読者とともにつくりだす「毎日メディアカフェ」
毎日メディアカフェでちょっと一息

  • ホーム
  • ニュース
  • 毎日メディアカフェとは
  • イベントカレンダー
  • イベントアーカイブ
  • アクセス

イベントアーカイブ

沖縄から東京へ出前講座!みんなで学ぼうサンゴの海~サンゴの天敵たち~

開催日:9月6日(水)18:30-20:00 イベントのカテゴリー:沖縄シリーズ

「沖縄から東京へ出前講座!みんなで学ぼうサンゴの海~サンゴの天敵たち~」が9月6日、毎日メディアカフェで開かれました。
 サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコの日本法人であるアラムコ・アジア・ジャパンが企画した「沖縄シリーズ」第1回。講師は沖縄県サンゴ礁保全推進協議会理事で、コーラルクエスト代表取締役、オニヒトデ研究者の岡地賢さんです。
 まず、アラムコ・アジア・ジャパンの広報を担当する鈴木つむぎさんがサウジアラビアや同社の概要を紹介しました。「サウジアラビアは日本の6倍、人口は約3300万人です。サウジアラムコは社員数6万5000人。日本の輸入量の4割を占めています。アラムコ・アジア・ジャパンはCSR活動も力を入れており、災害被災地支援、環境活動、アラビア文化の紹介などをしています。2010年、日本政府との契約で、沖縄県うるま市の石油備蓄基地に石油を備蓄することになりました。このため、沖縄の環境保全をアラムコとして取り組もうと、2011年から、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会の活動を支援しています。協議会は100ほどのNPO団体の集まりで、サンゴ礁保全や教育プログラムをしている団体です。沖縄のサンゴ礁の現状を東京の方々にも知ってもらいたいと思い、3回のシリーズを企画しました」
 続いて、岡地さんの講演です。最初に「調査会社コーラルクエストの代表取締役をしていますが、研究に関わる機会が多い。今日はオニヒトデの研究者として話したいと思います」と挨拶しました。
 初めに、サンゴとサンゴ礁の説明をしました。「サンゴとサンゴ礁を混同している方が少なくない。言葉は似ていますが、違うものです。サンゴは石のように動きません。あまり目立たない存在です。サンゴの中には、褐虫藻(かっちゅうそう)という植物が共生しています。サンゴの体内にいることで、ほかの生物に食べられない。褐虫藻は光合成をして、自分たちに必要な栄養分を作ります。たくさん作るので、余った分はサンゴにいきます。サンゴの側からも窒素などを提供しています。サンゴの栄養の90%は褐虫藻が作っていると言われています。サンゴ礁は地形の呼び名です。サンゴが着生と死を繰り返して、サンゴ礁ができます。サンゴ礁の多くは最終氷期後の1~2万年前から形成されました。サンゴの分布域は最低水温13℃以上ですが、サンゴ礁の分布域は最低水温18℃以上であることが必要です。サンゴ礁のある国はほとんどが開発途上国です。先進国では日本、オーストラリア、アメリカ、フランスです。フランスはポリネシアに領土を持っています。サンゴ礁は全海洋の0.1%しか面積がないのですが、36万種知られている全海洋産種の25%がサンゴ礁に生息しています。なぜ多様性があるのか。それはサンゴが生息場所をつくるからです。生息場所に生物が棲み込む。生物が他の生物を呼び込むことにより、複雑な食物網ができるわけです」
 サンゴ礁はなぜ貴重なのでしょうか。「サンゴ礁には水産業、観光の資源になるほか、防波堤の機能もあります。サンゴ礁から有用生物が取れることもあります。サンゴの紫外線防除の物質から日焼け止めの薬ができたり、がんに作用する薬も開発されています。遺伝子資源がある。年間純利益は年間約300億ドルと言われています。売り上げはそれよりもずっと多い。いかに利益を得ているかが分かります」
 サンゴ礁を脅かす要因の多くは人間活動によるものです。「ダイナマイトを爆発させて魚を獲る漁もあります。過剰利用も問題になっています。決まった場所に何千人も来て、環境を悪化させる。そうやって消滅したところはいくつもあります。白化現象は水温が上がることが頻繁になっていることが影響していると考えられます。WWF(世界自然保護基金)によると、世界のサンゴ礁の27%がすでに消失し、今後30年で約30%がさらに消滅すると予測されています。温暖化防止のパリ協定に米国がいったん加わったのに、自国の利益のために協定を離脱するのはいかがなものでしょうか」
 ここからはサンゴの敵の話です。「サンゴを食べる生物は160種以上知られていますが、全てが敵として問題視されるものではありません。食べる量が少なければ、サンゴ礁は成長するので、問題ありません。サンゴの被食量が成長量を上回るとサンゴ礁が失われます。いったん、そうなると回復には長い時間がかかります。サンゴ礁の多様性、利益が失われることになります。破滅をもたらす生物は三つです。テルピオス、オニヒトデ、サンゴ食巻貝です。テルピオスは海綿の1種で、毒を分泌してサンゴを殺します。1日1mmの割合で成長するので、あっという間にサンゴが真っ黒になってしまいます。しかし、季節性が強く、夏には消えてしまいます。蔓延しても一過性です。大学で指導教員にテルピオスの研究を命じられたのですが、夏にいなくなって苦労したことがあります(笑)。サンゴ食巻貝のシロレイシダマシ類は日本には5種類います。食べられたところが1カ所だけ白くなるので目立つのですが、熱帯域では大発生の頻度は低い。捕食者がいるからではないかと言われています。ハリセンボンなどが食べるようです。それがいない高知県、宮崎県で大発生が報告されています」
 続いて、本題であるオニヒトデです。岡地さんは直径20cm余りのオニヒトデと、その子どもの標本を参加者に見せました(標本提供:一般財団法人沖縄県環境科学センター)。「直径 20~40cm。腕 14~18本。トゲは3000~4000本あります。かつての同僚が数えていました(笑)。表面に毒があります。刺されると、人によっては寝込む人もいます。アナフィラキシーショックで亡くなった方もいました。サンゴを食べるときは口から胃袋を反転させて捕食します。サンゴは骨だけの真っ白な状態になります。白くなるので白化と混同されますが、違います。1日1~2回、通常は夜間です。捕食面積は200~400平方cmで、掌より少し大きい面積です。1ヘクタールに15~20個いるとサンゴが徐々に食べられます。他にもサンゴを食べるヒトデはいます。オニヒトデは産卵数が数千万個、幼生期間は2~6週間、2年で大きくなり、寿命は3~5年です。アオヒトデなど他のヒトデは産卵数が数十万個と少なく、5~10年以上も長生きをすることで個体群を維持しています。オニヒトデは多産なので、大発生しやすいのです」
 大発生には、「自然現象説」と「人為現象説」があり、研究者の間で議論されてきました。「グレート・バリア・リーフ(オーストラリアの世界最大のサンゴ礁、GBR)のように岸から離れたところにあるサンゴ礁では、サンゴ礁を割って調べると、食べられた場所が分かります。過去にも大発生が起こっていたらしいことが分かってきました。パラオやサモアなどでオニヒトデの地域名があり、昔からオニヒトデが注目されていたということも自然現象説の理由です。一方、人為現象説の根拠としては、大発生の頻度が多くなっていることがあります。大雨が降った3年後に大発生する傾向があります。陸から大量にリンや窒素が海に入り、プランクトンが増え、オニヒトデも増えるのです。自然な状態のサンゴ礁海水中ではオニヒトデの幼生はほとんど死滅するが、わずかに植物プランクトンが増加すると生残率が高まることが分かっています。GBRでは、餌の多い南側で大発生が多く起こっています。陸地からの水が流れ込んだところで大発生します。オーストラリア政府は、サトウキビ畑の肥料が海に流れ出すのを防ぐため肥料を減らす、畜産の廃物をいったんためるといった陸での対策に力を入れています」
 沖縄本島では、1960年代からオニヒトデ大発生の頻度が多くなり、1970年代半ばにピークを迎えました。その後減少し、最近では2003年と2013年に増えかかり、現在は小康状態ですが依然として密度は高いです。かつて、オニヒトデ1匹当たりに報酬を出す方式で駆除した時代もありましたが、現在は漁業者が沖縄県から経費をもらって駆除しているそうです。「駆除が逆に大発生の要因になったと主張する研究者もいます。今はいろいろ分かっているから当時のやり方を批判できるけれど、当時としては間違った対応ではなかったと思います。サンゴ礁に依存している沖縄では、駆除は間違った対応ではない」
 沖縄県は沖縄の海での状況を知るため、調査研究をしています。岡地さんはその調査を請け負っています。
最後に、岡地さんは「沖縄県では、60年代以降に大発生の頻度が急増したので、私は人為現象だと考えています。東京の人たちにも、オニヒトデが問題になっていることを理解していただきたい。サンゴ礁を守ることが人間の力でできるかもしれない。駆除には税金が使われますので、その点からも理解していただきたいと思います」と呼びかけました。
 質疑応答では、「サンゴは美味しくなさそうなのに、オニヒトデはどうして食べるのか」という質問が出ました。「サンゴは確かに美味しくないです。サンゴ礁の海は水がきれいで、栄養が少ない。栄養をためているのがサンゴです。脂肪の形でためています。脂肪は高エネルギーなので、それを狙ってくるのです」。「オニヒトデは1種類だけ?」の質問には、「2012年までは1種類とされていましたが、遺伝子解析で4種類とされました。インド洋のオニヒトデは色が違い、見かけは違います」と答えました。駆除方法、活用の可能性を問う質問には、「人海戦術で、串刺しにします。オーストラリアでは薬で殺します。駆除したオニヒトデを肥料に使うという例がありましたが、安定供給ができないのが難点です。オニヒトデは苦くてまずいです」との答えでした。
最後に、「東京の人にできること」を問われ、「まずは、この問題を理解してもらうこと。また、沖縄に行かれた時は、餌付けはしない、下水にものを流すことはしないでください。個人のできることは小さくても、効果があるかもしれません」と話しました。
 沖縄シリーズの次回は11月16日。申し込み受け付け中です。
 https://mainichimediacafe.jp/eventcal/?yy=2017&mm=11

岡地さんが持参したオニヒトデの標本
なんとトゲは3~4000本
標本提供:一般財団法人沖縄県環境科学センター

オニヒトデの幼生期間の標本
標本提供:一般財団法人沖縄県環境科学センター

毎日メディアカフェでちょっと一息

毎日メディアカフェでちょっと一息

毎日メディアカフェでちょっと一息

毎日新聞東京本社1階にある「MOTTAINAI STATION」を毎日メディアカフェとして午前11時から午後6時(イベント開催日は午後8時30分)まで開放しています。新聞や雑誌を読んだり、タブレット端末で毎日新聞ニュースサイトや毎日スポニチTAP-Iなどを検索したりできます。イベントは全て無料で参加できます(予約制、申し込み順)。

松田まどかのCSR担当者レポート

松田まどかの団体レポート

学びのフェス2017夏

NPO/NGO活動紹介

自治体による企業との取組

次世代を担う学生の活動紹介

活動レポート

毎日メディアカフェとは

毎日メディアカフェを使ってみませんか

協賛されたい企業の方へ

毎日LIVE

プレシーズ

学びのフェス2017夏

EVENT CALENDAR

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
2018年1月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      


関連リンク

毎日新聞

小学生新聞

15歳のニュース

15歳のニュース

MOTTAIANAI

毎日新聞 愛読者セット

イーソリューション

プレシーズ

ページtop