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うなぎの資源保護を目指す「ささエールうなぎ基金」の試み

開催日:6月29日(木)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

 毎日メディアカフェのセミナー「うなぎの資源保護を目指す『ささエールうなぎ基金』の試み」が6月29日、開催されました。


 セミナーを企画したのは「大地を守る会」で、同社生産部生産課畜産水産チームの浅海博志さんが講師を務めました。


 浅海さんはまず、大地を守る会で取り扱っているうなぎについて説明しました。四国・四万十川で育てる「ささエール四万十うなぎ」は、四万十川のシラスウナギを1年以上の歳月をかけゆったりと育てられたうなぎです。四万十川の支流である深木川の状流水(地下水)を使用して、活性炭を施工した養殖池で育てられます。えさは配合飼料と生餌を混ぜて使います。「自然の風味があり、固めの皮と引き締まった厚い身をもち、天然のうなぎと比べて差異がない」と言います。「ささエール薩摩川内うなぎ」は、川内川で採捕したシラスウナギを中心に、鹿児島県、宮崎県内の川内地区養鰻協議会会員の養鰻場で養殖されます。ミネラル豊富な地下水を使います。蒸し工程の工夫により、「年間通してふっくら柔らかく仕上げられる」そうです。


 うなぎ養殖で大事なことは「良質なシラスウナギを安定して入手できること」「良質な水をふんだんに使えること」です。「うなぎは、どこで育ったかによって味がちがうと言われていています。育つところによって食べるものが変わるので、捕獲水域によって違う味になる」のです。


 うなぎの蒲焼きは関東と関西で、さばき方と焼き方に違いがあります。関東風は、うなぎを背開きにして白焼きした後、蒸して再び焼くので、ふわっと柔らかいのが特徴です。関西風は、うなぎを腹開きにして蒸さずに焼くため脂の乗ったパリッとした香ばしさが特徴です。関東風と関西風の境界は静岡県だそうです。


 次に、本題の「ささエールうなぎ基金」創設の経緯です。2014年6月、IUCN(国際自然保護連合)はニホンウナギを絶滅危惧種としてレッドリストに記載しました。ニホンウナギは日本人にとって最も古くから食用とした魚で、約5000年以上前の貝塚からも骨が発見されています。ウナギ減少の原因とされるのは、第1に乱獲、第2に海洋環境の変化があります。マリアナ海溝沖で産卵、半年かけて日本沿岸にたどりつくのですが、温暖化の影響で海流が変化し日本にたどりつくウナギが減ったとも言われます。さらに、河川環境の悪化があります。ウナギは川の下流域で成長しますが、河川の環境が悪いと成長できなくなります。


 ウナギを守るために、何をすればよいのでしょうか。最初、浅海さんは「放流すれば増えるのではないか」と考え、九州の生産者に相談しました。鹿児島川内川での放流を目指し薩摩川内川漁業協同組合に訪問したり・川内川を見に行ったり・養鰻場に放流するシラスウナギの確保をしたりしているうちに、九州大学水産増殖学研究室の望岡典隆准教授の紹介を受けました。望岡さんは主にウナギ目魚類を素材として初期生残過程や再生産構造を中心とする生活史の解明をめざし、研究船による卵仔稚魚調査、沿岸域での潜水調査などのフィールド調査、耳石微量元素分析や体成分の生化学的解析、DNA解析などさまざまな方法で研究しています。 


 ウナギはニホンウナギ・ヨーロッパウナギ・アメリカウナギなど世界で19種類が確認されています。このうち、食用にされているのは4種類。水産庁によると、ニホンウナギの採捕量は1963年には232tありましたが、2013年には5.2tまで落ち込んでいます。1960年代にヨーロッパウナギのシラスを購入し、養殖したことがありましたが、日本の養殖技術に合わず飼いにくいとされ、輸入量は激減しました。ニホンウナギはマリワナ沖の水深200mくらいの深海の入り口で産卵します。孵化した稚魚「レプトセファラルス」は餌を食べて大きくなって6cmほどになるとシラスウナギになります。日本の河口で半年ぐらい暮らし「クロコ」になって川を登り住みつく「黄うなぎ」になります。10年ぐらい暮らした後「銀うなぎ」に変わり、産卵場に向かって旅をします。日本では11月から翌年4月にかけて、シラスウナギが黒潮に乗ってやってきます。シラスウナギの漁期は12月から翌年4月。獲られたシラスウナギは養鰻場へ送られます。養殖していない天然うなぎを日本人が食べるのは全体のわずか1%で、ほとんど養殖うなぎを食べています。


 浅海さんは望岡さんとの面談で、「ウナギの放流をしたい」と言いましたが、相手にされなかったそうです。望岡さんは、放流事業での効果検証がされていない、タグをつけたウナギはみつかっていない、発信機・耳石を調べることもできるが高価である、養鰻場のウナギを放流すれば捕食活動をしないので死ぬ可能性が高い、ニホンウナギのみを放流しなければ意味がないといった理由を挙げたそうです。


 放流事業の問題点を整理すると、以下になります。


①川での放流


・養殖したウナギは警戒心が弱く野鳥などの野生生物に捕食される。


・人口の餌で育てられた養殖ウナギは捕食能力が弱くほとんど成長しない。


②海への放流


・産卵するウナギは川から汽水域に移動し2カ月ぐらいかけて海に順応するのであり、養鰻場から直接海に放流しても死んでしまう。


③ウナギは環境で性決定する生物で、30度C以上の水温で育てたり、過密にして育てたウナギはすべてオス化する(15~20cmで性分化する)。


 望岡さんは「河川の環境が生物にとって住みにくい環境になっているおり、河川環境を改善する必要がある」「ウナギは皆同じ場所で産卵するので、消費量が増えると(食べ過ぎ・獲り過ぎ)全体量が減る」「ウナギの餌となるカニ・エビなどの水生生物も増えなければウナギも育たない」といった点を指摘しました。


 これにより、大地を守る会は「いまできることは川の再生だ」と方針を決めました。河川には堰が多くあり生物が遡上しにくい環境があります。しかし、堰に魚の通り道となる「石倉魚道」を置くことによって、堰を上る魚がいること、「石倉かご」という鉄製で石の入ったかごを設置すると、ウナギなどの生物が住んでいることが検証されています。そこで、石倉かごの設置に取り組むことにしました。その費用捻出のために考案されたのが「ささエールうなぎ基金」です。大地を守る会が販売するうなぎ商品1点あたり25~50円を基金にあてます。これまでに、約200万円が集まりました。


 2016年12月10日、福岡県の須江川で最初の1基が設置されました。その様子を、大地を守る会マーケティング部メディア販促チームの重松学さんが報告しました。河口から5kmほど上流の、近くにはマンションや学校などが建っている川です。直径1mほどの石倉かごにたくさんの石を詰めて、川に沈めました。「たいへん重労働でした」と重松さんは振り返りました。望岡准教授は須江川に7基の石倉かごを設置する許可を国土交通省からとっています。2基目を設置するのは今年7月21日。この日に、1基目のモニタリング調査をして、ウナギや他の生物の住みかになっているかどうかが分かります。重松さんは「ウナギが石倉かごに住みついて産卵に向かうと、意義があると思います。教育の一環としても使える。データを取って、河川が再生につなげたい」と話しました。


 九州大学は柳川のお堀で、石倉かごの設置とシラスウナギの放流をする調査研究をしています。「配合飼料を与えない」「加温しない」「過密にならない」という条件下で、冷凍赤虫・スジエビを与え、捕獲後2~3カ月育てて「クロコ」にしたものを放流しているそうです。浅海さんは望岡さんと協議して、九州大学で赤虫などで2~3カ月育てたウナギを、石倉かごを設置した場所に放流することを了承されそうです。


 浅海さんは「短期的な取り組みではなく、10年単位で結果が見えてくる事業です。基金が増えて、ウナギが増えると嬉しい。長期間かけてやりますので、よろしくお願いします」と協力を求めました。


大地を守る会「ささエールうなぎ基金」


https://takuhai.daichi-m.co.jp/…/ima…/unagi2017/sasayell.pdf

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