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福島県の「風評被害」を考える

開催日:7月20日(木)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

毎日メディアカフェのセミナー「福島県の『風評被害』を考える」が7月20日、開催されました。
 講師は福島県職員として農業の教育研究に従事し、現在は東京農業大学准教授として福島県農産物の買い控え問題を調査、研究している半杭真一さんです。半杭さんは福島県南相馬市生まれ。帯広畜産大学大学院を修了、2002年から14年間、福島県職員として農業関係の研究と教育に従事しました。最後は農業短期大学校で教えていました、2016年から東京農業大学准教授になりました。農産物のマーケティングを専攻しています。
震災の日、半杭さんは午前中に南相馬市原町区渋佐で経営調査をして、郡山の職場に戻って被災しました。「福島市に住んでいましたが、ガソリンがなくて出勤できず、支援物資の配送業務をしました。出勤できるようになると、避難所当番もしていました。農業経営分野は県の予算つかず、外部資金で研究を続けました」。
 半杭さんの実家では、震災後、研究目的で牛が飼われていました。2014年10月、牛は殺処分されました。いま、そこには「無念」と記された石碑が建っているそうです。
 半杭さんはまず、「福島の農業と流通」の現状を話しました。農業産出額は1985年の約4000億円から、2008年には2505億円、2014年には1837億円に減少しました。「2500億円をどう回復するか」が震災前のかけ声だったといいます。「福島のコメは売れる産地と売れない産地があります。浜通りはあまり売れなかった。コメのふるいの大きさが会津と中通りで違います。北海道では、ふるいの網目を2mmに統一して品質向上を図り、全国でも売れるようになりました。しようと思えば、できることです。震災前、脱コメ依存の一環で園芸振興が図られました。浜通りは雪が少ないので、適地です。業務・加工用に野菜を作るようにしようとしていました。また、県は有機農業推進室を設置して、有機農業を振興しました。コメ、イチゴなどで県のオリジナル品種のブランド化とマーケティングにも取り組んでいました。私は福島県の一押しの農産物をどう売るかを仕事にしていました。それは前向きな希望のある課題でしたが、震災後は福島の農産物をどう売るかの意味が全く変わってしまいました」
 農家には農協に出す共同販売と直接販売の手段があります。農協に出す場合は、販売規模を拡大してコストを抑えることができます。直接販売は価格を自分で決められる、共選費や箱代などが抑えられるというメリットがある半面、売れ残りが発生する、農家間の競争により、希望の価格にならないことが生じる、営業費用がかかり、代金回収リスクがあるなどのデメリットもあります。
 震災の年、福島県の直接販売の割合は急落し、農協に出す人が増えました。その後、贈答用直販が増え、元の割合に近くなりました。「顔の見える関係で風評被害を乗り越えると言われますが、電話1本で関係を切られてしまった例が多くありました。顔の見える関係が弱かったということを言っておきたいと思います」
 出荷量の4分の3を占める主要な14品目には、安定供給体制の確立のため、「指定産地」という制度があります。何月にはここの産地、翌月は別の産地という「産地リレー」があります。モモの場合、8月中旬を境に山梨県産から福島県産に主力が移行します。「岡山のモモ」は有名ですが、全国6位だそうです。キュウリ、トマトは現在でも夏場に全国の流通量の多くを福島県産が占めます。「福島県産が買われなくなっているということではない。出身校の原町高校での講演でこの話をしたら、これだけ売れているということに高校生が喜んでいました」
 イベントのタイトルは「風評被害」としていますが、実は半杭さんは「風評被害という言葉については、人によって捉え方が違うので基本的に用いてこなかった。流通業者・消費者の買い控えとして研究してきました。『風評ではなく実害だ』という人もいますが、何を言っているのか理解できません」と話します。
 福島県産に対する忌避が実際はどのようなものでしょうか。消費者庁の「風評被害に関する消費者意識の実態調査について」によると、「福島県産の食品を買うことをためらう」と回答する人が15~20%います。「検査が行われていることを知らない」も35%前後に達します。「2割が避けることを掘り下げなければなりませんが、意識調査は『風評被害』の調査だから、最初から風評被害があるという印象になります。役所の調査であること、具体的な品目や産地の情報を加味していないことなどもあり、2割がどの程度確かな数字かは疑問です」
 半杭さんは2016年6月、福島県、首都圏、関西に居住する成人男女を対象に意識調査を実施しました。サンプルサイズは福島県635、首都圏630、関西624の合計1889です。その結果、明らかになったことがいくつかあります。一つは、福島県が農産物の放射性物質検査をしていること、及びそのデータを示す前と後では、「福島県産については放射性物質の検査は十分に行われていない」「福島県では放射性物質に汚染された農産物が食べられている」と回答する割合が急減したことです。検査についての情報が十分に伝わっていないことが示されています。また、検査を知らないと回答した人の中には、クリックすると検査結果が得られるのにクリックしていない人がいました。「伝わることの効果はある、検査結果を見せてもらえば、理解されると言えます。クリックしない人がいるというのは、『知りたくない人』の存在を物語っています」
 検査結果については、福島県民は「良く知っている」「少し知っている」の合計が89.8%を占め、首都圏の24.6%、関西の21.3%を大きく上回りました。一方、「全国の消費者の( )%程度が福島県産を買い控えている」の( )を答える設問では、福島県は44.8で、首都圏、関西の40~41よりもやや高くなりました。「福島県の人ほど、福島県農産物が避けられていると思っているのです。これは大人の責任だと思います」
 さて、どうしたら福島県農産物が売れるのでしょうか。半杭さんは「『福島には全国一のものがない』とよく言われます。これは作ろうとしてできるものではないですし、一番が良いかと言えば、そうとも言えません。リンゴは青森が一番と言われますが、青森のリンゴ農家が皆うるおっているかというと、そうでもない。『ブランド化をすれば』という意見もありますが、どうやったらいいの?と言いたい。しかし、実は国産の農産物はまだ足りないし、福島県の農産物もまだ足りないのです。今後、高齢化が進んでいる産地が衰えていくことが予測されています。福島県の農産物はこれまでも、これからも東京の胃袋を支え続けるのです。オリンピックで風評払拭をというのはだめです。日本の食べ物が美味しいと評価され、それが福島県産だということになればよいと思います。避難区域の営農再開はまだこれからですが、東京農業大学では支援のプロジェクトで始めます」と話しました。
 この後、参加者との間で活発な質疑応答がありました。買い控えと答えた2割の人への対応については、「2割を相手にするかどうかのマーケティングの話ですが、声の大きい人への対策やデマをつぶすことは必要ですが、黙っている人については対応しなくてもよいと思うます」と述べました。また、検査結果の出し方について、「こんなに検査結果を出しているのに、それが十分には伝わっていない。検査の数字を出すだけではなく、エンターティメントにしなければならない。農家の努力があって、検査をして、その結果が出ているという話を、例えばアポロ13号の映画のように、映画や作品になると、皆が見てくれたり、もっと話題になるでしょう」と提言しました。市場や流通の人の理解度については、「市場の人はよく勉強していて、福島県産を普通に扱っています」と答えました。

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