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食農交流で地方を元気に!

開催日:1月11日(木)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント


毎日メディアカフェのイベント「食農交流で地方を元気に!」が1月11日、毎日ホールで開かれました。
千代田区神田のオフィス街の一角に「ちよだいちば」という小さなアンテナショップがあります。月替わりで全国各地の市町村の産品を特集します。店内には地方の新鮮野菜、果物、お菓子、加工品が並び、日替わりメニューのランチも人気です。販売だけでなく、〇〇町のちょい飲み、地方の食材を使った料理教室など生産者とお客様の交流イベントや生産者を訪れる農業体験ツアーを定期的に開催しています。これらの活動に取り組んでいる農商工連携サポートセンターの大塚洋一郎代表理事が講演しました。
 大塚さんは科学技術庁に入庁。文部科学省宇宙開発利用課長などを歴任して、経済産業省大臣官房審議官として農商工連携促進法の制定、運用を担当しました。2009年、農商工連携による地域活性化に取り組むため早期退職して、農商工連携サポートセンターを設立しました。現在は農商工連携サポートセンター代表理事のほか、千代田区と全国54市町村を結ぶ「ちよだフードバレーネットワーク」会長を務めています。
 大塚さんは「どうにかするぞ」と書かれた前掛け姿で登壇しました。岩手県大槌町の東日本大震災被災者が作った前掛けです。最初に、官庁を退職した経過を話しました。「私は衛星はやぶさを打ち上げた時の宇宙開発利用課長です。現場が好きで、課長ぐらいまでは何かやっている感じがありました。それから、経産省大臣官房審議官になりました。車が自由に使えて、個室、秘書付きで、役人としてはここまで来たかという感じでした。メーンの仕事は国会議員の対応です。議員は優秀な方もいますが、そうでもない方もいる。議員に説明しに行くのが大きな仕事で、面白くないのです。議員に説明する番が来るまで待っていたとき、年金問題の説明をしてきた厚労省幹部の疲れてどす黒い顔を見ました。自分が鬱々としていたこともあって、この世界に残るのはまずいと真剣に思いました」
 官僚として出世した身分を捨てることは容易ではありません。「葛藤があって、せっかくここまで来たキャリアパスを捨てるのはもったいないじゃないか、農商工連携をしたいというだけで中身は何も具体化していないのに食べていけるのかと迷っていたのですが、やめちゃおうと決心しました。家族は大反対です。奥さんは3カ月、口をきいてくれなかったです。就職したばかりの長男は話を聞かないで、『お父さん、僕は反対です』と言いました。今は奥さんも長男も活動を応援してくれていますが。それでも、文科省に行って、『1年後に辞めます』と言いました。逡巡しているときに出会ったのが、NPO法人企業支援ネット代表理事の関戸美恵子さん(故人)です。活動を一生懸命説明してくれるのですが、その内容がすごく魅力的でした。辞める決断の後押しをしてくれた形になりました。辞める決心をしたとたんに、お世話になる人たちがたくさん現れました。大地を守る会(現オイシックスドット大地)の藤田和芳さんなどです」
 辞めた後の活動は決まっていませんでした。「NPO法人えがおつなげて代表理事の曽根原久司さんのNPOで働かせてもらおうと思い、そねはらさんの自宅に行って話したら、農商工連携の民間組織が必要ではないかという話になりました。そのとき、私がやりますよと言ってしまったのです。思ってもみないことを、自分の口が言っていたという感じでした」
2009年に設立した農商工連携サポートセンターは翌年NPO法人になりました。千代田区神田錦町3-21「ちよだプラットフォームスクウェア」にあります。「役所を辞めてNPOを始めて、一番違うことは『感謝される』ということです。役人は全く感謝されないのです(笑い)。ツアーに行ったりしたら、言葉でありがとうと言われなくても感謝の気持ちが伝わってきます。この世界は美味しいですし、楽しいというのもありますね。しかし、NPOの運営はとてもしんどい。アルバイトの人を使用期間2週間でやめてもらったことがありましたが、それは精神的にたいへんでした。仲間がいる、女性が多いというもの特徴です。役所時代は今振り返ると、モノクロームでした。今はフルカラーという感じです」
 食農交流とはどんなことでしょうか。「美味しいものというのは価格が高いものではなく、お母さん方が作ってくれる豚汁とか漬物とか、そういうものです。例えば、しゅっと伸びてきたアスパラを切って生で食べると、瑞々しい。軟らかくて美味しいです。採れたてのアスパラを炭で焼いて食べても美味しい。そういうものを都会の人に食べてもらう。売るのが目的ではなく、食べてもらう。気に入ったら、その地方に行ってもらう。ものは地方から都会へ、人は都会から地方へというのが私たちの活動です。どちらか一つをしている団体はたくさんありますが、両方やっているところが私たちの強みかと思います」
大塚さんは人類と食について考えました「人類が誕生したのは5万年前で、4万年は狩猟生活でした。1万年前に定住して農耕を始めました。農業は作って食べることであり、食べ物は作るものでした。150年前に食べ物は買う物になりました。食と農が初めて切り離されたのです。食べ物を誰が作ったかわからなくなりました。それは人類として不自然なのではないか。昔の生活には戻れないけれど、食と農を近づけるDNAが働いているのではないかと思っています。食と農をつなぐ活動への関心は高くなっています」
 NPO活動は①「ちよだいちば」の運営②ちよだフードバレーネットワーク③コンサルタント事業の3本柱です。ここから話は具体例に入ります。イベントでは、「初舞台」純米吟醸生酒が試飲として提供され、販売もされました。「20年前、白河市大信地域の米農家が、酒は米からできているのに、酒屋で買うのはどうかということで、自分たちで作った米を蔵元に持ち込み、作ってもらった酒が『初舞台』です。限定2000本の酒ですが、今年は20周年だったので、3000本作りました。2016年に初舞台の言い出しっぺである臼井さんという方のところに大豆の収穫ツアーに行きました。無愛想なおじさんですが、交流会になると、目がらんらんとなって初舞台のことを話します。火入れをしていない生酒で、12月10日にできます。できたては荒ぶる味がする。1月10日が一番美味しくなるということで、昨年1月10日に来てもらって、そばと初舞台を楽しむ会を開きました。お酒も美味しいのですが、米農家の人たちが東京に来てくれたという交流がいいのですね。一番大切なのは良質の交流です。いい交流をもたらすのが美味しい食べ物、飲み物です」
 次は、頑張っている地方の例として、愛媛県西予市遊子川(ゆすかわ)地区の紹介をしました。「遊子川は人口300人の集落です。産業はトマトしかない。そこのお母さん方20人が立ち上がって商品開発をしました。トマトユズポン、こどもケチャップです。こどもと名前がついているのは、子どもが食べても安心の無添加食品だからです。商品を開発しようというとき、トマト酢を大量に作ってしまった。そこにユズ農家の女性がいて、ユズポンを作ってみた。最初は売れなかったけれど、小さなビンにしたら売れるようになりました。第2弾はケチャップ。トマトは4個詰まっています。やさしい味がします。うちの奥さんがチキンライスを作ったら、あまりにも美味しくて、自分1人で食べてしまったほどです。ちよだいちばでも販売していて、大ヒット商品です。遊子川では、食堂もつくってしまいました。メニューは1種類だけ。材料の95%はメードイン遊子川です。地元の人の交流場所になりました。ちよだいちばのチョイ飲みイベントには、10人のお母さんが来てくれて、たいへん盛り上がりました。きょうこさんというリーダーが開発物語を話してくれました。企業組合遊子川ザ・リコピンズのリコピンはトマトの成分です。『まちづくり、ひとづくり、わかづくり』を掲げています。どこでも、頼りになるのは女性です。遊子川リコピンズに会いに行くツアーを2015年10月に開催しました。食堂ゆすかわ開設、新商品開発により、ザ・リコピンズの売上は初年度の500万円から、1000万円、2000万円へと伸びました。映画『食堂ゆすかわ』も制作されました。300人のところで20人の雇用ができたのです。すごい大成功例です」
 NPOが取り組む「ちよだいちば」の前身は2010年に始めた「ちよだ青空市場」でした。毎月1回定期開催し、13~16業者が出店し、200~400人の来場者がありました。生産者と消費者の直接交流の場で、その延長が、ちよだいちばです。「都道府県ではなく、市町村のアンテナショップです。1カ月単位で市町村が店を出します。1カ月で替わるので、お客様は飽きない。漬物とか食べないと分からないものがあります。それを弁当に出して食べてみてもらいます。NPO職員で店長の朝比奈千穂さんは以前、漢方分野で働いていて、農に興味を持ち、4年前に応募してきました。NPO職員は6人、常勤は私と朝比奈さん、あとはアルバイトです。お弁当は1日25食。12時前に来れば食べられます。お客さんはリピーターばかりです。以前は95%、今でも90%は女性、付近で働いているOLです」
 3本柱のひとつである「ちよだフードバレーネットワーク」。千代田区長は「千代田区と地方の市町村は協力しなければならない」という考えを持っているそうです。最初は19市町村、現在は54市町村とのネットワークがあり、大きなマルシェを開いています。
 このほか、農水省農村振興局の「都市農村共生・対流総合対策交付金」に関するコンサルタント事業をしています。
 「合わせて3500万円ぐらいが事業規模です。都会人は農的体験を求めています。イベントの評価を決めるのは食べ物が8割ですね。ビルの屋上には菜園があります。作業はほんの少しですが、その後、大宴会をします。働いた後に収穫した物を食べるのは抜群にいいです。イチジク農家でイチジク100万本プロジェクトに取り組む服部さんという女性のこところには、完熟イチジクを食べ放題のツアーに行っています。来週、イチジクのフルコースを提供するイベントがあります」
 東日本大震災後は被災地支援にも取り組みました。「宮城県岩沼市のトマト農家は津波でほとんどのハウスが壊滅しました。2011年6月4日、トマトを植えに行こうというツアーをしました。奇跡的にひとつ残ったハウスで、土壌改良材をまいて、植えました。塩分はあったけれども、甘いトマトができました。当時、がれき撤去のボランティアはあっても、農業支援のボランティアは初めてでした。その農家は今は被災前よりも生産量を増やしています」
 最後に、大塚さんは「食べるだけではなく何か体験もすると、その場所が好きになります。ちとだいちばはそういう場所にしたい。当初は『農商工連携で地方に雇用を創設することが目標』でした。役人のような上から目線の言い方です。それから、面白いことは何だと考えたら、食と農の交流でした。交流によって元気になるのは都会の人なのです」とまとめました。
 ちよだいちば
http://www.chiyodaichiba.com/about/


 



 

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毎日新聞東京本社1階にある「MOTTAINAI STATION」を毎日メディアカフェとして午前11時から午後6時(イベント開催日は午後8時30分)まで開放しています。新聞や雑誌を読んだり、タブレット端末で毎日新聞ニュースサイトや毎日スポニチTAP-Iなどを検索したりできます。イベントは全て無料で参加できます(予約制、申し込み順)。

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