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企業不正と第三者報告書 ~日産、神鋼の不祥事に何を学ぶか~

開催日:2月28日(水)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:未分類

毎日メディアカフェの対談イベント「企業不正と第三者報告書~日産、神鋼の不祥事に何を学ぶか」が2月28日、毎日ホールで開かれました。
 日産の無資格検査、神戸製鋼の品質検査データ改ざんから始まり、日本を代表する大企業の不正発覚が続き、事実調査と再発防止策をまとめた第三者の報告書が相次ぎ公表されています。一連の動きをまとめた今沢真・毎日新聞経済プレミア編集長兼論説委員の著書「日産、神戸製鋼は何を間違えたのか」が同日、毎日新聞出版から出版されました。出版にあわせ、今沢編集長と久保利英明弁護士が対談しました。久保利弁護士は日比谷パーク法律事務所代表弁護士、桐蔭法科大学院教授。2001年度第二東京弁護士会会長・日本弁護士連合会副会長を務めた著名な弁護士で、「破天荒弁護士クボリ伝」(日経BP社)など多数の著書があります。「すき家」のワンオペ問題をはじめ、第三者調査委員会の委員長を歴任し、報告書をまとめてきました。その第三者報告書を“勝手格付け”する第三者調査委員会格付け委員会の委員長も務めています。
 初めに、今沢編集長が話しました。「昨年9月に日産の無資格審査が明らかになってから3カ月に起きたことを本にしました。次から次へと検査で不正ということが出てきました。経済記者を30年しているが、日本を代表する大企業でこんなことが続けて起きたのは初めてです。何が起きたのでしょうか。9月29日、日産は国内で車の販売ができないと発表しました。無資格検査があったからです。自動車工場で生産ラインの最後のところ、車が完成してディーラーに出荷する直前に検査します。認定された検査員が検査しなければならず、メーカーの試験に合格した人しかできません。ところが、国交省が抜き打ち検査をしたら、資格のない人が検査していた。西川広人社長は10月2日の会見で、9月20日以降は検査員が100%検査していると言ったのですが、6工場中5工場で無資格検査が続いていることが分かり、10月19日、6工場を2週間の生産中止にしました。検査員についても、試験で答えを教えたり、家に持ち帰らせていたことが分かっています。10月8日、神戸製鋼が品質検査データ改ざんを発表しました。神戸製鋼は素材メーカーで、アルミ、銅、鉄などをつくっています。取引先と決めた仕様でつくるのですが、規格から4%ほど外れたものができてしまった。そこで数字を改ざんして、相手に黙って出荷していたことが分かったのです。当初はアルミと銅部門だけと言っていたのに、鉄粉、主力の鉄鋼でもやっていました。新しいことが次々に出て、週に4回も記者会見しました」
新著については、次のように話しました。「毎日新聞出版の部長が10月20日にメールで『日産、神戸製鋼で本をつくりましょう』と言ってきました。次に打ち合わせしたときには、スバル、三菱マテリアル、東レの子会社の問題も出ていました。記者会見が毎週ありました。私は会見のとき、頭を下げる回数や秒数を数えています。日産は社長があまり頭を下げなかったのですが、だんだん頭を下げる時間が長くなって、東レの社長は45秒間も頭を下げていました。本を書く中で共通点がありました。グループ内のあちこちで起きていることです。日産は5工場、SUBARUは2工場、三菱マテリアル5子会社。神戸製鋼は最初は4工場と言っていました。現在、調査中ですが、少なくとも17カ所で不正が起こったということです。社内多発、グループ内多発です。それがだんだん分かってくることで、一度で決着しない。不正は長く続いています。日産は1979年に不正の形跡があったとされます。新しい工場ができると、そこにも伝播する。本をかくときに、一つの命題として、不正は現場の問題なのか、経営者の問題なのかを考えました。不正は現場で行われています。経営者や役員は知らない。経営者が知っていたら大問題です。私が感じたのは現場の孤立、経営者の無関心です。経営者の姿が現場で見えない。設備投資がきちんとされていない、古い機械でやっているから性能が上がらないという問題点も感じました」
 こう話した後、久保利弁護士の紹介をしました。「久保利先生は自伝『破天荒弁護士クボリ伝』のタイトル通り、破天荒弁護士です。1971年に弁護士登録しました。以前、総会屋という反社会勢力がいました。1986年の商法改正で総会屋への利益供与が禁止されました。企業を指導して排除しなければならないということで、本には株主総会で総会屋の首根っこをつかんで、現行犯逮捕だと叫んだとかの武勇伝があります。企業にガバナンス、コンプライアンス遵守の経営をするよう指導しています。さらに、企業の不祥事などの際に第三者委員会の委員をされました。日弁連で第三者委員会ガイドラインをつくったときに座長を務めました。第三者委員会報告書格付け委員会をつくって委員長をされています」
次に、久保利弁護士が話しました。第三者委員会は大事なシステムです。実は海外ではあまりない。どうしてかと言うと、特にアメリカの場合、取締役会はほどんど社外取締役です。取締役会がどこかの法律事務所を選んで調査してもらったら、その独立性は明らかです。日本では、社外取締役は少ない会社は1人、多いところでもなかなか過半数はいません。第三者委員会をつくらないと独立性、中立性が疑われます。重要なのですが、名前だけの第三者委員会がたくさんあり、実態は第三者ではありません。不祥事のあった5社のうち第三者委員会は神戸製鋼だけで、ほかの4社は第三者委員会ではないと公言しています。第三者と言えないところ、あるいは大手の事務所にコンサルタント的にお願いする、名無しの調査委員会が増えています。各社の対応は本来の信頼回復は難しいと言わざるをえない。そこで、第三者委員会の格付けをすることにしました。日産の報告書はすでに格付けをしました。大半の人はABCDのD、『可』ということです。実は私ともう一人は不可を付けました。企業は逃げれば逃げるほど追われます。株価は正直です。立派な第三者委員会が厳しい報告書を出すと、株価は戻ります。私はゼンショー、すき家の過酷労働がありました。そのときに、第三者委員会の委員長に任命されました。ゼンショーの会長さんは会見で、『厳しいことを遠慮なく書くのが久保利さんなので、頼みました』と言いました。『委員の人選は任せる。金はいくらかかってもかまわない。徹底調査をしてくれ』と言われて、7000万円か8000万円いただきました。ものすごく厳しい報告書を出しました。メディアの人からは『すごい報告書を出したね。これは小林多喜二の書いた蟹工船の世界だ』と言われました。過酷労働の典型の小説です。ゼンショーの株価は1200円から800円に下がっていました。報告書が出て、さらに下がるかと思ったら、会長が記者会見して、『報告書通りに再発防止策をします。がんばります。先を見ていて下さい』と言いました。それから株価が回復して、2000円に行ってしまいました。時価総額は事件が起こる前の2倍の3000億円になっていました。プラス1500億円です。第三者委員会はまともにやれば、マーケットは見ていてくれる。ほかの第三者委員会はそうはいかない。名ばかり、名無しにだまされてはだめです。消費者、株主、国民がもっとちゃんとした目で見ないと、この惨状はなおらないと思います。
 続いて、2人のトークが始まりました。最初のテーマは「製品の安全は確保されているか」です。
今沢編集長:どこの会社も安全は大丈夫だと言っています。日産は国交省を意識して、本当に安全とは言えないけれども安全だという微妙な言い方をしています。安全だと言い切ると、完成検査は何だということになってしまうので。ほかの企業も原則安全なのだ、間違いないと言っています。すべてが安全だということになると、騒動は何だったのかということになります。先生はどう考えますか。
久保利弁護士:本当に安全だということなら、資格のある人しか検査できないというルールのほうがおかしいわけです。なぜそんなルールがあるのか。それは車が道路を走る以上、最終チェックはしてほしいということです。こういう資格の人がやるというルールを作った以上、その人でなければできない。それ以外の人もできるのなら、制度をやめたらいいということになるが、日産もSUBARUもそうは言わない。ほかの自動車メーカーはちゃんとやっていますと言っています。そうだとすると、何をもって安全だと言っているのか。安全だという保証はどこにもない。BtoB(企業相手の取り引き)だから大丈夫だという言い方もしますが、Bの先に最終的にはC(消費者)が出てくる。最後は消費者が買って使います。考え方が自己中心的すぎるのではないか。消費者がどんな不安を持つのか、どんなリスクに直面するのかを考えると、安全だとは言えないと思います。かつて三菱自工の燃費不正問題の第三者委員会に、元トヨタの燃費の専門家が入りました。その人が加わった報告書で、『従業員は何を考えて車をつくっているのか。車はユーザーの夢ではないか。そんな不正をして、自分の誇りが保たれるの』と書かれました。今の委員会には、自動車の専門家は入っていません。
今沢編集長:素材メーカーの不正で、素材が加工されるので、安全が確認しにくいということがあります。検査をすべきなのに、検査をしないで出していることもあります。
第2のテーマは「不正の公表の基準」です。
今沢編集長:日産は公表せざるをえなかった。国交省が抜き打ち検査をしました。定期検査は2年に1回ですが、それは工場側も事前に知っていて、待っています。ところが、昨年の敬老の日に日産車体湘南工場に係員が行って、検査員がやっているかどうかの調査をした。恐らく事前に情報をつかんでいたと思います。従業員は否定したのですが、『印鑑は自分の印鑑ですか』などと言われて、認めざるをえなかった。車の販売をやめるということで、公表せざるをえなかった。国交省は他のメーカーにも調査をするように言って、SUBARUは公表した。三菱マテリアルは親会社の監査で見つけた。子会社はずっと隠していましたが、社長が前の社長に相談して、親会社に連絡し、親会社が公表しました。神戸製鋼はこの10年ほど、さまざまな不正があり、全社で調べようということになりました。あちこちで不正が見つかり、経産省に報告すると、発表しなさいと言われた。5社中4社は発表せざるをえなかったのです。東レだけは違います。東レは社長が『社長がデータ書き換えはやってはいけないが、本来は公表しない案件です』と言いました。公表しない基準である理由を三つ言いました。法令違反ではなく、取引先との取り決めであること。安全上問題はないこと。社会に影響を及ぼさないということです。東レは経団連会長の出身会社です。経団連も動かざるをえなくなり、どうするかの考え方を示しました。『公表するかどうかは企業の経営判断である。法令違反があったら公表する、データ改ざんなど不適切な事例があったら公表する、消費者に影響が及ぶ場合は公表する』というのが経団連の考えです。
久保利弁護士:基準はいいかげんで、自分勝手ですよね。安全について問題がありそうなことは全部公表する。品質を満たさないものなのだから、契約違反です。トクサイ、特別採用という制度があります。お客さんが品質を満たさなくても買ってあげましょうというのは、交渉でありえます。売り手が勝手に特別採用にするというのは、私は『勝手特採』と名付けていますが、これはありえない。詐欺に近い。素材を使って自動車をつくりました、製品をつくりましたということになると、被害を受けるのは消費者、ユーザーです。『えらいことをしてしまった。ごめんなさい』と謝るのが、まともな社会人です。それをしないで何年も隠している。役所が公表しなさいと言ったら公表する。行政依存です。いまは皆、SNSという放送局を持っています。まずいことがあったら、公表するしかないのです。基準は『ばれたらすぐ言う』です。経営者が責任を持って判断して公表する。公表して説明責任を果たせば、評判は上がります。
今沢編集長:東レの場合、ネットの2チャンネルに匿名の書き込みがありました。『子会社の東レハイブリッドコードで、タイヤ補強剤の品質データを改ざんして納入していた。10年前から、品質保証部門の管理職が主導してやっていた。この情報で記事を書けるぐらい、ポイントを突いた簡潔な書き込みでした。社内の人か、すでにトレが顧客に話をしていたので、顧客かもしれません。書き込みを見た株主と思われる人が東レに問い合わせをしました。東レは、ほかの不正のようにひどいと誤解されるとまずいからと公表しました。一つの考え方はBtoBか、消費者に直結するかに分けるということです。
久保利弁護士:BtoBだから公表しないというのは自分勝手な話です。永久的にBtoBだけで回る製品はありません。食品は問題があれば、回収します。素材は問題があって公表されなければ、素材を使うメーカーは知りようがないわけです。例えば、神戸製鋼のアルミが飛行機に使われました。ヨーロッパの航空安全の担当局は安全の保証があるまで飛ばさないでくれと言いました。公表したから、それができた。黙っていて、事故が起きたらメーカーは責任を取れるのでしょうか。自社のつくっている製品が役立つと思ってつくっているなら、問題があったときに公表しないという発想はありえない。最後に消費者に喜んでもらうためのBtoBです。
第3のテーマは「第三者委員会のあり方」です。久保利弁護士はゼンショーの例を挙げましたが、その成功例は生かされているのでしょうか。
久保利弁護士:ゼンショーの会長ほど度胸のある人がいないのでしょう。トータルのステークホルダーのことを考える覚悟のある腹の据わった経営者と、隠せるものなら隠してしまおおうという腹の据わらない経営者の差でしょう。経営者が腹が据わっていないと、従業員はみな隠ぺいします。トップに報告しないでこっそり処理します。東芝で2015年、上場廃止に直面したとき、会社が復活するためにどうしたらよいか、全従業員からのアンケートを取りました。それをもとに、『七つの心がけ』をまとめました。第1条に『成功したことにするのは、そろそろやめよう』というのです(笑い)。腰を抜かすほどに驚きました。とっくにやめたというのなら分かりますが。『そろそろ』という言葉を誰が入れたか分かりませんが。
今沢編集長:ゼンショーの報告書を読みましたが、徹底調査です。全て調べて書いている。ここまでひどいのかと思ったことがあります。ほかは徹底調査をしていない。メンバー構成が問題です。第三者だけで構成する調査委員会、社内の幹部を入れた調査委員会、弁護士事務所に調査を依頼するという、大きく分けて三つのやり方がありますが、今回の5社のうち、第三者だけの委員会は神戸製鋼だけです。最初は社長がトップの社内調査委員会でしたが、あまりにも問題が広がって、途中で第三者委員会に移行しました。3月6日に発表されます。日産とSUBARUは弁護士事務所に依頼して作成しました。よく調べているところもあるが、日産はゴーン会長の責任を追及していない。ここがポイントだと思います。徹底調査をしないと、あとで尾を引きます。東レの有識者委員会は弁護士3人がなりましたが、2人は社外監査役です。三菱マテリアルも社内調査委員会で、副社長や社外取締役が入っています。社長が『全て調査しました』と言った後に、問題が出てきた。調査が甘いのです。もう一回調査しています。第三者委員会は信頼回復のために調査します。社長の記者会見を聞いていても、社長が新聞記者とコミュニケーションをとれないと感じます。
最後に「社外取締役のあり方」です。
久保利弁護士:社外取締役2人、弁護士1人で調査委員会を組織したことがあります。私はそのメンバーでした。証券会社の職員のインサイダー取引問題です。社外取締役は調査しました。M&Aの舞台では、社員は誰がどこに行くという行き先を黒板に書いていました。外部の人が見ても、分かってしまう。再発防止のために、黒板を撤去しました。ほかのメンバーにどんな買収案件をしているのか、分からないようにしました。不便だと怒られました。しかし、インサイダー取引がいかに企業の信用力を落とすのかを重視し、職場環境をチェックしました。それ以降は起こっていないと思います。社外取締役だからきちんと調査できないということではなく、自分の目で見て、歩いて調べる。調査委員会は会社のあり方の映しです。真実を尊ぶ会社で、トップがどんどんやれと言えば、基本的にはやれると思います。独立した調査委員会をつくり、恐ろしい人に徹底調査してくれと頼む。問題になっている5社には、その覚悟はないなと思います。
今沢編集長:今回の一連の問題で、社外取締役が自分で調査しているふしがない。徹底調査することが大事です。社外取締役を増やすことは久保利先生が勧めています。しかし、どれだけ社外取締役が役割を果たしていますか。東芝は役に立たなかった例です。社外取締役4人から6人になりましたが、今の東芝のていたらくを見たら、なぜ社外取締役はきちんと言わないのかと思います。今回の問題でも、社外取締役の存在感が見えません。三菱マテリアルは取締役9人中3人が社外取締役、SUBARUは8人中2人、東レは25人中2人、神戸製鋼は16人中5人です。面白いのは日産です。9人中1人で、元ルノーの方です。ゴーンさんに意見を言える人がいないのではないかと感じます。
 この後、会場の参加者と活発な質疑応答がありました。この中で、「過剰品質だから基準を満たさなくてもよい」という見方について、久保利弁護士は「過剰品質だから基準を満たさなくてもよいというのは過信です。例えば、飛行機は何年飛ぶか分からない。経年劣化が起こるので、長い間、品質が保たれるかどうかは分かりません」と指摘しました。



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