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元村有希子のScience cafe~知りたい!チバニアン 地層が語る地球の歴史

開催日:2月5日(月)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:ScienceCafe

元村有希子のScience café「知りたい!チバニアン 地層が語る地球の歴史」が2月5日に毎日メディアカフェで開催されました。
 元村有希子・毎日新聞科学環境部長が専門家に科学の話題を聞く人気の連続企画です。今回のゲストは岡田誠・茨城大学理学部理学科地球環境科学領域教授です。岡田さんは地球の歴史上最後(最新)に起こった「地磁気逆転」の痕跡をよく残している千葉県市原市の地層を研究しています。この地層は中期更新世(約77万年前~12万6000年前)を代表する地層として、国際地質科学連合(IUGS)の一次審査を突破しました。正式認定されれば、中期更新世は「チバニアン」と命名されます。日本の地名が地質年代になるのは初めてのことです。
 岡田さんは最初に、GSSP(GSSP Global Boundary Stratotype Section and Point=
国際標準模式層断面とポイント)について説明しました。「階(Stage)の下部境界を規程する模式地、つまり地質時代の境界を示す世界で最も優れた場所のことで、114ある境界のうち68カ所が承認されています」
 地球の歴史はどこに残るのでしょうか。海洋生物の種類は地球上ほぼ同時に変化します。海洋生物の死がいは海底に沈みます。「海底の泥の中には海洋生物の死がいが残っています。湖だと固有種になりますが、海では新種が発生すると、やがて全世界に広がります。ですから、海の地層でないとだめです。しかも、陸上に出ていないとだめです。時代を決めるのは海の地層です」
地質時代の区分は、大区分は「生物相の変化」、小区分は「気候の変化」で決められます。しかし、時代Bから時代Aに変わった場合、どこからが時代Aなのかを決められませんでした。1976年から地質時代の決定法が確立しました。A/B境界を最もよく示す地層を選び、GSSPと呼ぶようになったのです。「ヨーロッパの地層が多く調べられていたので、ヨーロッパの地名がつきました。ヨーロッパ大陸は3億年ぐらいしか歴史がないので、それ以前は別の地域になります。中国の地層を欧米人が調べて、命名した例も多くあります。GSSPとして承認されると、Golden Spikeという印が打たれます」
 GSSPの条件としては、以下があります。
1.連続的に海底で積もった地層であること
2.多くの種類の化石が産出すること
3.地磁気逆転など複数の手法で比較できること
4.国際誌に広く出版されたデータがあること
5.露出が良く、地層の変形が少ないこと
6.アクセスが良いこと
7.将来的な保存が保証されていること
 岡田さんは「世界のどこでも見られる化石が望ましい。アクセスが良いことも重要で、ヒマラヤの山頂ではだめです(笑い)。誰も行けないので。保存を保証するためには、天然記念物等への登録が必要です。天然記念物になると研究に支障が出るという声もありますが、そうではない。そうならないように、登録の話を進めています」と語りました。
地質学では、時代は「更新世」、地層は「更新統」と呼びます。前期―中期更新世の境界を示す地層が「下部―中部更新統境界」です。「更新世はたかだか260万年ぐらいしかありません。例えば、白亜紀とか新第三紀は数千万年です。何万年というのはぴんと来ないかもしれません。生活時間をはるかに超えると想像できません。そういうときは、年を円に変えると、すぐに分かります(笑い)。77万円と1億円では全く違いますから」
 更新世の中の区分は気候変動の違いで分けられています。地球は氷期と間氷期を繰り返しています。そのサイクルは海水の酸素同位体比で知ることができます。酸素には3 種類の同位体が存在します。重い18Oの数量を軽い16Oの数量で割った数値が酸素同位体比です。氷には16Oの軽い水が多く、氷期の海水は相対的に重い水が多くなります。氷床が縮小して氷が海水に溶けた間氷期の海水は軽い水が多くなります。海水中を漂う有孔虫は海水を使って石灰質の殻を作ります。「当時の海水の酸素同位体比を反映するのはプランクトンの化石です。有孔虫と呼ばれる単細胞生物の殻の酸素同位体比を調べます。酸素同位体比が小さいと、海水温が高かったことを示します。更新世になり、2万年で1周期だったのが振幅が大きくなって4万年ぐらいになりました。地軸の傾斜角が変わる周期が4万2000年ぐらいです。それに対応しています。不思議でしょう?地球の軌道の形で気候がコントロールされているのです。中期更新世ではさらに振幅が大きくなり、10万年周期になりました。前期―中期境界を10万年周期に変わった時期にしましょうということになりました。地球の極性は頻繁に逆転を繰り返しています。最後の逆転の時期を前期―中期境界の目安としましょうということになりました」
 77万年前の海の底が地表に露出している場所は限られています。「ものすごい勢いで海が隆起しなければなりません。地殻変動が大きい国でないとならないのです」。候補に名乗りを上げたのは、千葉県と南イタリアの2地域でした。境界条件は地磁気逆転の記録がしっかりしていること、海洋微化石から変動が分かること、気候変動を知ることのできる花粉化石がかぎになります」
ここで、参加者に「地磁気を知る試料」として、地層の土を見せました。「地表のどこにいてもN極は北を向きます。方位磁石を糸で吊すと、磁力線に沿った方向で並びます。地磁気は逆転していることが確かめられています。数万年から数十万年に1回逆転しています。地磁気逆転は地球上のどこでも同時に起こります。これが地層に記録されていたら、時代を決める良いツールになります。プランクトンは数千年のラグがあってもおかしくない。酸素同位体も同じです。しかし、地磁気は同時に変化が記録されます」
 元村さんは「そもそもどうして地磁気は逆転するのですか?」と尋ねると、岡田さんは「それを調べることも目的の一つです。地磁気逆転は古地磁気を調べて初めて分かったのです」と答えました。
 スーパーコンピューターで磁場が変わることを再現することができるそうです。しかし、「なぜ逆転するのか」は未解明なのです。「海底にたまる泥の一粒一粒を調べると、磁石の性質を持つ泥があります。それの磁化を調べます。泥に磁場の記録が保存されています。逆転が記録されていて、方向や強さの変化も分かります。プレートテクトニクスも古地磁気学で証明されてきています」
1億7000万年間の地磁気逆転のデータを見ると、白亜紀に長く極性が変わらない時代があります。この時代は地球が温暖で、火山活動が活発でした。マントル対流が活発だったと考えられていますが、どうして極性が変わらなかったかは分かっていないそうです。
 地磁気極性年代表には、古磁気学に貢献した4人の名前をつけられています。その一人が「マツヤマ」。松山基範(1884~1958)氏は京都帝国大学教授、初代山口大学学長を務めた学者で、日本や朝鮮半島、旧満州国の第四紀火山岩から正・逆帯磁を発見し、それをもとに更新世初等に地磁気が反転していたことを明らかにしました。
 さて、下部―中部更新統境界GSSP候補は3カ所ありました。イタリア南部の「モンタルバーノ・イオニコ」はイオニア海に面した土地です。「ものすごくよい地層です。そこら中に化石があります。微化石、花粉もたくさんあって、完璧な地層です。ところが、古地磁気を測れない。有機物が多いところで磁鉄鉱が少ないと、とけてしまうのです。研究者は古地磁気を示すことができないので降りますといったんは言ったのですが、技術が発展するかもしれないということで残りました」
 第2候補はやはりイタリア南部の「ヴァレ・ディ・マンケ」。急峻ながけに地層が全面露頭しています。ここは地層の堆積速度が遅く、時間解像度が低いのが難点です。「泥がたまる速度はヴァレ・ディ・マンケは1000年で数cm。千葉は2m以上たまります。速ければ速いほど研究にはよいのです」
 「第3候補の千葉セクションの利点は外洋に面していることです。イタリアの候補地は地中海に面しています。塩分が高いので、酸素同位体比が重くなる。グルーバル対比には向かないのです。地中海沿岸にGSSPが多いのは、ほかにライバルがなかったからです。違う場所がライバルになったのは今回が初めてです。2004年以降、正式候補になりました。千葉は花粉がないことが難点だと言われていました。実は国際誌に論文が出ていなかった。国内論文はあったのですが。国際論文があったら速攻で勝っていたはずです」
 ここで、元村さんは「岡田先生がやるべきことだったのでは(笑い)」。岡田さんは「私が研究グループに入ったのは2013年。論文がないから何とかしろということで呼ばれました。もともと、そこで火山灰を使って年代測定をする研究をしていたので、一緒にやることになりました」と答えました。
 一次審査は2015年夏の予定でした。ところが、モンタルバーノが「1年間待ってくれ」と要望し、延期になりました。地磁気の測定に、ベリリウム10(10Be)を使うというのです。「地磁気が弱いと宇宙線が強くなり、10Beが多くできます。これが地上に降ります。地層中の10Beが多いと、地磁気が弱いことになります。実際に、素晴らしいデータが出てきました。2016年夏のことです」。同年、ヴァレ・ディ・マンケも1年延期を提案しました。「千葉はイタリア2カ所差をつけるために、花粉のデータを取得しました。良いデータがとれ、申請書に入れました。論文は査読中です。10Be測定は加速器が必要で時間がかかります。モンタルバーノの10Beを測った研究者に声をかけると、もともと千葉でやりたいと思っていたと、測定してくれました。10Beと古地磁気強度のデータが見事に一致しました」
2017年6月に申請。千葉セクションは作業部会の第1回投票(10月10日~11月10日)で、GSSPに唯一選出されました。今後、第四紀層序委員会、国際層序委員会の投票を経て、最後にIUGS投票で60%以上の賛成票を得ると、GSSPとして確定します。「科学の面では大丈夫です」と言います。
どうして「チバニアン」の名前が発案されたのでしょうか。「周辺地名に『イアン』を付けます。千葉は『チビアン』になりますが、ある人の案で『チバニアン』になりました」
 元村さんは「チビアンはかわいいですが、チバニアンのほうが神秘的ですね」と感想を述べました。
 岡田さんは最後に、「地質時代に日本の地名がつくのは初めてです。世界で69番目のGSSPであり、3000カ所以上の世界遺産よりも希少価値があります。中学理科や高校地学の教科書にも載り、理科離れに歯止めがかかるかなと思います。理科・地学教育の聖地になり、多くの生徒や親子連れの来訪が期待されます」と意義を語りました。
 質疑応答では、「茨城大学の人からは、どうしてイバラキアンではないのか、茨城県にはないのかなどと言われます」と苦笑しました。また、今後の展望については、「当時は現在の気候と最も似ていると言われています。当時の気候変化、どう氷期に移行したかが分かると、将来予測につながる。自然状態ならこうなるはずだということが分かると思います」と研究課題をあげました。

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