長尾さんは「地域活性」や「プレイス・ブランディング」(都市や地域など総体としての「場」のブランドを構築する手法)の観点から見てみようと2016年5月にポートランドを訪れました。
 第一印象は「人々がフレンドリー」。コンパクトな街なので歩きやすく、道を渡ろうと待っていると「車の方が止まって譲ってくれた」と言います。
 もとはワシントンDCで働いていたという女性に話を聞くと「殺伐としたところで仕事をしていていいのか」という疑問がわいたのが移住のきっかけ。その女性は現在、セレクトショップのオーナーです。
 長尾さんは神奈川県出身ですが、地方に住むと、都市と何が違うかが分かります。「たとえば新潟は、地酒など特産品は豊富なのにそれを発信するデザイン力が弱い」。とはいえ農業でいえば「既存の流通に頼らず、自分たちで消費者とのつながりをつくっていこうという動きがある。クリエイティブ(創造的)な人たちを地域が積極的に受け入れ、お互いに理解と共感を育み合うことで、地域の魅力を高めるような展開へと結びつく」と提案しました。


 参加者からは「米国の中でもとりわけポートランドの地域づくりがうまく行っているように思う。その要因は何か」との質問がありました。
 ポートランドの近郊にはスポーツメーカーのナイキの本社もあり、「スポーツインダストリーに関与している商業デザイナーや、環境に配慮したものづくりのためのエココンセプトを持つデザイナーが多くいる。そうした人々が、街づくりに参画しているからではないか」と山本さんは答えていました。【明珍美紀】


 


 ポートランドの観光情報などはトラベル・ポートランドのサイト
http://www.travelportland.jp
を参照。



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毎日新聞東京本社1階にある「MOTTAINAI STATION」を毎日メディアカフェとして午前11時から午後6時(イベント開催日は午後8時30分)まで開放しています。新聞や雑誌を読んだり、タブレット端末で毎日新聞ニュースサイトなどを検索したりできます。イベントは全て無料で参加できます(予約制、申し込み順)。

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