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学校リスクを考える~「ブラック部活動」の現状~

開催日:11月11日(土)13:00~16:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

毎日メディアカフェの教育シンポジウム「学校リスクを考える~『ブラック部活動』の現状~」が11月11日、千代田区一ツ橋の毎日新聞社内「毎日ホール」で開かれました。教職員や市民180人で満席になりました。
 近年、運動部活動中の重大事故、顧問から生徒への暴力・暴言によるハラスメントなどの問題がクローズアップされています。一方、顧問に課せられる部活動指導の過重負担など、教職員のワークライフバランスのあり方をめぐる問題もあります。 部活動の意義と問題点、部活動問題解決への課題を探るため、シンポジウムが企画されました。
【基調講演=内田良さん】
第1部では、名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授の内田良さんが「学校の日常を見える化する~部活動改革から働き方改革まで~」と題して基調講演しました。内田さんは組み体操や柔道などの事故や教員の長時間労働など学校教育に関わるリスクについて調査研究・啓発活動を展開しています。著書に「ブラック部活動」「教育という病」などがある、部活動問題の先駆的研究者の一人です。
〈講演概要〉
この機会はありがたいことです。今日の参加者は半分が教員、半分は市民と聞いています。市民に開かれた講演会です。教員の働き方改革というテーマに市民がやってくる。教育界の歴史的大事件だと思います。市民の方にも教育改革のことを伝えたいと思います。
 教育問題はこれまで、いじめ問題や不登校、教員の体罰、ハラスメントなど、教師は何をしているんだと、マスコミや市民は教師をたたいてすっきりするという語られ方でした。ところが、この2年ぐらいで激変しました。今を逃したら、たいへんなことになる。この機会に世論を高めて本気で教育現場を変えないと、えらいことになると理解しています。
 1年前ぐらいまでブラック部活動は生徒の話でした。この1年で、先生の問題になりました。にもかかわらず、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」で、市立中学校長が「強いチームをつくりたいという教員には、長時間労働なんて関係ないんですよね」と発言しました。それほど問題ではないということです。一番保守的な発言をするのは校長です。地域の見回りを減らしましょうと言うと、地域に恩返しが必要だからと言うわけです。これだけ問題になっても、職員室が応じない。先生に風が吹き始めた今、職員室が変わらなければ、市民は去っていきます。
 ブラック部活動の議論をすると、先生から必ず出てくる意見は「ブラックは一部でしょう」です。「だから、大げさに言うな」と内部から拒否する。一部で起きていることだからと投げ捨てることが問題です。部活動を持続可能なものにしていくことが大切です。
 僕はもともと、学校事故を調べていました。子どもが亡くなっているのは何でなのか、統計がありませんでした。事故統計は数字ではなく、事例で出ています。事例をカードにしました。そこで見えてきたのは、柔道事故でした。柔道により30年近くで100人の子どもが亡くなっていることが分かりました。毎年3件、4件と起こっていた。2011から12年にかけてマスコミが騒いだら、0件になりました。その後、1件、2件と起こりましたが、みんなが考えれば、変わるのだということを知ってほしい。
 組み体操も同じです。2016年3月に、スポーツ庁が組み体操に気をつけなさいと通知した。組み体操という運動会の1種目に国が口を出すというのは異常なことですが、国が放っておけないと動いたのです。
学校の自立は大切ですが、安全面については基準を持って考えなければならない。組み体操はやっているが、事故は大幅に減りました。これでいいのです。組み体操のプロである日体大の荒木達雄教授と会った時、「内田さん、ありがとう」と言われました。大好きな競技で子どもがけがするのは見たくないということなのです。皆が楽しく、サステナブル(持続可能)にする、楽しいものにして将来の財産にしていく設計が必要です。
僕は「柔道全廃論者」「組み体操全廃論者」と言われ、今は「部活動全廃論者」と言われますが、全廃論者ではないことを宣伝してください(笑)。
 教員の働き方問題の動きはネット上で始まりました。生徒の負担を減らそう、先生の負担を減らそうという2件のネット署名に取り組み、合わせて5万件の署名が集まりました。その署名の束を文科省に持っていった。行動力のある先生です。その後、文科省は矢継ぎ早の部活動対策、通知を出しました。2017年4月にできた部活動改革ネットワークは70人の先生がいます。ネット上でディスカッションの場を設けて、毎日議論しています。水面下で地殻変動が起こっています。
先生たちは次々と方針を出したり、緊急提言をしたりしています。原動力はツイッターでした。僕はワンクリック改革と呼んでいます。ある人がツイッターでつぶやいた時にリツイートというワンクリックをすると、友だちにつながっていく。署名が5万件以上リツイートされたのはすごいことです。「私たちに何ができますか」とよく聞かれますが、ツイッターに登録してワンクリックするだけでいい。隣の人に話しかけることをしてほしい。
 エビデンスを紹介します。2016年度教員勤務実態調査(速報値)で、過労死認定ラインとされる週60時間以上の勤務(月80時間以上の時間外労働)が小学校で33.5%、中学校で57.7%、週65時間以上の勤務(月100時間以上の時間外労働)が小学校で17.1%、中学校で40.7%にのぼります。連合総研の調査では、小中学校の教員は他職種に比べて、圧倒的に長時間働いています。
 教員は教職調整額として給料月額の4%増しになっています。1966年の調査で週に2時間の残業をしているということで、4%になりました。その代わりに残業代はなし。法制度上は、先生方は好きで学校に残っているということになります。だから、過労死などの裁判がたいへんなのです。連合総研の調査では、タイムカードで出退勤時間を把握している小中学校は10~11%で、9割の学校では出退勤時間が把握されていません。出勤簿への押印ですませるところが多い。何時間働いているかを管理することはない。だから、先生はいくらでも働いてしまう。子どものためにと思って、はまってしまう。労務管理なき長時間労働の恐ろしさは、過労死で倒れたときに、何時間働いていたかが分からないことです。 先生方は危機意識を持ってほしい。時間管理して、対抗するすべを持たなければなりません。先生たちには休憩時間という意識がなく、ノンストップ労働をしています。連合総研の調査では、教員の半数は休憩時間を知らない。休憩時間は確保されていません。今は中学校、高校の部活動問題で盛り上がっていますが、今後の課題は小学校教諭も含めて働き方改革をどう盛り上げるかだと思います。
 ネットを見ると、生徒が部活動で廊下を走っている姿が出ています。ものすごいリスクが高い。なぜ廊下を走るのか。その答えは部活動がグレーゾーンだからです。制度設計が何もない。学校の施設は授業用に設計されていて、部活動用にはできていません。だから、部活動が一斉に始まると、場所がなくて廊下も使わざるをえない。部活動は「制度設計なき教育活動」であることを認識しなければなりません。
 運動部顧問の約半数はその競技種目の経験がありません(日本体育協会調査)。素人の先生に教えられています。子どもがけがをしたら、先生が責任を問われる。先生自身が被害者だと思います。栃木県で起こった高校登山部の事故は。安全管理がしっかりしていなかった。未経験の先生がやったことのない登山部を担当し、生徒と一緒に亡くなりました。
 中学校、高校の学習指導要領では、部活動は「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」と教育課程外であるのに、実際には加入を義務づけている中学校が多くあります。教員にとっては、「自主的なのに強制される」状態で、文部科学省調査では、中学校の87.5%が全員顧問制になっています。競技の大会は平日に設定されています。これは大きな問題です。土日に開催しないのは、「土日がつぶれるから」という理由だそうです。
 学校では県大会や全国大会出場などの垂れ幕がかかっています。トロフィーがたくさん飾られています。部活動の時間が増えたことはいろいろな調査で明らかです。なぜ部活動の時間が増えたのか、その一因には、部活動が評価の対象になったことがあります。学習指導要領改訂で、個性重視が掲げられました。ペーパーテスト以外だと部活動が大きなものの一つになります。
 先生と生徒に理想の部活日数を尋ねた神奈川県の調査では、先生も生徒も、もっと休みたいと思いながら、週6日以上やっていることが分かります。背景には部活動は勝たなければならない、勝って評価されるという側面があると思います。
外部指導者が改革の目玉になっています。先生の負担が減りますが、他方で、「やりたがり」が入ってくるという問題があります。子どもの負担は増えます。よい指導者を選別することが必要です。先生の負担が生徒に回るのは問題です。
 文科省「部活動の在り方に関する調査研究報告書」(1997年)では、中学校の運動部では週2日以上、高校では週1日以上の休養日の設定が提言されています。普通は文科省が言うと従うのですが、こればかりはそうではない。
 考えてみてください。楽しいからといって、土日に国語の授業に来ますか(笑)。授業が管理されているからです。授業日数や単位数で決まっている。部活動は管理されていないから、過熱します。組み体操も同じです。管理や制度設計がない中で巨大化しました。管理がないと暴走します。部活動はいやだ、苦しいというのがありますが、実は楽しいからはまる、勝つとうれしいからはまるのです。
 部活動の未来像を話します。部活動は二つに分かれます。競争の原理と居場所の原理です。今は競争原理に組み込まれています。競争原理は民間のクラブに委譲する。居場所、楽しくやるというのが部活動です。オリンピックでメダルを取る選手の多くは民間クラブ出身の選手です。部活動は「総量規制」します。例えば、週3日に減らす。廊下で走ることはなくなります。指導者にかける予算も減ります。改革は普通お金がかかりますが、この改革はお金が1円もかからない。生徒も先生も健康になり、楽しめて、生涯スポーツにつながる。スポーツ市場も拡大します。だれも損しない。本気でチャンピオンになりたい人はお金を払って民間でやるようにする。こんなふうに設計すればよいと思います。
 最後にある先生の言葉を紹介します。「自分は〇〇部であれば専門的な指導ができます。全国大会に行く自信もあります。でも、だからこそ〇〇部の指導はしないようにしているんです。自分はその部活動が大好きだから、顧問になってしまったら指導にのめり込んでしまいますよ。確実に過熱します。そして、授業準備よりも部活動に時間をかけてしまうでしょう。私の教員としての専門は〇〇です。その教科に時間と力を注ぎたいんです」


 


【パネルディスカッション】
 第2部は内田良さんのほか、毎日新聞「開かれた新聞委員会」委員でウェブサイト「シノドス」編集長の荻上チキさん、現職教員の石上温子さん、7人の子育てをしながらPTA会長や子育て支援活動をしている波瀬川久子さんの4人が、部活動のあり方についてパネルディスカッションをしました。コーディネーターは斗ヶ沢秀俊・毎日新聞社健康医療・環境本部長が務めました。
司会 まず、自己紹介をお願いします。
荻上 内田さんは金髪で、異なる風を吹き込んでくれていいですね(笑)。教育現場の理不尽さを解消していく、ダイナミックに変える姿に勇気づけられています。部活動は強制加入がいやな思い出です。僕は小学校3年生ぐらいから中学校2年ぐらいまで、学校でいじめを受けていたのですが、自殺しようとかは思わなかった。それは学校がサブの場所だったからです。メーンは家でのゲーム、映画で、学校が世界の全てではない。生活の場が第一の場所、教育、仕事は第二の場所。ほかに、趣味、憩いの第三の場所が必要だと思います。かぎっ子だったので、家に帰って時代劇を見て、ゲームをする、映画を観るのがゴールデンタイムでした。一人の時間がとても良かった。中学生のいじめは長期化し、内容もエスカレートしました。部活が始まることにより、第三の場所が奪われてしまった。早く帰れる部活にしようと、技術部に入りました。パソコン、木工作などの部活でした。規則がない、やることもなく、帰ることが許される。運動部は入りたくなかった。部活動にはいやな思い出しかない。部活に恨みがあるのではなく、理不尽さに恨みがあるのです。大学生になるまで、自分はスポーツが嫌いだと思っていました。大学でスポーツが好きになりました。体育が嫌いだったと気づいた。教師の恫喝などが嫌いだった。結果として、スポーツを遠ざけてしまった。
 僕はいじめ問題を調べていますが、大津市の調査でいじめの傾向、ホットスポットやピーク時期などが明らかになりました。休み時間がメジャーですが、8月だけは部活動内でのいじめがトップになる。部活動のコミュニケーションが密になり、トラブルが発生しやすくなる。部活動は複数教員の目が行き届きにくい。体罰、連帯責任などの教師の理不尽指導があると、いじめが増えます。先生の超過労働の話がありましたが、子どもも部活や宿題で過労になります。勉強や部活から解放される時間が必要です。子どもと教師の健康を守るという観点と、何が教育なのかの観点から議論することが必要だと思います。
石上 淡路島から来ました。内田先生の話はなるほどなあと思って聞かせていただきました。学校現場の皆に聞かせたいと思いました。私は中学校ではバスケットボール部、高校は吹奏楽部でした。最初に勤めた学校で、卓球部の主顧問になりました。右も左も分からず、補助の外部コーチがいた。水泳部に代わり、スイミングスクールに通う生徒とそうではない生徒とのギャップが大きく、それを埋めることに苦労しました。スイミングスクールの子は全国大会に行くような子がいて、保護者からの要望もたくさんあり、泣かされました。次が男子バスケットボールの主顧問。やんちゃな生徒が多く、部活動をするのが苦痛で、体育館に行くのがいやでした。前任の先生が厳しい方だったので、反動が大きく、涙をこらえながら部活動に行っていました。帰宅するのが遅くて、途中でいねむり事故を起こしかねない状況でした。外部指導のコーチとうまくやっていくのはたいへんだと思います。水曜日がノー部活デーで、ほっとできるのが水曜日です。吹奏楽部の副顧問をしています。土日は行かなければならないし、コンクール前は1日中練習している状態ですが、子どもたちの笑顔を見ると、やらないとだめかなとも思います。
波瀬川 27歳から9歳までの子どもがいて、孫も2人います。「かたれば!!~みんなの居場所」の代表として、毎週木曜日に食事を提供したり、話し合いをしたりしています。こども食堂ではなく、ただいまと帰ってこられるアフタースクールのような場所にしています。小学校でPTA会長をしています。下の子が小学校の時、いじめにあい、何度も学校の先生と話をしに行きました。担任の対応の悪さに、母として憤りを感じ、自分からPTA会長になり、学校全体を改革しようとしました。子どもたちはいろいろな部活動をしてきました。引率などを経験し、たいへんな部活もありました。ソフトボール、野球、サッカー、吹奏楽部、囲碁部、美術部。体力の限界を超えて病院に行くほどになったのに、まだやらせるという指導の方もいて、それは子どもをやめさせました。教職員も足りないという現状を何とかしなければならないと思います。 
〈自主的なのに強制、自主的だから過熱〉
司会 自主的なのに強制される、自主的であるがゆえに過熱するという問題について話したいと思います。
石上 その通りで、全員が部活動に入ることが義務づけられています。学校外のクラブに所属している子も入らなければならないので、形式的に部活動に入っていたり、クラブがないときに部活動に来るという子がいます。部活動は好きでやるのが一番で、興味がないのに仕方がなく入るのは苦痛だと思います。教員全員が顧問になっています。主顧問だけではなく、副顧問も活動に加わります。地域、保護者からの期待があり、休みを取ったら力が入っていないと思われてしまう。だから、やらざるをえない。地域の祭などの行事への参加も、頼まれたら断れないということがあります。過熱しているのかなと思います。
波瀬川 子どもたちが通った学校は強制的ではなく、やりたいところに入るというやり方でした。お母さんたちも引率したり遠征について行くこともありますので、家族全体で休みが取れないという現状もあります。
荻上 形式的に加入しなければならないというのはおかしい。ほかの人が入っているのに、その子だけ入ってないのはという変な平等主義です。本来は全員が過熱するはずはないのに、同調させられることによって過熱に取り込まれていく。好きなものについて調べて学ぶということではなく、上意下達でたたき込まれる場所になっている。保護者には費用や引率などの負担がたくさんあると同時に過剰な要求もある。学校の中にいてほしいという親もいます。学校以外の居場所がない、地域文化が育たないようになった結果、親が長く学校にいてほしいという発想になっている。地域文化の再生を考えなければならないと思います。また、先生や顧問が科学的根拠に基づいて指導にあたるのではなく、誤った知識が精神論と結びついている。科学的訓練を受けた人が指導する環境が必要です。
司会 部活動の全員加入について、見直しの議論は校内ではないのですか。
石上 それが浸透してしまっているので。学校が荒れた時期に管理をするということで全員が入ることが義務づけられて、それを改革しようとすると大きなことになるので、それが続いているのではないかと思います。
〈部活動は評価の対象か〉
司会 続いて、本当に「評価の対象」なのかを議論します。
内田 陸上競技男子400mリレーで銀メダルを取った選手たちが会見で皆、「次は金メダルを目指す」と言いました。トップアスリートたちはそれでいいのですが、競争の原理に巻き込まれると、上を目指すしかない。今年は県大会に出たのに、翌年は行けなくなったら、だめだなとか。全国大会を頂点としたメカニズムに組み込まれていくと、休みたいのに休めなくなる。子どもを競争の論理に巻き込むことの弊害を考えなければならない。
石上 内申書を書きますが、部活動のことを書くところがあります。部活動のことを評価の対象として見る学校もあればそうでない学校もありますが、子どもたちはそれがあるということが頭の中に入っているので、がんばったらよく書いてもらえるからがんばろうと思う子どももいると思います。
内田 インターネットを見ると、部活をやめると内申書に響きますかという質問がたくさん書かれている。現実に見ると、部活をやめても、「いくじのない子」だとか書かれることはありません。スポーツ推薦を除けば、入試の際に、試験成績、内申書に書かれる評定、出欠日数や部活動、英検などが書かれる。試験、評定の点数が同じだと、部活動が評価される可能性がある。では、部活動はどれだけ評価されるのか、毎日参加すれば評価されるのか、大会でどんな成績を取ったら評価されるのか、そういったことを見える化すると、子どもや保護者の不安は減ると思います。
波瀬川 長女、次女、次男までは部活を続けているということについて評価があり、先生にも言われていました。「外部のクラブはやめても学校の部活はやめないで」と言われ、疑問に思いながらも子どもたちに伝えてきました。内田さんの話をもっと早く聞きたかったです(笑)。
荻上 僕のころは評価の対象でした。僕は技術部という部にいましたが、学校の壊れたイスを直すとかしていました(笑)。次の代の部長を選ぶ時に、「部長になると、内申書に有利になるよ」と露骨に先生に言われて、今までやる気のなかった人が色めき立つわけですよ。やることのない部の部長で、大会もない。名誉職ですよね。毎日行って、部長になりました。 担任や顧問には権力が集中しやすい。学校の先生が顧問を務めることによって、成績と生活指導の評価者が一緒になります。僕はいじめ問題でのアプローチでは複数担任制が必要だと思っています。一人の先生に任せてはいけない。部活も同様だと思います。
〈居場所の論理と競争の論理〉
司会 内田さんは「居場所の論理=放課後のスポーツ、文化活動の機会保障」と「競争の論理=試合、コンクールで勝つ」があると述べていますが、部活動は実際にはどちらの面が強いのでしょうか。
石上 どちらかと言えば、競争という面が強いかと思います。勝つとうれしいというのがあるので、子どもたちは勝つために苦しいところもがんばらないと思ってやっています。居場所という部分では、教室でおとなしい子たちが生き生きとする場所でもあります。和太鼓の部活動には、特別支援学級の子とか教室でほかの子から外れている子が参加しているのですが、笑顔で発散している姿が見られます。それを見ると、この子にとっては部活動が本当に良い場所なのだと思います。居場所にはなっていると思います。
波瀬川 教室は勉強の場所で、部活に行くとそこから解放されて、同じことをやりたい子といられるため、居場所として楽しんでいました。部活の顧問の先生によって、勝負にかける部活もあるし、先生のやわらかいキャラクターで楽しければいいよねという部活もありました。今は1週間びっしりと部活をやっていて、部活に対する先生や子どもの意識が変わってきたのかなと思います。
荻上 心地よい居場所ならさておき、強制的にそこにいなさいという囲い込みの居場所であってはいけない。居場所がよくて、競争は悪いということではありません。管理教育では、非行に走る予防として部活動に入れるという側面があった。部活動に出ない=非行のサインだという考えがありました。子どもが部活動以外に居場所を自分で見つけられるならそれでいい。参加と離脱の権利を平等に認めることが重要です。
内田 先生たちに調査をすると、勝つためにやっているという答えはほとんどなくて、子どもの連帯感を生むといった答えが多い。だったら、土日にやる必要があるのかと思うわけです。子どもの成長のためといいながら競争の原理に巻き込まれている。部活動は楽しくて意義があると思っています。だから、過熱する。週3日で楽しく活動することができないかなと思います。
司会 会場の皆さんからの質問に答えて下さい。部活動指導員制度のメリット、デメリットです。
内田 単純に考えれば、人が増えるので、先生の負担は軽減されます。他方で、子どもの負担は増えます。外部指導者に対する先生からの不満はたくさん聞きます。自分は楽しくやりたいのに、外部指導者が勝ちたがる、ひどい場合は暴言、暴力があるといった相談を受けることがあります。全面的に指導する外部指導者にするか、完全な外部化を図ることが必要だと思います。
司会 地域行事への参加と部活動の負担軽減をどう両立するかという質問があります。
石上 淡路島では、学校と地域とのつながりが密接で、地域から頼まれると断りにくい、土日でも出て行くという現状があります。折り合いをつけることが難しくて、ジレンマがあります。最後は人と人との関係になってくるのかなと思います。
司会 土日に部活動に行かないと非行に走るという考えをどう思いますか。
波瀬川 土日に部活動をしてもしなくても、非行に走る子は走るというか、家庭環境や友だち関係など置かれた環境によって走る子、走らない子がいると思います。学校の先生は暇があると違うことをしてしまうという危機感があるかもしれません。保護者からも暇だとゲームセンターに行くとかがあるので、部活動に入ってほしいという声は聞きますね。
〈改革のあり方と展望〉
 ここから、改革のあり方と展望を議論したいと思います。内田さんは「居場所の論理に基づく部活動改革」「活動の総量規制、ゆとり部活動への転換」を主張していますが、これについて、3人の方々の意見を述べていただきます。
荻上 子どもにも過労があり、滞在時間を減らすことには原則賛成です。学校というハードを活用することもうながしてほしい。学校で教室を開きたいと思ったことがあります。授業についていけないとか、発達障害の子などが伸び伸びと勉強できる、楽しみながら結果として勉強できる結果学習の場にしようとしましたが、学校は貸してくれない。とても消極的です。 
石上 兵庫県ではノー部活デーがありますが、その日は定時退勤、定時に出なさいという日になっています。家でゆっくりしたり、家族と過ごす時間になっていると思います。ノー部活デーが始まったときは、先生方が本当に休んでいいのかなと思い、引け目を感じたようですが、淡路島では一斉に導入したので休みやすくなりました。姫路市もノー部活デーを設定しました。実現には市内で統一してやるのが必要だと思います。
司会 実際に改革を進めるには、何が必要でしょうか。また、実現の展望はあるのでしょうか。
内田 静岡市は週4日までにするという提案をしました。文科省は中学校週5日まで、高校は週6日までです。週5日というのはスポーツ科学の論理に合っている、休みを入れることで強くなるという発想なのですね。部活動の縮小化よりも勝つためのように思えます。競争の原理から降りた週3日、4日というように考えなければいけない。
司会 全国大会を問題視する質問が来ています。
内田 中体連、高体連をベースにした全国大会はやめるべきだと思います。学校での球技大会とかコンクールは、一過性のものでも盛り上がります。
荻上 IT技術、プログラミングとか、プレゼンテーションの大会の民間審査員をしています。全国大会はあってよいと思います。それが学校の部活動でなければ参加できないものではなく、任意に参加できるようにすべきだと思います。
石上 校内ですべての部活動を見えるようにして、やりすぎを防ごうとする学校もあります。管理職の方がリーダーシップをとって部活動の活動状況をチェックすることも必要かと思います。教員はやりたくない人もやらざるをえない状況で、言いにくい部分もありますから、上で決めてもらえると楽になるところもあります。外部指導員は専門的な方が来て下さるのはありがたいですが、そういう方々とのコミュニケーションの取り方、指導の問題が出てきたときの対応などが研修とかで確立していないといけないと思います。
波瀬川 PTAは学校と地域の架け橋になっています。地域の方が言えないことを私が学校に言ったり、校長先生が言えないことを地域の方に言ったりしています。地域の人も巻き込んで学校でスポーツを楽しむことができるといいなと思います。
内田 部活動を授業として取り入れようという動きがありますが、部活動をやれという前提になりますから、それは疑問ですね。
司会 最後に、パネリストの皆さまのまとめの言葉、参加者の方々へのメッセージをいただきます。
内田 市民が来て下さったというこの動きを無駄にしないよう、持ち帰ってもらって、隣の人に声をかけてください。それを次の活動につなげましょう。
荻上 ロングスパンの工程表をイメージすることが重要だと思います。今すぐできること、もう少し先にやりたいこと、いずれはやりたいことに分けます。今すぐ教師にやってほしいことは理不尽指導をやめましょうということです。部活動の強制加入もやめましょう。まずはここから出発する。次はノー部活動デーの一斉導入です。これの良いところは地域がこの日は子どもが外にいることが分かるので、受け皿としてこの日は子ども食堂をやりましょうとか動き出します。ゆくゆくは複数の教員が部活動に入る。長期的な工程表をつくるために、議論していきたいと思います。
石上 自分自身も考えることができた貴重な時間でした。現場で話していくことから始めたいと思います。全国の教員が自分の学校で少しずつ話をしながら、子どもにとっても私たちにとっても心に余裕のある部活動のあり方を考えていきたい。それが子どもたちの明るい未来につながると思います。
波瀬川 先生方は人数が足りないところで部活動をしている。朝から晩まで教員の方々は学校にいます。かたりばでも、教員の勤務時間とか大変さをよく聞かされています。子どもたちは先生方の言動をよく見ています。それで傷ついて学校に行けなくなったりする子どももいます。一人ひとりに目を向けてほしいと思います。
司会 ありがとうございました。

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