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福島の今を知る4「風評被害の払拭に向けて」

開催日:2月8日(木)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

毎日メディアカフェのセミナー「福島の今を知る4・風評被害の払拭に向けて」が2月8日、開催されました。


 東日本大震災・福島第1原子力発電所事故からもうすぐ7年。福島県は昨年、浪江町、富岡町、飯舘村が避難指示解除されるなど、復興に向け着実に前進しています。しかし、福島県産農林水産物の全国平均価格との乖離や教育旅行をはじめとした観光業の不振など、今もなお風評被害が根強く残っています。また、学校における避難児童生徒へのいじめが存在しており大きな問題です。復興庁は昨年12月、「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」をまとめました。国が風評被害払拭に向けての強い意志を示したものです。   このセミナーは風評被害対策の内容と意義を論議するために開かれました。登壇者は復興庁原子力災害復興班参事官の増田圭さんと、東京慈恵会医科大学臨床検査学講座講師で相馬中央病院非常勤医師の越智小枝さんです。


 最初に、増田さんが話しました。増田さんは復興大臣をトップに政府の各省庁局長級が参加する「原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース」事務局を担当し、福島への風評払拭に取り組んでいます。


 増田さんは「復興庁が新しい方針を出しているわけではありません。各省庁が取り組んできた風評対策をまとめています。いろいろな工夫はしていますが、これ一発で風評がなくなるわけではありません。できることをしっかりやっていこうということです」と前置きして、これまでの風評対策の主な取り組みについて説明しました。


 強化方針1 風評の源を取り除く


(1)世界で最も厳しいレベルの基準値に基づく放射性物質検査の徹底


(2)環境中の放射線量の把握と公表


強化方針2 正確で分かりやすい情報提供を進め、風評を防ぐ


(1)放射性物質に関するリスクコミュニケーション


(2)正確で分かりやすい情報提供


 強化方針3 風評被害を受けた産業を支援する


(1)被災地産品の販路拡大


(2)諸外国の輸入規制の緩和・撤廃への働きかけ


(3)国内外からの被災地への誘客促進


 「特に農水省の予算より販路拡大や流通実態調査には力を入れてきました。*福島県による第三者認証GAPの取得促進、オンラインストアによる販売促進などです。オンラインストアは県の目標の6億円を上回る12億円の売り上げが


あり、特に懸案のコメが8割占めているそうです。ぜひお米を買っていただきたい。さまざまな手を打っていた中で、やっていないところがあるかということでは、横浜市でのいじめ問題や、消費者が何となく福島県産品を避けるという問題があります。放射線についての正しい知識を福島県民の多くが持っていますが、県外では十分に理解されていない。米、牛肉などで県外産との間で平均価格に乖離があります。観光業は戻りつつありますが、完全には戻っていない。福島の復興の姿が十分に知られていないということもあります。総点検をして、広く国民に対して情報発信をする、具体的な情報発信の方法を打ち出すということで、風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略をまとめました。知ってもらう、食べてもらう、来てもらう、の3本柱からなります。伝えるべき対象や内容、伝える工夫を明確にしました。できるだけシンプルに、大事なことの順に書いていくことを心がけました」


Ⅰ 知ってもらう


(1)対象


①児童生徒及び教育関係者、②妊産婦及び児童生徒の保護者、③広く国民一般


(2)伝えるべき内容


 ①放射線の基本的事項及び健康影響


 ②食品及び飲料水の安全性


 ③復興が進展している被災地の姿を発信


 (以下略) 


 増田さんは「第1原発の姿を必要に応じて発信するということも加えています。専門家ではないので、有識者の方々に聞きながら作りました。日常的に放射線が存在する、ゼロにはできない、放射線はうつらない、子どもへの遺伝的影響はない。有無ではなく量が問題になるといったことです。また、リスクの程度が分からないといけない。事故による被ばくの健康影響は証明されていない、先天性異常の発生は確認されていないということも伝える。大阪でイベントをしましたが、なかなか関心を持ってもらえない。伝える工夫が必要です。福島で女子生徒が『私は子どもを産んでいいのですか』と言ったという話を聞きます。こういう話を一緒に発信しないと届きません。自分ごとにしないと考えてもらえないと思います。児童生徒向けには、文科省が放射線の副読本を作っていますが、これを改訂して配り、授業をしてもらいます。お母さんにも伝える努力をします」と説明しました。 


Ⅱ 食べてもらう


(1)対象


①小売・流通業者、②消費者、③大使館、外国要人・プレス④在留外国人・観光客


(2)伝えるべき内容


①福島県産品の魅力や美味しさ、②安全を守る仕組みと放射性物質の基準、③生産段階での管理体制


 (以下略)


 増田さんは「JAの方、流通事業者などから話を聞いています。外交ルートでの努力に加え、外国の草の根の方々にも福島県産品の魅力・美味しさを伝えることが重要です。ふくしま応援企業ネットワークという企業の集まりが、県産品を積極的に買うようにしています。どこで県産品を売っているのかを共有して、買いに行こうということです」と補足しました。


Ⅲ 来てもらう


(1)対象


①教師、PTA関係者、旅行業者、②海外観光客、外国プレス・外国人、③県外観光客 


(2)伝えるべき内容 


①福島県の旅行先としての魅力、②空間線量率や食品の安全、③教育旅行への支援策


 (以下略) 


 増田さんは「修学旅行などで、一人の親が『福島県には子どもを行かせたくない』と言うと、行けないということがあります。教育関係者や旅行業者に、福島県の旅行先としての魅力を訴えるのが一番大事です。会津、中通りはかなり戻っていますが、浜通りがつらい。そこで、県は『ホープツーリズム』として、復興に向けて挑戦している人の姿を見てもらうようにしています。復興のシンボルとして、Jビレッジ、コミュタン福島(福島県環境創造センター交流棟。県民の不安や疑問に答え、放射線や環境問題への理解を深めてもらうための施設)の存在をアピールしています。今年度はメディアミックスによる情報発信にも取り組んでいます。方針を出すだけではなく、フォローアップをきちんとしていきたいと考えています」とまとめました。


 


 続いて、越智さんです。越智さんは東京医科歯科大学医学部卒業。専門は膠原病内科と公衆衛生。2013年11月から相馬中央病院に勤務し、福島県で起こっている健康問題や食の問題について啓蒙活動をしています。2017年4月から慈恵医大講師を務めています。越智さんは「福島の風評被害とその問題点」と題して語りました。


 「2011年からボランティアで相馬に行き、今も2週間に1回、行っています。最初は科学の視点でばかり説明していましたが、それではどうしても齟齬が出ることに気づきました。科学者は確率は確からしいものと考えますが、『単なる予測でしょう』と言われる。事実に対する考え方(ケーススタディvs疫学調査)、確率に対する考え方(現在vs未来)、ニュースに対する考え方(新鮮なネタvs普遍的な事実)、そのどちらを重視するかが違うだけで対話ができなくなるのが現状かと思います。正確な情報とは何か。数値的に正確な情報、正しいリスク比較は、科学者だけの常識かもしれない。しかし、個人の事実もまた捏造でない限り、『事実』なのです。『分からないはずなのに手におえているふりをする専門家が一番信用できない』と住民から言われたことがあります。99.99%と100%の格差は、0.01%ではありません。現在と未来という超えられない壁が存在するという認識が必要かと思います」


 風評被害を払拭する必要があるのでしょうか。越智さんは、2分の1カットの白菜に165円の値札がついた写真を見せました。「首都圏では野菜が高騰しています。風評が原因で相馬の白菜が安いのかどうかは分かりませんが、安く買えるなら、風評被害がありがたいということも言えるかもしれません。風評被害が与え得る安心というのもあります。『避難したことが間違っていた』と責められているように感じる方、放射能は怖いと感じることが勉強不足と責められるのではないか、と感じる方もいます。『福島はこんなに危ない』となると、『これなら分かる』と思うのです。月数万円かかるリウマチの治療で医療費補助を受けている患者にとっては、補助が打ち切られると負担が大きいので、福島が危険だという認識が続いてほしいと願うかもしれません。風評被害がなくなると風化して忘れられるのではないか、それよりは風評被害が続いてほしいという人もいます」


 風評被害が続いているのは何故か。越智さんは「グーグルを検索すると、原発の現状がやばいとか、放射能で出ている体調不良といった内容のものが上位に出てきます。イメージが固定化されています。風評被害の多くは『結局、福島ってこうだ』というイメージの固定化で起こっている、風評被害と風化が同時に起こっているように思います」と指摘しました。


 風評被害は何故悪いのか。「差別、いじめは絶対的に悪いし、なくさなければならない。これに理屈はありません。また、放射能、がん、奇形が注目され、本当の弱者が増えているのに見落とされる。それが最も問題ではないかと思います。原発事故によって起きた健康被害は、放射能による被害よりもはるかに大きい。精神的ストレス、生活習慣による健康被害などです。放射能とがんの事ばかり話すことによって、大量の健康被害が見落とされています。相馬市におけるがんの年齢調整死亡率のデータでは、がん死亡率の増加傾向はみられません。南相馬市の早産・低出生体重児の割合は震災後も増加していません」


 越智さんは「原発から20km~30kmは屋内退避」とした国の指示を問題視します。「科学的には正しいが、現実に何が起こったか。移動できる人は全て避難しました。50km圏内の流通はほぼ停止しました。医療資源の流通も停止し、患者、独居老人などの弱者が取り残されました。原発事故の後、検死をした医師によれば、家の中で衰弱死している高齢者が何人もいたとのことです。避難の問題は海外でも起こっています。シリアでは、避難できない高齢者が施設に取り残されています。ハリケーン・カトリーナにより、設備のほとんどが機能しなくなった病院で、助かる見込みのない患者の避難を断念し、モルヒネなどの薬物で死に至らしめたという出来事もありました。どういう避難をすればよいのか、福島の例を発信する必要があります」


 福島県相双地区(相馬市、南相馬市、双葉郡など)には、事故前から医療資源の不足した状況がありました。「相双地区の医師・看護師数はもともと全国平均の約50%です。最初の1カ月で45%になりました。徐々に回復しましたが、元の85%です。患者数は減っていないので、医療者は疲労の極致になっています。医療者は女性が多く、資格職なので他でも就職できます。『自分はともかく子どもは』といった理由で戻ってこない。避難したことを逃げたと感じて、後ろ指を指されるのではないかと思って帰らない人もいます」


 最後に、「風評被害対策は、納得しないこと、問い続けること、普遍性を考えること。自分の中にある『福島』を見つけることが必要なのではないでしょうか」とまとめました。


 この後、2人のトーク、会場との意見交換がありました。この中で、増田さんは「風評は一般的には時間がたてばなくなっていくはずのものです。福島では長引いていることが問題です。できることは何でもしていかなければなりません。ハード的な整備は進んでいて、一定の復興はできていますが、心のケアなどソフト面はまだまだです。差別だけは絶対になくさなければならないと思っています」と話しました。越智さんは「(危険だと)声をあげて言っている人はあまりケアが必要ないと思っています。心の底では怖いと思っている、声を上げていないけれども不安な人にはアプローチが必要だと思います。情報として取り残されている、一時的に避難して情報が入らなかった人が戻ってきて、周りについていけない、心のわだかまりを持ったまま声を上げられないで過ごすという人には何とかしてアプローチしたい。怖いと思っても良いと発信しないと届かないように思います」と語りました。


 


復興庁原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース


http://www.reconstruction.go.jp/…/sub-c…/20170721131036.html


風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略


http://www.reconstruction.go.jp/…/20171212_01_kyoukasenryak…



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