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新野信記者報告会「校閲の仕事」

開催日:7月6日(木)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:記者報告会

 毎日メディアカフェの記者報告会「校閲の仕事」が7月6日、毎日ホールで開かれ、毎日新聞東京本社編集編成局情報編成総センター校閲グループ主任の新野信記者が報告しました。


 校閲者を主人公としたテレビドラマが話題になるなど、校閲の仕事への関心が高まっています。校閲、校正の仕事をしている人や学生など、約100人が参加しました。


新野記者は2002年入社、東京本社校閲グループ配属。以来15年間、一貫して校閲記者として経験を積み、現在は主任を務めています。インターンシップ、中高生向けの校閲記者体験などでの講師経験が多数あり、校閲記者志望者向けの会社説明会では7年連続で講師を務めています。大学と大学院では日本近代史の勉強をしていたそうです。


 新野記者はまず、「校閲は新聞社の品質管理部門です。用語のルールに従い、表記を整える、事実関係の確認、言葉の使い方の検討などが仕事の内容です。きちんとした事実関係に基づいた記事を、きちんとした日本語で表現する。読者は新聞を信頼度の高い媒体、ちゃんとした記事が載っているという前提で読んでいます。このため、事実関係の確認という部分の比重が高くなっています。また、新聞にはきちんとした日本語が使われていると思われていますから、日本語として許容されるか、差別的な表現ではないのかどうかなどにも気をつけます」と話しました。


 続いて、どんなふうに校閲するのかです。主な直しのパターンとして、以下を挙げ、具体例を示しながら説明しました。①用語集に合わせる直し②誤変換、入力ミス③文字遣い、文法の誤り④慣用句などの誤り⑤事実関係の誤り――です。用語集の例で挙げたのは、「かかわり」です。かつて新聞では、「かかわる」と表記していましたが、現在は「関わり」が常用漢字で認められたことを受けて、「関わる」と表記しています。しかし、「にもかかわらず」は「にも関わらず」とは表記しません。これは、「にもかかわらず」を辞書で調べると、「にも拘わらず」と書いているものもあるからです。そこで、ひらがな表記にしています。「機械的に直すのではなく、なぜ用語集がその表記を採用したのか、その理由を考えながら仕事をしています。校閲の仕事は、いわば執筆者の原稿に、けちをつける仕事です。違っていますと言われた時に、いい気分になる人はいない。そういう時に、理由をきちんと説明する。それにより、執筆者とのコミュニケーションがとれて、よい紙面になる一助になる。そう考えています。校閲はきちんとした記事を読者に届ける仕事です」


 新聞記事原稿の誤変換では、「発砲スチロール」「高速道路を逆送」などの珍例があります。これは、記者が事件や裁判の記事を書くことが多いので、誤変換が起こるのです。慣用句では、「公算が大きい」を解説しました。「公算が高い、公算が強いと書いてくることがあります。高い、強いは間違いとは言えませんが、大きいに直しています。慣用句の間違いはとても多いです。慣用句の使い間違いが定着することがあります。新聞社は言葉の変化には、少しゆっくりめに対応しています」


 事実関係の例では、米国のトランプ大統領と中国の習近平主席の「顔合わせ」を取り上げました。顔合わせは「初めて会う」という意味です。新野記者が過去記事を調べると、トランプ大統領と習主席はすでに会っています。そこで、「を」を入れて、「顔を合わせる」にしました。「顔合わせでは、事実関係が不正確になります。直しはできるだけ最小限にしたいので、『を』を入れることにしました」。また、「香港の国内総生産」という例もあります。「香港は中国の一部です。ですから、国内総生産は適切ではなく、域内総生産に直します。台湾、欧州連合も同様の注意が必要です」


 直さないケースもあります。 サッカーのコラムで、「自陣まで侵入された」という表現がありました。通常のサッカーの記事では「進入」を使います。しかし、一つのチームの立場で書かれたものなので、あえて「侵入された」と使ったことも考えられます。そこで、出稿部と相談して、そのまま「侵入された」としたそうです。


 校閲記者はニュース面の場合、1本の原稿について数分で、こうした事実関係や表現などを調べ、正しているのです。新野記者は「私たちが目指すものは、正確な情報、分かりやすい文章です。書き手の意図を損なわないように心がけながら、読み手の視点を持ち続けることです」とまとめました。


 この後、わざと間違いを含んだ模擬紙面を参加者に配り、校閲演習をしました。1面トップは将棋の藤井四段が前人未到の29連勝を達成したという記事です。1面全ての記事を校閲します。時間は20分間。参加者は真剣な表情で取り組みました。


 20分後、どこが間違っているのかを、新野記者が解説しました。「藤井四段 未踏の29連勝」という大見出し。これは「未到」です。見出しで「1・7兆円」とあるのに、本文は1兆7000万円だったり、「ならでわ」となっていたり、藤井四段との対戦に先輩棋士が「手をこまねいている」(本来は、手ぐすねをひいている)となっていたり・・・さまざまな誤りに、なかなか気づかないものです。


 質疑応答では、新聞社の体制、人数についての質問に、「ニュース面を校閲しているのは20人ぐらい。ほかに、家庭面や文化面などを見ている人もいて、少なくとも20人以上の体制で朝刊をつくっています」と答えました。差別表現についての質問には、「用語集では、気をつけたい用語が載っています。機械的にそれで決めるのではなく、考えながら判断します。例えば、『女史』は通常はあまり使いませんが、万能川柳で『女史』とあっても、直しません。LGBTだと範囲が狭いので、『LGBTなど』とするなど、その場その場で考え、悩みながら、当事者がどう思うかを考えながら、判断します」と答えました。「最も印象に残っている自分のミスは?」を問われると、「10年ほど前、現職首相の名前の誤記を見逃し、訂正を出したことがあります。私もほかの人たちの目も全てくぐり抜けて掲載されました。人間は間違うものだということを常に前提にしています」と語りました。ちなみに、この首相は現首相です。「今は皆が注意しているので、首相の名前の誤記はないでしょう」


 最後に、新野記者は「毎日新聞社は校閲を大切にしていて、採用人数を絞らずにきちんと取っています。コストをかけてよいものをつくろうとしていることを理解してください」とまとめました。

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