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伝統産業を守る東京の生産者3人のトーク「昔ながらの食の魅力」

開催日:8月28日(月)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

食の伝統産業を守る都内の生産者3人によるトークイベント「昔ながらの食の魅力」が8月28日、毎日メディアカフェで開かれました。


 伝統産業を支援している「大地を守る会」が企画しました。遠忠食品(中央区)の宮島一晃さん(60)、富士見堂(葛飾区)の佐々木健雄さん(45)、川原製粉所(練馬区)の川原渉さん(43)が登壇しました。


 宮島さんは遠忠食品3代目。1913年に創業した佃煮・総菜屋です。職人が直下釜で炊く佃煮はふっくら香ばしい味わいです。佐々木さんは富士見堂3代目。東京の下町・青砥で1950年から続くせんべい屋です。生地を職人が手焼きするので、しっかりした「お米の味」がします。川原さんは川原製粉所3代目。1940年から練馬区で麦茶を中心にきな粉やあられを作る 製粉所で、石窯(砂窯)で焙煎する麦茶はほのかな甘みがあります。


 伝統的な食品は消費量の減少とともに、生産量や生産者の数が少なくなっています。日本の昔ながらの味を守るためには、私たち食べる側が作る側の生産者のことをもっと知って理解を深め、食べて応援していくことが必要です。生産者の自慢の商品を食べながら、現状と課題を知り、これからの展望を語り合いたい。そうした考えから、大地を守る会が3人のトークイベントを企画しました。


 最初に、大地を守る会の広報担当、町田正英さんが話しました。42年目を迎えた大地を守る会について、「安全な食材を消費者に届けることがミッションです。社会的課題をビジネスで解決するのが私たちの仕事です。今日は食べる側がどうすれば応援できるのかを一緒に考えてください」と話しました。


 東京の生産者の現状と課題については、①一次産業生産者からの原料仕入れが難しくなっている②都内の工場は環境面などの配慮が特に求められる③少子高齢化や伝統産業の減少で、人材確保が難しい④対大手企業に対してどう優位性を保つか⑤食の変化への対応をどうするか――などを挙げ、①本物を伝える②ファン作りを強化する③ぶれない商品作り④東京生産者のブランド化⑤地域全体で、地元の伝統産業を支援する⑥他地域商品とのコラボを進める――などが必要だと提案しました。


 続いて、3人の自己紹介です。宮島さんは「日本橋に小売店があります。佃煮の原料をいかによいものをいただくか。一次産業の方の応援が一番のテーマです。高年齢化で海の方は特にたいへんです。漁協に入らないといけないというハードルも高い。佃煮は手作り感があります。職人がやるので、技術の継承が必要です。お釜の前で立っていて火の調整をしながら作るのですが、季節によって微妙に変わるのを同じような製品に作るのが難しい」と話しました。佐々木さんは「葛飾区青砥でせんべい屋をしています。米菓業界は昔から分業制になっていますが、先代はそれを変え、生地作りから始めて、全部やっています。東京でやり続ける意義はあって、それを伝えたいと思います」と語りました。川原さんは「練馬区で1940年に創業した当時は、周りは田んぼと畑ばかりだったそうです。戦時中に、農家の農産物を加工する会社として誕生しました。麦茶の焙煎方法は創業当時から受け継いできた方法です。この方法で焙煎をしているのは都内に2社しかありません。職人を育てるには、課題がたくさんあります」と述べました。


 次に現場の状況を、写真を映しながら報告しました。


まず、宮島さんです。「佃煮は米の消費の低下とともに売れなくなっています。小さなお子さんが『佃煮って何?』と言う。佃煮を知らない子どもが増えてきました。マルシェでひたすら子どもたちに佃煮を食べろと言っています。直接対面をして会話するのが大事だと思っています。後継者については、息子が大学を出て、やらないと言って会社に入ったのですが、最近、継ぎたいと言い出しまして。何年か会社に勤めた後、修行してから、やってほしいと思っています。原料のコウナゴの選別は、異物が入っているのを目で見て、金属探知機を通して選別します。機械では完璧に異物が取れない。原料の味を残しつつ異物を取る。真水で洗うとノリの風味がなくなります。細かくすると、はしにかからなくなる。添加物は使いません。原料を多く使う分、値段が高くなるのですが、それでも買ってくれるファンを作ることが課題です。古い職人さんがいて、1人でやる仕事を若い人と2人でやってもらいます。5年ぐらいすると何とかなります。季節によって微妙に違うものを、同じ商品にしなければならない。原料の目利きも経験がないとできません。時間をかけて技術を継承しなければなりません。多品種少量生産ができる工場にしています」


 続いて、佐々木さん。「スカイツリー、東京駅に直営店を出しています。自分たちで売って直接声を聞くことが大事だと思っています。昔は菓子問屋が流通に出していました。今はそこに頼っていると売れなくなります。せんべい工場は暑いし、きついし、手作業です。私は小学生のころから、遊びに行きたいのに作業を手伝わされていました。若い人がやりたくはないだろうと思います。卸をしながら、小売りもしています。東京駅で売られたというと、若い人にやる気が出てきます。多品種少量生産で、季節ものを出すとか、いろいろ考えています。手焼きでやっていて、1枚1枚、焼きます。最初は腕にやけどの勲章ができます。やけどをしないようになるまで3年、4年とかかります。せんべいの道具をつくる業者もなくなっています。東京で今から工場の建てかえをするのは許可が下りない。東京では人件費の問題も大きいですね。東京でやることはリスクがあります。全国から美味しいものが入ってきます。しかし、東京で作っている価値を出す。お菓子なので、人にあげたいと思ってもらうことが重要です。パッケージも考えてやっています。鍋で揚げています。これもフライヤーでは全く味が違います」


 最後に、川原さん。「麦茶の製造には味付けという工程がなく、焙煎が勝負です。いかに香ばしく美味しく焙煎するか。焙煎できるようになるまで、3~5年はかかります。原料がよいのが大前提です。国産麦にこだわって仕入れています。麦茶は古くは平安時代から飲まれています。一般に広がったのは江戸時代で、麦湯売りが流行ったそうです。冷蔵庫の普及とともに一般化して、大手飲料メーカーも参入しました。大手さんは熱風焙煎をしています。これは生産効率がよく、均一な商品ができます。うちは、煉瓦造りの石窯で、中に砂が循環しています。熱せられた砂で麦が焙煎されます。きなこも焙煎で香りがひきたちます。雷おこしの原料も作っています。以前は袋詰めが機械よりも早い人がいました。都合で退職して今の人に代わると、生産量が7割ぐらいになり、ちょっと困っています。焙煎は重労働です。焙煎の色は少し濃く、煎りむらがあります。麦が膨らみ、はぜた麦で作ることが大手との味の差別化になるかと思います」


 伝統産業の生きる道は何か。宮島さんは「ファン作りをすることが一番いい。ターゲットを絞ってわかり合える関係があれば、佃煮が常備食になる可能性もあります。昔は大手は原料を大量に買うことで安くできましたが、今は原料を買うのがたいへんになっています。うちは長年かけて仕入れ先を作ってきました。漁師と一緒になってウインウインの関係ができればよいと思っています。漁師さんが販売するという例もあります。漁師さんは喜んで売ってくれます」、佐々木さんは「売れるようにする努力はしています。社員には、継続すること、100年企業を目指そうと言っています。それには、無理をしない。第一次生産者との関係を長くつくる。買っていただくように工夫しよう。作ってしまって、売るのでは、継続性がなくなる。続けることによってファンができる。東京でやっている意義を伝えられたらなと思います」、川原さんは「大手参入前は工場前に列ができたほどでした。スーパーに卸すことは可能ですが、価格的には厳しい。無理をしなければ生き残れません。製造現場にいて、昨年から社長を引き継いだのですが、製造現場は地獄かと思うほどきついです。作業環境を改善し、給料も上げなければならない。麦茶の作り方を発信することで、思いを消費者に伝えたい。価格は高くなりますが、思いを伝えて、美味しいと言ってくれる人が増えたら嬉しいです。飲んだときに鼻に抜ける香りを一番大切にしています。煮出す時間を楽しんでもらうこともできると思います」と語りました。


 ファンを作る手立てについては、宮島さんは「店を出して5年ぐらいは赤字でした。最終的には、お客様の口コミが効きました。時間をかけて信頼関係ができて、ファンができて、売り上げが上がってきました」、佐々木さんは「せんべいは嗜好品です。直接お客様に向かうことが大事です。付加価値は何かをスタッフに伝え、お客様に伝える。東京で生産することは、東京のお土産として人にあげてくださる機会が多いという価値があります。せんべいの国内市場が小さくなっていっても、少しずつ延ばす、一人づつファンを作ることで続けられると思います」、川原さんは「麦茶は差別化の難しい分野ですが、卸として生き残りたい。安心安全な材料を使い、焙煎するということを、東京麦茶としてブランド化したい。本物を作り、地道にファンを作って、生き残っていきたい」と展望を話しました。


 参加者は麦茶の試飲、せんべいと佃煮の試食を楽しみました。素焼きのせんべいに佃煮を載せて食べ、その美味しさに感嘆していました。


 


大地を守る会


「日本の昔ながらの食を見つめに出かけました “東京3生産者” 夏の一日」


http://www.daichi-m.co.jp/manabu/15133/


 

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