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「やばいこと」を伝える教室 人を動かすリスクコミュニケーション力を身につける!

開催日:9月27日(水)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

毎日メディアカフェのセミナー「『やばいこと』を伝える教室 人を動かすリスクコミュニケーション力を身につける!」が9月27日に開催されました。
 講師はリスクコミュニケーションの専門家で、リテラジャパン代表の西澤真理子さん。西澤さんは9月1日、「『やばいこと』を伝える技術 修羅場を乗り越え相手を動かすリスクコミュニケーション」(毎日新聞出版)を刊行しました。これを記念したセミナーです。西澤さんは上智大学外国語学部ドイツ語学科卒。イギリスとドイツで10年間リスクコミュニケーションを学び、2006年に帰国して、リテラジャパンを設立しました。現在、東京工業大学、筑波大学非常勤講師。省庁の委員、IAEA(国際原子力機関)コミュニケーションコンサルタントなどを務めています。
 西澤さんはまず、「最近あった良いこと」について、話しました。「バスに乗ったら、今時の雰囲気の若い女性が乗り合わせた老女の分までバス代を出してあげていたのを見て、感心しました」とのこと。西澤さんは参加者に「隣の人と、最近あった良いことについて話してください」と指示しました。数分後、参加者にどんな話が出たか、発表してもらいました。次に「最近あったやばいこと」。西澤さんは昨日、検診で病院に行ったとき、保険証を忘れたことを挙げました。結局、検診を受けることができたそうです。「良いこと」と同様に、隣り合う参加者同士が話をしました。発表では、「夫が飲み終わったペットボトルを台所の流しに放っておく。注意をすると、切れてしまう」という問題が出されました。
 西澤さんは「このように、日常でもネガティブなことはあります。ネガティブなことを伝えるときは、『相手が切れてしまうのではないか」など、考えなければなりませんね。お客さんの苦情は積もり積もったものであるケースが少なくないです」と話し、「公共の場でのリアル切れ」「ネットでの炎上」といった近年の傾向について説明しました。「切れてもいいような雰囲気でのコミュニケーションは難しい。社会の閉塞感がそうさせるのかなと感じます」
 西澤さんは東京電力福島第1原発事故で被災して全村避難した福島県飯舘村から、事故から約半年後の2011年10月、「コミュニケーションアドバイザーとして力を貸してほしい」と依頼され、放射線被ばくの影響などについてリスクコミュニケーションをする仕事に従事しました。放射線影響について正確に伝えるため、専門家とともに、妊婦や若い人などを対象に説明会を開催しました。「よく分かったといった感想が出て、けっこううまくいったと思いました。ところが、後日、参加者に聞いたら『何が分からないのか聞かれても分からない』と言われました。『年間被ばく量が1mSvを超えるのは絶対いや』『話を聞いてから、子どもにバナナをあげないようにしました』という声もありました。バナナに自然由来の放射性カリウム(カリウム40)が含まれているという説明があったからです。『覚えているのはラドン温泉』という話もありました。私はリスクコミュニケーションの専門家として敗北感を抱きました。しかし、緊急時に現場に行ってリスクコミュニケーションをしたのは初めてだったので、勉強になりました」
 食中毒事件のことも話題にしました。「トングで2次感染が広がったのは事実ですが、トングだけに問題が集中するのはおかしい。おおもとの感染源の検証ができていない。これが検証されなければなりません。スーパーでポテトサラダが売れ残っているのを見ると、私は買ってしまうのですが(笑)」
 心理学者で心理と経済活動との関わりを研究してノーベル経済学賞を受けたダニエル・カーネマン氏は、脳の認知の仕組みとして、直感的に反応するシステム1と、論理的に理解しようとするシステム2があるとしています。「じっくり考えるのは面倒なので、短時間で判断するようになりがちです」
 西澤さんは続いて、「利用可能性ヒューリスティック」という言葉を紹介しました。頻繁に見聞きすることが自分にも起こると考えてしまうことです。「米国の同時多発テロの後、航空機利用者が減り、交通事故が増えたことがありました。これは利用可能性ヒューリスティックの1例です。「アンカリング効果」というものもあります。最初に聞いた数字や状況に判断が左右されることです。最初に3000円と言われた品が1000円になると安いと思い、最初に800円と示されてから1000円と言われたら高いと感じるという心理です。
 欧州でのリスクコミュニケーションを学んだ西澤さんは「コミュニケーションは文化であり、国によって違う。複雑で簡単には変えられない。日本のコミュニケーションの特徴としてある忖度、つまり察するというのは高度な文化だけれども、論理を避け、空気を読むということで、間違ったときには危ないと思います。欧州は他国と言葉が違うので、説明し合わなければならない。相手は自分とは違うという前提で、相手と話す必要があります。リスクコミュニケーションは察するのではなく、互いに説明し合う。対立を前提としています。やばいこと、ネガティブなことを伝えるというのは、日本ではなかなか難しいと思っています」と指摘します。
 「科学的に正しい」かどうかと、ある人が「正しい」と思うかどうかは別の話です。「科学的に正しいということは、科学的にエビデンスがあること。正しいと信じるのは、その人が信条として正しいと考えることです。リスクコミュニケーションは科学的に正しいことを伝えなければなりません」
 科学者はしばしば「可能性はゼロではない」と語ります。「まともな科学者は正直にそう言いますが、聞いている人の多くは『危ないのでしょう』になります。誤解されるのは、伝える側に問題がある場合があります」。医療の「標準治療」がしばしば「普通の治療」と捉えられて、標準よりも上の治療があるように思われていることがあります。実は現時点でのベストな治療が標準治療であることが十分に理解されていない現状があります。
分かりやすい説明は、リスクコミュニケーションでは重視されますが、「都合の良い情報だけを単純化して伝える分かりやすさではいけない」と西澤さんは説きます。「分かりやすい言葉で、相手の視点で、分かりやすすぎないように話す。分かりやすすぎることには疑問を持ったほうがよい。思いやりを持って誠実に話すことが必要です。情報を隠さないことも重要です。最初にベールをかぶせたように言って、後で隠していたと思われることもあります。いったん信頼を失うと、信頼を取り戻すのは難しい」
 「リスクゼロ」を追求する人がいます。しかし、西澤さんは「リスクは基本的にはトレードオフされ、ゼロにはなりません。例えば、『添加物を絶対に使わないでください』と言う人がいますが、全く添加物を使わないと、食中毒が増えるでしょう」
 「『安全安心』はおかしい」との持論も語りました。安全は客観で、安心は主観です。「やさしい言葉ですが、一緒にすることはおかしいと思います」
 最後に、リスクコミュニケーションのあり方として、「相手の視点で、考えて、伝える。小さな積み重ねが信頼につながっていく。くさらず、おごらず、こつこつとやりましょう」と語りました。

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