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「やり抜く力を育てる」 ~スズキ・メソードと日本将棋連盟、トップ対談

開催日:7月12日(水)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

毎日メディアカフェのイベント「やり抜く力を育てる~スズキ・メソードと日本将棋連盟、トップ対談」が7月12日、毎日ホールで開催されました。スズキ・メソードの早野龍五会長と、日本将棋連盟の佐藤康光会長の対談です。
中学生棋士、藤井聡太四段の29連勝、将棋の壮大な世界観を描いた映画「3月のライオン」の公開など、将棋にまつわる話題が目白押しです。その将棋界の舵取りをしているのが佐藤康光会長です。電子機器持込をめぐる騒動を受け、今年2月に会長に就任しました。佐藤さんはスズキ・メソードで4歳からバイオリンを学び、今も演奏を折に触れて披露す「バイオリンを弾く棋士」でもあります。
一方、反物質などの研究で世界的に知られる物理学者である早野龍五さん(東京大学名誉教授)はスズキ・メソードの5代目会長として、昨年8月から、組織の立て直しに腕を振るっています。
対談は早野さんが聞き役となり、佐藤さんに将棋の世界を語ってもらいました。
早野さん 藤井四段の29連勝が話題になっていますね。
佐藤さん そのことしか聞かれないので(笑い)。
早野さん では、そのこと以外の話で(笑い)。将棋の駒を持つ前にバイオリンを手にしたのですね。
佐藤さん どちらも木でできているのですが(笑い)。バイオリンを習ったのは4歳の時からです。両親はサラリーマンで、音楽家の環境とかではないのですが、近所で習っている人がいて、それで始めました。進歩しない生徒で困っていました。将棋を始めたのは小学校1年の時です。スズキ・メソードの夏期学校では、バイオリンの講習を受けながら、将棋を指したりしていました。最初は父親と指していたのですが、1年ぐらいで勝つようになりました。相手を見つけるため、3年生の時に将棋同好会に入り、4年生の時に田中魁秀師匠(元九段)の弟子になりました。中学1年生で将棋の奨励会に入り、プロを目指すことになり、いったんバイオリンには区切りをつけました。高校2年の時に四段でプロになりました。
早野さん その後、またレッスンを受けるのですね。
佐藤さん 20歳の時、駒音コンサートというのがありまして、音楽好きの棋士、将棋好きの音楽家が集まるコンサートで、バイオリンを弾かされることになりました。8分ぐらいの曲を弾いたのですが、5分ぐらいした時に、山本直純先生がやめろというサインを出していたのに、気がつかず、最後までやりました。難しい曲で、いま考えると、とんでもないことをしたと思うのですが、実は昨年もクリスマスフェスタという将棋のイベントで、10年ぶりぐらいに演奏しました。9月から1日1時間ぐらい練習して、昔習った曲を弾きました。
早野さん 奨励会に入ったのは。
佐藤さん 自分よりも強い人と将棋をしたいという気持ちで、奨励会に入りましたが、空気が違うのですね。張り詰めた厳しい空気を感じて、プロの世界は違うと思い、1、2カ月ぐらいでプロを目指すようになりました。
早野さん 学校は両立できたのですか。
佐藤さん 将棋会館が千駄ヶ谷にあり、そこから一番近い高校ということで受験したのが國學院高校でした。高校生活は学校に行った後、将棋会館に行くという生活でした。
早野 物理学者は一般の人が自然界を見るのとは違う形で見ていると思うのですが、棋士もそうですか。目隠しして5人ぐらいと指したこともありますね。
佐藤さん 20代後半の時に、やりましたね。アマチュアの方5人と指しました。
早野さん 頭の中がどうなっているのか、見てみたいですね。座学と実習がありますが、どう勉強するのですか。
佐藤さん 電車に乗ったりしたときにも頭の中に将棋盤が入っているので、勉強することはできます。24時間いつでもどこでも勉強できます。車の運転をするのですが、突然将棋のことを思い出したりして、危ないですね。一人で勉強する時間は必要ですが、練習将棋を指すことで全体的なトレーニングになりますね。
早野さん 科学では、この方程式を知らないとというのはありますが、定跡を覚えていないとだめというのはありますか。
佐藤さん それはありますね。定跡は知識なのですが、先入観にもなる。当然、知ってはいるのですが、うのみにはしない。部分部分のセオリーはありますが、終盤はその時その時に読まなければならない。
早野さん お師匠さんの役割は?
佐藤さん 昔は寝食をともにする内弟子制度がありましたが、今は形式的な一門もあるし、密接なところもあります。私は土曜日には泊まっていましたので、師匠に指してもらいました。3回に1回ぐらい勝っていましたが、後で考えると、師匠が自信をつけさせてくれたのですね。個性を伸ばすことが大切なので、あまり将棋を教えることはなく、むしろ態度を注意されたりしていました。
早野さん 強くなるには。
佐藤さん 過去の激闘を自分なりに並べ直して、強さを学ぶ。詰め将棋の問題を解いたり、名勝負の棋譜を並べながら勉強しました。
早野さん コンピューターから学ぶことはありますか。
佐藤さん ソフトが強くなって棋士が苦戦していますが、若手はコンピューターに影響を受けていますね。私は人から聞いた指し方を使うのが好きではなく、自分で発見したいという天の邪鬼なところがありまして。コンピューターは人間にない常識があり、自分を高めるために使うということです。
早野さん 探索と評価をセットでプログラムするのでしょうが、人間が読むときは何をしているのですか。
佐藤さん 速く読むのも強いのですが、読まないのも強さです。大局観、ぱっと見た時に形勢判断ができて、どうすれば良いのかを判断する。これは過去の蓄積ですね。それを生かして、しらみつぶしに読むことはありますね。
早野さん 長考の時には何を考えているのですか。
佐藤さん いい質問ですね。ここが急所の局面で長考するのですが、長考したからいい手をさせるわけではない。迷っている時間も多いのですね。二つか三つのどれがいいかと。羽生さんと対戦した時、長考して指したのですが、その6手後に読みにない手を指されて、 いったい何を長考したのかと後悔して、それがマイナスになったことがありました。天井を見ながら考えている人もいますね。
早野さん 棋譜はどのぐらいありますか。
佐藤さん 約20万局残っています。私は公式戦を1500局ほど指しましたが、局面は記憶に残っています。こう考えたからこう指したというのは覚えています。
早野さん 他の棋士の頭の中は分かりますか。
佐藤さん 基準が違うなという人はいます。積み上げてきたものがありますので。自分はチャレンジすることが好きなので、指し手にびっくりされることがありますが。歴史を重視する人もいるし、同じ戦法の人もいます。加藤一二三先生は50年以上も棒銀を指されています。
早野さん ふだんから準備していますか。
佐藤さん 序盤に指した新手は準備しています。中盤以降はその時点でひらめいたものもあります。
早野さん 物理で歴史を変える発見や、小さな発見がありますが、将棋の場合は。
佐藤さん 革命的な新戦法はありますね。20年ほど前に「藤井システム」という戦法が出て、それは革命的だと言えます。それに比べると、自分の新手は中ヒットぐらいですね。
早野さん アルファ碁がプロ棋士に勝った時、人間が見たことのない手を打ったと言われましたね。
佐藤さん コンピューターソフトを見て感じるのは、革命的に新手を出すのではなく、自由に指しても大きな失敗はないということです。ソフトが序盤から最善手ばかり指すというのではない。コンピューターのほうがアバウトなのです。
早野さん 強くなっているかどうかはどう分かりますか。
佐藤さん 物差しが難しい。勝率で測るか。年々強くなっているのかどうか分からない。自分の若いころよりも若手のレベルが上がっています。
早野さん 強くなる条件は。
佐藤さん 環境は大きいと思いますね。自分の周囲には羽生さんや森内さんという強い人たちがいた。将棋に打ち込める環境があるかどうかは大事です。
早野さん 打ち込むのは好きでないとやらないですよね。
佐藤さん バイオリンは習っていましたが、将棋を指している時間のほうがずっと多かったですね。
早野さん 好きでないとうまくなれないというのはあるでしょう。
佐藤さん 将棋は覚えた時からずっと好きですね。
早野さん 男女で差があるのでしょうか。
佐藤さん 現状は3段の女性が2人います。どちからが4段になったら大ニュースです。男性ばかりなのは歴史的な理由かなと思います。男女差は縮まっています。将来、女性が名人、王将になることがあっても不思議ではないと思います。
早野さん 将棋連盟のサイトに「考え続ける力を身につけるのは将棋以外でも役に立つ」という言葉がありました。子どもたちが将棋に熱中することの意義は。
佐藤さん 分からないから考える。分からないけど考え続けるというのは大事なことです。精神的な面であきらめない、根気強く続けられる。取捨選択して読みに入れるといいのですが、最初は分からないままに読む。9割方間違っているわけですが、蓄積によって、取捨選択できるようになるといい。
早野さん 子どもたちに1局弾けるようにするまでにハードルが高いのですが、共通性はありますか。
佐藤さん 試行錯誤しなければたどりつけないものがあるという点で、共通項があるのかなと。
早野さん 研究は役に立つことをやれと言われる。将棋も役に立たないですよね(笑い)。どこに価値があるのでしょうか。
佐藤さん 現在の形になって500年。誰が原型をつくったか分からないのです。将棋は奥が深い。奇跡的なゲームだと思っています。答えがあるのかないのか分からないのですが、真理に近づいていく。こんなに要素が詰まっているゲームはないと思っています。
事務局 藤井四段と非公式に対戦した感想は。
佐藤さん 将棋は負けました。その時はそんなに強いとは思わなかったのですが、一局ごとに成長している。年齢以上に吸収力があると感じますね。とてつもなく強くなる。彼の影響で棋士全体のレベルが上がりますし、将棋界が注目されるのはうれしいですね。
事務局 「やり抜く力を育てる」には。
佐藤さん 目標を決めて、それに向かってあきらめずに努力する。気持ちを持ち続けることによって、力が育つのかなと思います。
早野さん 文科省の学習指導要領で生きる力といっていますが、世の中に出ても大学で習ったことを仕事にして生きていける人はほとんどいない。小さい子どものうちに、何かやったという経験があると言うことが大事ではないか。音楽を弾けるようになるといった、やりとげる喜びを味わう、何かに集中してやることがやり抜く力を育てると思います。
事務局 棋士会長時代に、棋士会として東日本大震災被災地支援活動をされましたが、その活動の理由は。
佐藤さん 将棋の持つ力で何かできないかと思い、街頭で募金を呼びかけたり、仮設住宅に行って将棋を指すなどの活動をしました。こちらが勇気を与えなければならないのに、逆に勇気をもらったことがありました。将棋の持つ力を生かしたいと思っています。
 その後、参加者との質疑応答が活発に繰り広げられました。
スズキ・メソード
http://www.suzukimethod.or.jp/
日本将棋連盟
https://www.shogi.or.jp/

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