読者とともにつくりだす「毎日メディアカフェ」
毎日メディアカフェでちょっと一息

  • ホーム
  • ニュース
  • 毎日メディアカフェとは
  • イベントカレンダー
  • イベントアーカイブ
  • アクセス

イベントアーカイブ

被災地を記録し続ける-「絆って言うな!」「命を救えなかった」出版記念トーク-

開催日:4月24日(月)18:30~20:00 イベントのカテゴリー:一般公募イベント

 「被災地を記録し続ける-『絆って言うな!』『命を救えなかった』出版記念トーク-」が4月24日、毎日メディアカフェで開催されました。東日本大震災被災地の取材に取り組んでいるフリーライターの渋井哲也さんと、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんによるトークイベントです。
 渋井さんは被災地の復興の現状を記録した「絆って言うな!東日本大震災-復興しつつある現場から見えてきたもの」(皓星社)」、命を救えなかった-釜石・鵜住居防災センターの悲劇」(第三書館)を相次いで出版しました。安田さんは世界各地で取材した写真とエッセイをまとめた「写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って」(日本写真企画)を出版する一方、被災地取材を続けています。
 はじめに、渋井さんは「栃木県那須町の出身で、東京よりも福島第1原発の方が近いという土地で育ちました。震災が起こる前に東北地方の一人旅をしていたので、シンパシーがあり、被災地に行き始めました」と話しました。
 安田さんは岩手県陸前高田市の高田松原に津波後、1本だけ残った「奇跡の一本松」の写真を見せました。高田松原には約7万本の松がありましたが、津波に耐えた1本だけが残ったという有名な松の木です。「2011年は私が入籍した年です。義父母が陸前高田市在住でした。私は震災の時に海外にいて、津波が引いてから被災地に行った申し訳なさ、その時にいなかったことへの後ろめたさがありました。義父は県立病院4階で首まで津波に浸かりながら助かりました。義母は行方不明になり、海から9キロさかのぼった地点で、4月9日に見つかりました。犬のリードを持っていたそうです。義母は手話の通訳をしており、災害時には耳の聞こえない人のところに走る人だと聞いていました。誰かのために生きた義母が住んだまちにと、陸前高田にいることにしました。最初は取材が被災者を救うことにはならない、どうしたらよいのかと思っていました。そんな矢先に写真を撮ることができたのは、高田松原の一本松でした。希望を感じて、夢中でシャッターを切りました。ところが、義父は『何でこんなに海のそばにいったのか』と厳しく言いました。義父は津波の記憶を呼び起こされ、『高田松原の7万本の松と一緒に暮らしてきた人でなければ、希望だと思うかもしれない。しかし、一緒に暮らしていたものにとっては、7万本の松の1本しか残らなかったのかと感じる。津波の威力を示す以外の何ものでもない』と言ったのです。誰のための希望か、がんばれとか復興という言葉は被災地にとってどうなのか。この6年間、取材者として何を発信するのかを問われてきたと思います」
 渋井さんは著書に書いた釜石市の鵜住居防災センターの取材を始めた経緯を話しました。釜石市の津波による死亡者の半数以上はこの地域の住民です。「2011年4月8日に釜石に行きました。遠野町から笛吹峠を越えて、大槌町吉里吉里地区の幼稚園に取材に行こうとした途中、鵜住居地区に着きました。4月になると、がれき撤去が進んでいた地域もありますが、鵜住居は4月上旬でも重い空気がありました。防災センターの近くで、何かを探している女性に会いました。女性からは話を聞けましたが、そこにいた男性には取材を断られました。その雰囲気が他の地域と違っているように感じました。後に、防災センターで多くの方が亡くなっていたことを知りました」
 鵜住居防災センターに避難して津波で亡くなった犠牲者は市の推計で162人にのぼります。このうち2組の遺族が、釜石市を相手取り損害賠償訴訟を起こしました。盛岡地裁は4月21日、遺族側の請求を棄却する判決を言い渡しました。同センターは、市指定の津波避難所ではなかったのですが、震災避難訓練では避難場所として使われていました。遺族側は「市は避難場所ではないと周知する義務を負っていたのに、努力を怠っていた」などと主張しましたが、地裁は「市が防災センターを避難場所だと住民に誤解させたとは言えない。避難場所の周知も怠っていない」と判断しました。
 渋井さんは「地域の人たちは避難訓練の場所にしていました。拠点避難所と津波避難所があることを知っていますか。僕も取材して分かったけれど、取材しないと分からなかったですね。土砂災害や大災害の時に中長期的に避難する場所が拠点避難所です。釜石市は津波避難所ではないことを分けて書いているけれども説明していない。市の職員が外にいた人を手招きしてセンターに入れたという話もありました。消防署員が屋上にいたことが住民の写真で分かったことも問題になりました。津波を監視するために上ったということですが、消防署員が助かったことで、議論を呼びました」
 「絆って言うな!」は、被災3県での取材をまとめた著書です。特に、原発事故の被害にあった福島県の現状が重点的に記録されています。渋井さんは「絆は悪い言葉ではないと思っていたのですが、福島県の農家の人から『絆っていう言葉の意味が分かるか』と問われました。人と牛、動物をつないでいる、縛っているものなのですね。対等関係ではない。家畜と人間との関係だから、絆と言われることをいやがっていたのですね」と、タイトルの意味を説明しました。
 続いて、2人のトークです。被災地が忘れられていないかという問題についで、渋井さんは「被災地から帰ると、東京は計画停電で暗かったのですが、半年後には相当明るくなりました。それは忘却とほぼイコールで、私の記事へのアクセス数は、津波のことは3カ月後に、原発事故のことも半年後に激減しました」、安田さんは「福島県からの避難者へのいじめの問題が注目されましたが、忘却の次に来るのは切り捨てだと思います」と語りました。渋井さんが「震災・原発事故はもう歴史になってしまった、と言った人がいます。迷惑施設は東京から離れた所に作るということを首都圏の人はしてきた。原発はその象徴です」と述べたことを受け、安田さんは「震災でそういう問題が可視化されたのに、今はまた逆行している」と語りました。
忘れないために、何が必要か。安田さんは「被災地がまだ厳しい、知って下さいと真正面から訴えることも必要ですが、私はちょっとしたことに、東北のことを入れます。例えば、お酒を飲むときに必ず東北のお酒を飲みます。そこから、いまどうなっているかの話になります」と話しました。渋井さんは「話をした小学生が地震のことだけは話さなかった。この子から地震の話を聞けるまでは通い続けようと思いました。最近、返事をもらって、『当時の記憶がない』と言っていました。思い出したくないのですね」と話しました。渋井さんの「命を救えなかった」に登場する片桐浩一さんはつい最近、震災後から伸ばしていた髪を切りました。片桐さんは防災センターで奥さんを亡くした方です。「片桐さんは『その日のままでいたいから』と伸ばしていました。私がいじわるで『奥さんがいたら、髪をどうした』と聞くと、『妻の気持ちを考えると切る』と言いました。考えが揺れ動いていたのです。美容室開店20周年、妻の7回忌に髪を切りました。『まちが復興して自分の気持ちと合わなくなった。リセットするために切った』と話していました」
 伝えることの重要性について、安田さんは「次の世代にどう伝えるのか、私もよく考えます。家庭教育が欠かせないと思います。その次に学校や地域での教育。その際に、何を間口にするのか。スローガンが必要です。釜石市で、子どもが100回逃げて100回津波が来なかったとしても101回逃げて、というスローガンを考えました。『津波てんでんこ』みたいに分かりやすいのではないかと思います」と指摘しました。
 最後に、渋井さんは「組織として伝え続けるのも大事ですが、個人が伝えることも大切だと思います。私は衝動的に東北に行きましたが、一度会った人たちの動向を伝える意味があるのではないかと思いました。亡くなった人の存在を残したい、亡くなった人のことを忘れないことも大切だと思いますし、それが次の災害への教訓にもなります」、安田さんは「シャッターを切れない自分。シャッターを切ることで誰かを傷つけたくないし、自分が傷つきたくない。この気持ちを克服したいと思い6年が経ちました。ある人に、『震災直後こそ撮ってほしかった。震災直後なら、撮られて怒鳴っていたかもしれないが、記録することが大切だ。この街の中でさえ、津波がどこまで来たのかが忘れられていることがある』と言われました。自分たちが記録していることが次の世代が生き抜くヒント、未来の人たちへの手紙になるかもしれないと思います。東北に行き続けたいし、皆さんもぜひ行ってほしい」と呼びかけました。

毎日メディアカフェでちょっと一息

毎日メディアカフェでちょっと一息

毎日メディアカフェでちょっと一息

毎日新聞東京本社1階にある「MOTTAINAI STATION」を毎日メディアカフェとして午前11時から午後6時(イベント開催日は午後8時30分)まで開放しています。新聞や雑誌を読んだり、タブレット端末で毎日新聞ニュースサイトや毎日スポニチTAP-Iなどを検索したりできます。イベントは全て無料で参加できます(予約制、申し込み順)。

松田まどかのCSR担当者レポート

松田まどかの団体レポート

学びのフェス2017夏

NPO/NGO活動紹介

自治体による企業との取組

次世代を担う学生の活動紹介

活動レポート

毎日メディアカフェとは

毎日メディアカフェを使ってみませんか

協賛されたい企業の方へ

毎日LIVE

プレシーズ

学びのフェス2017夏

EVENT CALENDAR

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            


関連リンク

毎日新聞

小学生新聞

15歳のニュース

15歳のニュース

MOTTAIANAI

毎日新聞 愛読者セット

イーソリューション

プレシーズ

ページtop