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希少難病を知っていますか? ~ 社会課題解決に必要なものとは ~

開催日:3月22日(木)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:未分類

希少難病について学ぶセミナー「希少難病を知っていますか?~社会課題解決に必要なものとは~」が3月22日、毎日メディアカフェで開かれました。
 「難病の患者に対する医療等に関する法律」が2015年1月に施行され、それまで56疾病だった指定難病(医療費助成対象疾患)は現在330疾病まで拡大されました。しかし、希少難病は約7000種類あるとされます。病名未確定患者も多く、希少ゆえに周囲から理解を得られずに社会から孤立し、身体的、精神的に困難を抱えながら日々生きている当事者が数多く存在しています。
 このセミナーの講師は「NPO法人希少難病ネットつながる」理事長の香取久之さん。希少難病の当事者として約30年にわたって病と向き合い、一企業人として約20年、医療従事者と接した経験を持つ方です。
 香取さんは自身の体調から話し始めました。「私は希少難病のアイザックス症候群の疑いです。筋痛性脳脊髄炎、一般には慢性疲労症候群と呼ばれる病気もほぼ確定です。見た目で分からないと思いますが、今は靴下をはいているだけでつらいです。全身の筋肉のひくつき、けいれん、硬直があります。手を握ると開かない、関節がうずいているというような症状です。全身がこわばり、皮膚をやけどして治りきっていない感じです。皮膚が赤くなったり、戻ったりします。休息をしてもほとんど回復しない。他人からどんな状況なのかと訊かれると、風邪を引いて熱が38度以上あり、のどや節々が痛く、体がだるい状況が24時間365日続くことがベースにありますと説明します。いろいろな検査、治療をしてきました。アイザックス症候群は末梢神経の自己免疫疾患です。全ての症状はでているのですが、針筋電図の検査で異常波形がとれなかったことで、『疑い』ということになっています。あらゆる治療をしてきましたが、残念ながらどの治療も効果はなかった。5年前ほど前までは何十種類もの薬を飲んでいました。精神疾患ではありませんが、脳の反応を鈍らせるということで、抗うつ薬を飲んだこともあります」
 次に、子どものころからの経験を話しました。1970年江戸川区生まれ。子どものころは野球少年で、剣道も2段の免状を持っているそうです。「中学校までは問題はなかったのですが、高校時代、17歳のときに腰に激痛が走りました。同時に全身の筋肉のひくつき、けいれんが一緒に出ました。親に話したところ、厳しい父親で『気合いが足りないだけ』と言われました。私は一卵性双生児の兄です。両親や弟は健康なのに、お前だけ病気のはずがないというわけです。電車の通学で、立っていても疲れる。気のせいではないと考え、受診しようと思いました。ところが、医師にも分かってもらえなかった。気のせい、ストレスだと言われました。当時はインターネットもなく、調べようがない。症状を医師に訴えるだけです。小さなクリニックから大学病院まで行きました。毎回、同じことを聞かれ、同じ説明をしました。世界で自分一人しかこういう状況の人はいない、自分が我慢するしかないと思いました。希望が持てないのです。病名もついていないので、仲間にも言いませんでした。時間を共有する仲間がいたから、生きていられたと思います。大学入学後も同じ状況でした。気のせいだとか、そんな性格だから病気になったと言われ、精神科受診を勧められる。大学は工学部で繊維関係に就職する研究室でしたが、医療関係に就職しようと思い、1994年大塚製薬に入社しました。MR(医薬情報担当者)になりました。病気や薬に詳しくなり、自己免疫疾患なので、神経内科、膠原病内科に行くべきだと分かりました。しかし、受診すると、異常はあるが、病名は分からないということでした。薬を飲んでもよくならない。体が壊れたので、自分から営業を外してもらい、本社で内勤になりました。それでもどんどん悪くなっていく。見た目では分からない。月に1回は休まないとやっていけない。そこで、産業医と面談することになりました。たまたま産業医が神経内科の医師で、東京医科歯科大学の教授を紹介してくれました。すぐに『アイザックス症候群です。非常に希少な疾患で、自分も数人しか見たことがない。他の病気を合併することが多いから即入院を』と言われ、入院しました。血漿交換という透析のような方法を受けるとよくなると言われましたが、全く効果がない。対症療法しかできない状況が続きました」
 しかし、「アイザックス症候群」の名を知ったことは一歩前進でした。「名前を言われたことで、仲間がいるのではないかと思い、SNSのミクシーでアイザックス症候群と入れてみた。それで3、4人つながって、アイザックス症候群の患者の会が2010年にできました。今は離れていますが。東日本大震災後、いろいろと考えることがあり、希少難病の当事者として何かやるべきことがあるのではないかと思い、2013年6月に大塚製薬を退職しました。現在は自腹で活動をしている状況です」
続いて、希少難病についての説明です。昭和30、40年代にスモン(薬害)、ベーチェット病や重症筋無力症などが注目され、1972(昭和47)年、国は「難病対策要綱」を策定しました。難病の定義は①原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少ない疾病②経過が慢性にわたり、単に経済的のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病――とされました。難病新法とも呼ばれる「難病の患者に対する医療等に関する法律」では、「希少難治性疾患」の定義として、①発病の機構が明らかではない②治療方法が確立していない③希少な疾患である④長期にわたり療養を要する――とされています。
 「希少」の定義は国によって違い、日本は国内対象患者数5万人未満、米国は同20万人未満、欧州は1万人に5人未満の発症率――です。「日本の難病対策は早くから始まり、昭和47年の要綱が策定されましたが、法律に基づく事業ではなかったこともあり、40年間あまり進まなかった。ほぼ空白の40年です。難病新法により、指定難病は56疾患から現在は330疾患、4月から331疾患になります。難病は遺伝によると思っている人が少なくない。しかし、80%は遺伝子変異で起こるとされ、誰にでも発症する可能性があります。日本には全ての希少難病のデータベースはありません。Orphanetというデータベースでは、6000~7000種類あるとされています。世界で17人に1人は何らかの希少疾患に罹患していると言われます。日本の人口にあてはめると、700万人以上いるのではないか。大きな社会課題だと思います」
 香取さんは続けました。「一番つらいのは周囲から理解されず、孤立することです。当事者の伝え方、アプローチの仕方を考えなければなりません。公的支援は必要ですが、公的支援の限界もあります。私や仲間が言われた言葉として、『怠けないでちゃんと仕事しろよ』『そんな性格だから病気になるんだ』『治る病気じゃないから、病院に来てもらっても困る』などがあります。二次障がいで精神を病むケースもあります。どうしたらよいのか。私の好きな言葉に、東大の小児科医、熊谷晋一郎先生(現在、東京大学先端科学技術研究センター准教授)の『自立は依存先を増やすこと、希望は絶望を分かち合うこと』があります。自立と依存、希望と絶望は反対語ではないのです。自分一人で自立しているのではなく、依存先があるから自立できるのです。多くの方がこういう感覚を持てれば、変わるのかなと思います。社会には、『普通』に対する幻想があります。実際には、17人に1人は障がい者であり、13人に1人はLGBT(性的少数者)です。要介護者は600万人います。『普通』の幻想は捨てたほうがよいと思います」
 「希少難病の方々か60人以上、話を聞いています。一番の社会課題は働くこと、社会参加することです。いったん孤立すると元に戻ることが難しいのです。行政では、難病相談支援センターが都道府県に一つずつあります。ハローワークと連携して支援していますが、難病患者就職サポーターは51人しかいません。ハローワークは544カ所ほどある。なかなか手が回っていない現状です。『障害者総合支援法』は難病358疾患も対象になり、障害福祉のサービスを受けられます。難病の人でこれを知らない人が多い。ただし、制度には限界があります。私は確定診断されていないので、指定難病受給者証を受けられない。医療費も普通に負担します。障がい者雇用の対象ではなく、就職しにくいです。制度に文句を付けていても仕方がないのですが、中間のセーフティネットがあればよいと思います。生活保護をもらえばよいと、よく言われます。しかし、我々はやる気や能力はゼロではない。そういう人たちが社会参加できないのは、もったいないです。能力は発症前の90%、80%かもしれないが、やる気はそれ以上にある。私は毎日満員電車に乗ることは難しい。しかし、2日出勤、3日は在宅勤務ならできます。難病の人が社会参加して、適正に評価され、適正な報酬がもらえるようなマッチングができるとよい。難病の当事者ばかりにスポットライトが当たりますが、ケアしている家族のたいへんさもあります。私のビジョンは、当事者と家族、支援者、研究者や企業などがつながることのできるプラットホームをつくりたいということです。当事者だけで話していてもだめです。まずは伝える、いろいろな人とつながる。我がごととして考えてくれる人を増やす。真の『1億総活躍社会』へ、社会課題を解決する必要があります」
 「ヘルプマーク」の普及活動も報告しました。「ヘルプマークは外見から分からなくても援助が必要な人がつけるマークです。これを見かけたら電車内で席を譲ったり、困っていたら声をかけるなど思いやりのある行動をお願いします。2020年に向けて、東京都がつくりました。しかし、なかなか広がっていない。普及のために、MIKEプロジェクトという活動をしています」
 最後に、香取さんは「多くを自腹で活動していますが、お金が続かないからやめるというのはいけないと思っています。応援していただけるなら、NPOに寄付していただく、応援会員になっていただくことをお願いします。ボランティアも募っています」と協力を呼びかけました。
 この後、都内の食品会社に勤める菅野勝美さんが話しました。「私も人には分かりにくい病気が二つあります。一つは2002年、41歳で発症した屈曲性脊髄圧迫症で、5年闘病した後に病名が判明して手術を受けました。3年半前に香取さんと会ったころ、全身に氷を当てられたような痛みがあり、ついには首や肩の関節が氷を当てられた後にのこぎりで引き切られるような強い痛みになりました。これも、どんな病気か、どこの病院でも分からなかった。結局、線維筋痛症という診断をもらい、病気と闘っているところです。見た目は頑健です。しかし、今も痛みを感じながら話しています。こういう人間が皆さんの周りにもいるかもしれない」
 菅野さんの勤める会社では、マッチングギフトによる社会活動支援をしています。社員を対象に募金し、会社が同額を拠出して、社会課題解決に取り組むNPOなどに寄付します。食品会社なので食育活動などがほとんどですが、菅野さんが「NPO法人希少難病ネットつながる」を推薦したところ、今年の支援団体にすることになったそうです。「私が当事者だから、担当者が意気に感じてくれたのでしょう」と述べました。
 2人の話の後、参加者との質疑応答、意見交換がありました。参加者の一人は毎日新聞記者で希少疾患「弾性線維性仮性黄色腫」(PXE)と仮診断された丸山博記者です。丸山記者はPXEに詳しい米国のシャロン・テリーさんの講演会を企画し、PXE患者会設立に向けて活動しています。
(毎日メディアカフェでの講演会http://mainichimediacafe.jp/eventarc/1603/)
 丸山記者は「日本のPXE患者は分かっている人で300人ぐらいです。患者会をつくろうとしており、今日の話はすごく参考になりました。希少疾患の全体像、患者が最初に直面する希少疾患だからこその問題を、まとめて理解することができました。希少疾患に共通する問題が分かることだけでも、希少疾患の人には有益だと思います。多くの希少疾患の患者に伝わるといいと思いました」と感想を語りました。


NPO法人希少難病ネットつながる
https://rdnet.jp/


 


(写真は左が香取さん、右が菅野さん)

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