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元村有希子のScience cafe「深海を漂うクラゲ、その不思議な魅力とは?」

開催日:10月1日(日)18:30-20:00 イベントのカテゴリー:ScienceCafe

元村有希子のScience cafe「深海を漂うクラゲ、その不思議な魅力とは?」が8月31日、毎日メディアカフェで開かれました。


 元村有希子・毎日新聞科学環境部長が専門家から科学の話題について聞く人気シリーズの第3回。今回のゲストは深海クラゲを研究している海洋研究開発機構のドゥーグル・リンズィーさんです。リンズィーさんは1971年オーストラリア生まれ。クイーンズランド大学理学部・文学部卒、98年東京大学大学院農学生命科学研究科で博士課程修了(農学博士)。現在は海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋生物多様性プログラム主任技術研究員として、クラゲ類などの深海生物の研究に取り組んでいます。91年の慶応大学留学時代、ホームステイ先が俳人の須川洋子さんだったことから、日本語で俳句を始めました。須川の主宰する芙蓉俳句会に所属するとともに、須川さんの師である加藤楸邨さん(故人)の指導も受けていました。2002年、第一句集『むつごろう』で第7回中新田俳句大賞を受賞し、ほかに句集『出航』があります。日本語の堪能な研究者です。


 深海は「地球最後のフロンティア」と言われます。毎日新聞科学面では8月から、そんな深海に暮らす生き物を紹介する連載「深海アイドル図鑑」を始めました。これを機に、今回のイベントが企画されました。


 まず、元村記者が2008年10月18日の毎日新聞朝刊に掲載された「アカチョウチンクラゲ」の写真を示し、和名の命名者がリンズィーさんだったと紹介しました。アカチョウチンクラゲはその名の通り、赤提灯に似た形をしています。


 リンズィーさんは「出身地はオーストラリアで、日本と同じ島国です(笑)。生まれたところはロックハンプトンで、人間よりも牛の多い地域です。大学院修士課程で東京大学海洋研究所に入りました。シラスの研究をしていたのですが、博士課程では、深海ではどの生物が何を食べているのかの研究をしていました。有人深海探査船『しんかい2000』にも乗りました。エビ、魚を研究したかったのに、『しんかい2000』から見えるのは、クラゲばかり。7、8割はクラゲです。それで、これを研究しなければならないだろうなと、クラゲをやることにしました」


 リンズィーさんのクラゲを題材にした俳句に『掬う掌のくらげや生命線ふかく』があります。「クラゲの体の95%以上は水でできています。壊れやすいけれども生命力が強いのがクラゲの特徴です」


 ほかに、『さまざまなかたちでくらげの夏終わる』の句もあります。「6000種類以上のクラゲがいます。そんなにもたくさんの種類のクラゲがどうやって共存しているのか。例えば、鳥は歌声や巣作りの仕方が違っているので、すみわけできます。クラゲは鳥の歌声や巣作りのような違いがない。交尾のダンスはしないし、生殖器もない。全種が肉食性で、季節性移動もない。生息場所の隔離もない。それなのに、6000種類もいるのは不思議です」


 「補食圧(他の生物に食べられる)が高いと多様性が高いことが知られています。例えば、ヒツジを入れていない畑は成長の速い植物だけになる。ヒツジを入れると、次々に食べられ、多様性が高くなるのです。クラゲは毒があるので、補食圧は低いとされています。もっとも、そうではないという見方もあるのですが。クラゲの多様性が高いことにより、プランクトンの多様性も高くなっていることが考えられます」


 ここからは、画像、映像を映しました。2016年7~8月、米海軍の砕氷船を借りて北極海に行き、無人海底探査機で撮影した映像が中心です。「かなりすごい発見も入っています。撮影はご遠慮ください」と元村記者はコメントしました。


 ムラサキカンムリクラゲ、テングクラゲ、トックリクラゲ。さまざまなクラゲが幻想的な姿を見せています。トックリクラゲは先端に乳首のような突起があります。「チクビクラゲと名付けようとしたら、だめ出しされました」とリンズィーさんは笑わせました。


 クラゲを食べるクラゲもいます。クラゲは水分がほとんどで、あまり実になりません。「胃袋の中にほかのクラゲが入っているのが見つかっています。焼き肉ではなく、えびせんを食べている感じです」


 ソコクラゲは触手が2種類あります。底に着く部分とそうではない部分で触手が違う形状なのです。クダクラゲに寄生しているヨコエビの映像もありました。クシクラゲは99%が水分です。フウセンクラゲは触手の先端が風船に似た独特の形です。バンパイヤフウセンクラゲというバンパイヤを連想させる姿のクラゲもいます。オオホウズキクラゲはリンズィーさんの命名です。卵と2cmほどの子どもが入っていたそうです。


 リンズィーさんはいくつもの新種、新属、新科のクラゲを見つけています。さらに上位の「新目」も見つかりました。クシクラゲの仲間です。「新目」の生物を見つけるということは、「世界で初めて犬を見つけたというほどの発見です」とリンズィーさんは例えます。「本当に報告がないのかどうかを、英語だけではなく、ドイツ語、ラテン語も調べます。クシクラゲは最も古い多細胞生物ではないかという説もあります」


 調査結果は専門誌や科学雑誌に今後、発表されます。元村記者は「クラゲの写真が表紙に使われることは間違いないですね」と言いました。


 ここから、質疑応答になりました。有人船と無人探査機の効果についての質問には、「3次元空間の小さな生き物を撮るには、訓練を受けている研究者が肉眼で見て撮った方がいい。その意味で、有人船は必要ですが、私はハイブリッドを作るのがいいと思います。有人船は30年前と基本的には同じ技術ですが、無人船の技術はたいへん進化しています。有人と無人技術を使ったハイブリッド型を提案したい」と答えました。


 ほかには、「クラゲを食べている生物はあまりないと言われていますが、カタクチイワシの腹を割くとクダクラゲが入っている。持ち帰って調べると、もうなくなっています。食べている生物はいても、なかなか見つけにくい」「クダクラゲは何百年も生きます。クダクラゲはイソギンチャクのようなポリプの群体が泳いでいるようなものですから、長生きです」などと話しました。


 クラゲの魅力については、「もともとクラゲは好きじゃなかったのですよ。今になって見ると、構造がエレガントですね。いらないものをなくして、必要なものしかない。それでいてきれいです。同じゼリーでできているのに、こんなさまざまな生活をしている」と答えました。クラゲの興味ある研究課題としては、「クラゲの毒」を挙げました。「クラゲの神経毒は薬になりうる。遺伝子を調べ、毒の進化を研究することもできます」


 また、物理学との連携にも言及しました。「クラゲは半球のイメージがありますが、種類によって、筒型や四角いものもある。ゼリー状の中に構造を持たせることができないか。宇宙に行ったときに、動くものをつくるヒントが得られると思います」


 元村記者の「下村脩さんがクラゲの研究でノーベル賞を取りましたが、ノーベル賞をもらいたいですか」と問いには、「くれるなら(笑)。難しいですね。下村先生は医学などへの応用があったので、受賞されましたが、研究だけでは。薬の開発につながるのなら、あるかもしれません。役に立つものは重要ですが、深海にこんなものがいるとわくわくする。研究にはお金がかかりますが、夢やロマン、好奇心を持ってもらうことができる」と研究の意義を語りました。

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