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成田有佳記者報告会「東京ごみストーリーの現場から」

開催日:1月18日(木)18:00~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント


昨年11月に毎日新聞に連載された「東京ごみストーリー」を取材・執筆した毎日新聞東京本社編集編成局地方部の成田有佳記者の報告会「東京ごみストーリーの現場から」が1月18日、毎日メディアカフェで開かれました。
 杉並区の清掃事務所やごみ収集の現場を舞台にした連載は、ごみを切り口に現代社会を描き、読者から「ごみ収集の苦労を知った」などと、大きな反響を呼びました。そこで、記者報告会が企画されました。
 成田記者は1985年、仙台市生まれ、福島市出身。2009年毎日新聞社入社、京都支局配属。12年から富山支局で4年間、16年から和歌山支局で1年間勤務(2016年5~10月産休取得)、2017年4月から現職です。特技は中国語(家庭内)。
 「東京ごみストーリー」は2017年11月4~17日、毎日新聞朝刊で連載されました(全10回)。
 成田記者は、ごみ用語が各自治体で違うことを、クイズをしながら説明した後、取材のきっかけを語りました。「きっかけは、地方部デスクが外国人の収集作業員を見たと言っていたことです。杉並区が6年連続23区内で最もごみ排出量が少ない区であること、ごみ戦争の舞台となった清掃工場が今年建て替えだと知ったことから、取材しようと思いました。これまでの自分の取材経験では、環境、裁判などの関係で、清掃工場を取材したことはありましたが、本格的に取材することはありませんでした。最も通った場所である杉並区清掃事務所の住所は杉並区成田東です。同じ成田でうれしかったです(笑い)」
 成田記者はたくさんの写真を示しながら話しました。「ごみ収集の作業員の方々は外で汗をかいたら終わりと思っていましたが、席に色鉛筆があるのです。収集ルートを書き出している。事務方が地図を描くのではないのです。取材の最初は収集車を追いかけるところから始めました。枯れ枝が出てきたとき、アパート暮らしの私は枯れ枝も収集するんだと驚きました。カラスよけのふたをかぶせていたり、アパートで箱を置いているところもあります。作業員の方はごみ袋を、手袋を外して受け取りました。『手袋でごみを集めてきたから、手を差し出して受け取る』と言いました」
 大量のごみがスクリーンに映し出されました。「高円寺の阿波踊りの後のJR高円寺駅南口の風景です。大半は主催者以外が置いていったごみです。7割が『便乗ごみ』とも言われます。高円寺が特殊なのか、高円寺がひどいかそうでないかということではない。自分もそのようなことをしたことはないのか、自分の経験に気づけることになるのではないかと思いました」
清掃事務所で最も多い苦情や意見は、ごみ集積所にまつわることです。「所長に『集積所を取材したい』とお願いしました。杉並区は住民が話し合って集積所をつくります。私はごみ集積所は人々にとって一番身近な『迷惑施設』だと思っていました。『いまもめているところを取材すると、もっともめるのではないか』と心配されたようですが、廃止にするという話になっていた集積所を取材しました」
 取材の最中に驚いたこともあったそうです。「事務所で突然の電話があって、びっくりしたことがありました。電話を受けた技能長が『どこで死んでいるのですか』と言ったのです。動物死体の回収が収集作業の一つになっていることを思い出しました。清掃事務所には、冷凍庫があります。死んだペットや道路で死んでいる動物を収集します。回収された死体は川崎市にある施設で合同葬にします。そこで取材をしたとき、女性が『(ペットを)自分の庭に埋めようと思ったけれど、寂しいかと思って。ここだと仲間がいるから』と話していました」
作業員の活動は多様化しています。その一つは、高齢者の戸別収集「ふれあい収集」です。「江川雅志所長は最初に『ごみだけ取っている時代ではないのです』と言いました。ふれあい指導班、私は勝手に『ごみのマルサ』と命名しましたが、ここが戸別収集や訪問指導をしています。ごみ・資源分別の実態調査もして、ごみに対する意識を高めようとしています。可燃ごみの中に雑誌、新聞、弁当などが入っている場合があります。指導班の人はチャイムを鳴らします。記者として話を聞くためにチャイムを鳴らし、断られた経験をたくさんしてきた私は不安でした。しかし、『説明をすると分かってもらえる』と言っていました。私はだめだなあと思わされました」
 ふれあい収集の対象の家の前にある箱には、「いつもありがとうございます」と手書きの紙が張られていました。「指導班の人たちは住民と顔見知りになって、ちょっと手伝ってと言われることがあります。おばあちゃんが、ライトにたまった虫を取ってほしいとか、がたがたしているという網戸をみてほしいとか。それに応えます。生活支援までやっているのは全国的にも珍しいと思います。高齢者の生活と近いので、家の中で倒れていた人をみたという作業員もいます。生死に近いところで仕事をしていると感じました。AED(自動体外式除細動器)を全車両に搭載して、作業員が講習を受けています。いわば、動く区民のサービスマンなのです」
 ここで、ブレークタイム。成田記者は「あおくび、しろくび。何でしょう」と質問しました。「大根です(笑い)というのではありません」と言いながら、参加していた江川雅志所長に答えを求めました。江川所長は「大根です(笑い)。清掃車で座席のある前方部分が白い車が『しろくび』で、これは区の収集車。前方が青い『あおくび』は業者の収集車です」と説明しました。
 後半は「東京ごみ戦争」の話です。1965年、江東区夢の島に大量の焼却されていないごみがたまっていることが問題化しました。木造船でごみが運ばれている写真もあります。「ハエが大量に発生して問題になりました。『ハエの死がいで庭も真っ黒』の説明がついた写真もアーカイブに残っています。ごみはさらに増え、新夢の島もできました。ごみを運ぶ車の台数が多く、江東区住民の不安は増しました。各地で清掃工場ができましたが、地元が反対したところもありました。杉並区はその一つで、高井戸での建設計画に地元住民が反対しました。1966年、ビートルズ来日の年です。江東区の住民は、ごみ反対決起集会を開くなど、ごみ収集車の通過反対運動をしました。73年には、江東区の人たちが『杉並区からのトラックを止める』という行動に出ました。杉並区では2000トンのごみがあふれました。住民と都の話し合いで、公害対策が進んだ工場を建てることが77年に決まり、78年に杉並清掃工場が着工されました。毎日新聞のアーカイブには、東京ごみ戦争のたくさんの写真が残っています。歴史を記録することは役に立つのだなと思いました」
 江川所長は東京ごみ戦争当時、江東区の小学生でした。「ハエたたきをランドセルに入れていた」そうです。杉並清掃工場の一角に資料館「東京ごみ戦争歴史みらい館」があります。成田記者は「資料館は入場無料なので、ぜひ行ってみてください」と勧めました。
 最後に、成田記者はこう語りました。「江川所長に、『収集作業員の方々は何を取りに行っているのですか』と尋ねました。所長はしばらく考えた末、『信頼なのでしょう』と言ってくれました。連載には書けなかったことです。収集作業員は住民サービスの最前線で汗を流し、住民の心のひだに敏感になっています。私は所長の言葉を聞いて、『信頼』がテーマの取材だったと気づきました。連載の最後に書いたことですが、ふれあい指導班による子どもたちへの環境教育の際、子どもたちにどうだったかと感想を尋ねました。車がかっこよかったとか言うと思っていたのですが、『おじさんたち、かっこよかった』と言ったのです。えーっと思い、ほかの子どもに聞いても同じでした。一緒に分別できて楽しかったとか。私には、ごみは臭くて汚いという偏見がありました。毎日新聞『みんなの広場』で、『おじさんたち、かっこよかった』の言葉に、ついほろりとしたという読者の声が掲載されていました。(指導班の方の写真を紹介して)指導班の人たちはこの目線、笑顔で住民の方々に接しているのです。今後ですが、高齢者のごみ出し支援、ごみの有料化、産業廃棄物処理のことなど、たくさんテーマがあります。これからも取材して、記事にしたいと思います」
 この後、会場の参加者と質疑応答、意見交換をしました。江川所長以外にも、清掃関係の方が参加し、「ごみ有料化の是非」などについて、議論がありました。有料化については、東京の場合、多摩地区で導入する自治体が増えている一方、23区は事務組合をつくってごみ処理をしているので、一つの区だけで始めるのは難しいとの指摘がありました。また、 ごみの減量には効果が一定の期待されるものの、長期的にどれほどの減量効果があるのかは十分に明らかではないこと、戸別収集になるので経費がかかったり、プライバシー保護上の議論が起こりうるといった問題もあることなどが話されました。成田記者は「有料化すべきかどうか、自分自身の結論は出ていません」と迷いを率直に述べました。
 記者の仕事、出産・育児(1歳半の長男)をしながらの仕事については、「自分の中で、こうだと思っていたことを打ち砕かれる瞬間が好きで、まさに今回の取材がそうでした。2014年に結婚して、16年に長男を出産しました。夫は中国出身で、中国には子どもを産んだら育児を手伝うのは当然という考えがあり、夫の両親がしばらく来てくれていました。夫は東京で単身赴任で働いていました。今日は夫に家にいてもらっています。家族のおかげで育児をしながら仕事をしています」と話しました。
「東京ごみストーリー」の見出し、概要は以下の通りです。
①「戦争」経て戦うマルサ、捨てたもんじゃない
 杉並清掃事務所「ふれあい指導班」の場面、登場人物と背景の紹介
②風の日も雪の日も
  収集風景と、知らなかったことへの小さな驚き
③祭り翌朝 悲しい便乗
  「東京高円寺阿波おどり」翌朝月曜の現場と、地元関係者
④ペットは家族 別れに涙
  事務所にかかってきた電話に対する驚き、ペット霊園
⑤収集所設置 やまぬ相談
  「あるある」と何度もうなづかずにはいられない、ご近所風景
⑥戸別収集 高齢者に笑顔
  もちろんほんの一部。だけど実際の場面
⑦異変を察知 命助けたい
  生死に近い現場
⑧「もったいない」けれど
  外国人労働者「だから」?「でも」?
⑨「対立の歴史」 本質知る
  東京ごみ戦争 当事者の数奇な運命
⑩偏見を超えた「誇り」
  子どもと読者からの「かっこいい」



 

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